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4話

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 私のスキル「料理」は、料理ができるという説明しか伝わっていない。

 あまりにも曖昧過ぎるけれど、私は料理スキルについて考えてみると、なぜか詳細が少しわかった気がしていた。

 これはきっと……スキルを手に入れたからこそ、そのスキルについて知れたのでしょう。

 料理スキルに必要なのは食材と料理を盛りつける食器のようで、食器は手に入っている。

 出されたスープは飲んだけど、味は薄いし具材はないと美味しくなかったから、口直しをしたい。

 カバンに入っている食材は小麦粉と野菜類で……お肉は冷蔵庫に入れていたから持ってきていない。

 スープの食器だけだから、作るとすればスープでしょう。

 夜はコンソメスープを作る予定だったけどブイヨンがないし、出汁が必要なのは知っているけど作り方は一切知らずお肉もない。

 肉、魚、野菜を焼いて煮たりするらしいけど……この知識だとどうやっても作れないし、キッチンもない。

 私の手が届く範囲の食材を消費することで料理が完了するみたいだけど……調理器具がないのだからどうしようもなさそうね。

 そう考えていると――料理が完成していた。

「えっ!?」

 料理をするという過程が一切ない。

 私の目の前、冷めて美味しくなかったスープが入っていた食器には、湯気が出たコンソメスープが存在していた。

「ど、どういうことよ……」

 食材は少し減っているけど、これだと生で齧ったように見られるぐらいだ。

 持ち物を確認された時、食材と知った時点で興味をなさそうにしていたから、元々こんな形と言って、尋ねられたら生で食べたと言えば大丈夫のはず。

 それよりも――

「コンソメスープだ……調味料とか一切ないのに、どうして?」

 一口飲んでみると、明らかに塩とか、肉が入っているとしか思えない。

 私は強く疑問を持つことで、なぜか理由が解ってしまう。

 これはスキルによるものなのかもしれないけど、疑問を強めたら返答が理解できるというのは不気味でもあった。

 どうやら調味料、香辛料だと私が認識していれば魔力で作れるみたいだけど……その理屈だとシチューも作れるのではないだろうか?

「それよりこれ、とてつもなく美味しい……」

 私が普段作っているスープじゃない。昔親に連れて行ってもらった高級レストランの、私が好物となるほどまでに美味しかったスープの味がする。

「なんだか、このスープが飲めただけで、来てよかったと思えるわね……」

 それほどまでに感極まっているけど、これが賢者と聖女のスキルと同等の料理スキルということか。

 スープを飲み終えて感動した後――試しにシチューを作ろうとイメージしてみるも、牛乳が足りないせいか何も起こらない辺り、魔力で作る調味料にも限度があるのでしょう。

「いや、それにしても……ええっ?」

 暖かいスープのお陰で食べやすくなったパンも食べ終えて、私は何も残っていない食器を眺めて唖然とするしかない。

 調理器具も不要で手順を無視して、しかも調味料とさえ認識していれば肉のエキスすら魔力で作っている。

 これは「料理ができる」のスケールが違い過ぎる……あの女子高生2人は料理が上手になる程度の認識で、私も使うまではそう思っていた。

 実際は予想以上の凄いスキルだけど――明日、このスキルを披露して大丈夫なのか不安になってしまう。

「もし……この料理スキルの力が知られたら、こき使われるに決まってる」

 レーリアの言葉を思い返すと、絶対にこのスキルは使わない方がいいはずだ。
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