料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓

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70話

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 私とレーリアの前には、武器を構えたウォルがゴーレムを撃退して、爆撃を弾き飛ばしている。

 周囲のゴーレムを蹴散らしたウォルは、振り向きながら私達に見えるよう手を軽く上げて。

「よっ」

「……どうして?」

 思わず私は、軽く挨拶をしているウォルに尋ねると。

「なんでか知らねぇが、アカネとレーリアの前に出る奴いねぇんだな」

 ウォルはそんなことを言い出すけど、レーリアが塔を建てた人の兄だと知っているはず。

 敵になる可能性を警戒してもおかしくないのに、この反応が理解できないからか、レーリアが口を開いて。

「……私は今戦っているゴーレムを生み出す塔の製作者、リアークの弟ですよ?」

 困惑しながらレーリアが尋ねると、ウォルは首を傾げて。

「レーリアはレーリアだろ? 兄の馬鹿な行動を止めようとしてるんだから、立派な弟じゃないのか?」

 それは、私が今まで考えていたことだ。

 この世界の食材を求めて旅をして冒険者になったりと……ウォルと私は、どこか似ている気がする。

 これでもレーリアが納得するか解らないから、私も言っておこう。

「ウォルの言う通りよ。レーリアは塔を破壊しようとしているんだから、何も気負う必要はないわ」

「そう、ですね……ありがとうございます」

 ウォルのお陰でレーリアが落ち着いてきて、ウォルは振り向きながら迫る人型のゴーレムを眺めて。

「レーリアとアカネは後衛の方がいいだろ? なら俺が前衛に立つぜ……いいか?」

 それはむしろ私達が感謝したいけど、獣人だからか尋ねているのかもしれない。

「お願い」

「よろしく、お願いいたします」

 私とレーリアが頼むと、ウォルが即座に腰に差していた剣を抜く。

「えっ……?」

 それを見て私が驚いてしまったのは……ウォルが持っていたのは剣の柄だけで、刃がどこにも見当たらなかったからだ。

 さっきまで銀色の刃があったはずなのに、それが無い?

「不可視の剣? いや、これは――」

 レーリアも驚きながら眺めて推測していると、柄から銀色の閃光が、まるで刃のように発生する。

 そして――閃光の刃は伸びることで、迫っていた動物型ゴーレムを両断して、誰も居ない場所で爆発していた。

「閃光魔法……ここまで自由自在に使えるとは、素晴らしい逸材です」

 レーリアはそんなことを説明しながら、ウォルの邪魔になりそうなゴーレムに魔法で攻撃を仕掛けてサポートに出ている。

 私を守りつつ戦えるからなのか、魔法の規模が今までより強く感じることができて、大量のゴーレムを蹴散らしていった。

 戦いの規模が大きすぎて私は何もできなかったけど……戦っているウォルとレーリアは、冒険者達の中でも明らかに別格の強さだった。
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