料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

33話

　私はレーリアに木の台を用意して貰って、そこに食器を並べて料理スキルを使おうとしている。

　猪肉は、解体した後は豚肉にしか見えないけれど、不安になってしまう。

「これからの料理で問題があるとすれば、私がイノシシのお肉を料理したことがないことよね……」

　ひとまず――私はレーリアから教わった鉄魔法を使い、食器を作ってみる。

　一瞬とはいかないけれど、数分で鍋が完成して……結構披露しているのは集中していたからなのかもしれない。

　レーリアは簡単に切株で椅子、私を乗せた車、食器を乗せる台、更には小屋まで作ったけれど、とてつもない魔力があるのでしょう。

「魔法で鍋を作るのって、結構な魔力を使うものなのね……」
「魔力による物質作成は慣れるしかありませんからね。徐々に消費する魔力を抑えることができるはずです」

　どうやらこの鍋は消えないようだけど、元の魔力に戻すこともできないみたいで、持主なら分解することは可能らしい。

　鍋は作れたから、私は猪鍋を作ろうと思ったけど、今ある野菜はキャベツ、じゃがいもと……鍋の野菜なのだろうか？

　鍋の野菜はなんでもいいみたいだから、にんじんと玉ねぎも使って、小麦粉でうどんも少し入れようと考える。

　どうするかイメージしながら発動することで、料理スキルは問題なく発動して――レーリアが用意してくれた木の台の上に、私は完成した猪鍋を置く。

　この猪鍋……前にテレビで見ただけなんだけど、それでもスキルが発動したことに安堵して、レーリアは目を見開かせながら。

「一瞬で様々な食材が加工、加熱を終えているのは何度見ても驚くしかないですね。それに……」
「ええ。見栄えも綺麗ね……イメージがテレビ番組の物だからかしら？」

　レーリアが「テレビ番組ですか？」と首を傾げていたけれど、気にしないようだ。

　この猪鍋……見栄えが完璧で、美しいと思えるほどの鍋だった。

　ぐつぐつと完全に煮えていて湯気を見るとかなり熱そうだけど……これは完成したばかりだからなのかもしれない。

　ここまで加熱していたら、野生動物の肉による危険性はなさそうだと思うから……私とレーリアは、猪鍋を実食することにしていた。