40 / 55
初仕事
40 顔合わせ
しおりを挟む
「「「「失礼します!」」」」
4人は元気よくクラブ室に入った。見学の時に一度は見たが、やはり広い。広さにして、教室3個分はある。それでも小さい方だというのだから、この学院が大陸一の学校というのもあながち嘘では無さそうだ。
入ると、ニードルが迎えてくれた。隣にはあの時勧誘をしていた女の先輩がいた。どうやらこの4人は最後の入部希望者ようだ。
「やぁ。やっぱり来てくれたね。君たちみたいな実力者は大歓迎だ。有能な者は大抵騎士系クラブに行ってしまうからね」
「あの時は私の名前を言って無かったよね? 私はノリアよ。宜しくね」
(良かった。今日はアイリーン様は来ないと聞いてたけど、正直怖かったのよね)
周りを見ると、他の先輩方も歓迎ムードだ。何故なら、ヒュドラが現れたことは箝口令が引かれていたが、ここの学生は情報が早い。故にこの4人、ないしアイリーンとリンネルは、あの悪夢のような事件の生き残りとして、学院内では一躍有名人となっていた。
と言っても、詳しい詳細は分からないので、ヒュドラは騎士団が何とかしたという噂にはなっている。
有名人とは言っても、エリックとファーゼンに集まる視線は冷たいものだった。遅れて入学した2人は同級生の中では浮いていた。そこにこの事件だ。実力が知られていない2人は、周囲の者からしたらお零れに預かった、とういう風に見られてしまう。
故に、冒険者クラブの同級生からは蔑むような視線を向けられる。それに加え、遅れてきたのにも関わらず手厚い歓迎を受け、余計に気に食わなかったようだ。
それに比べ、学年の中でも優秀という評価のアリサとオルバ、この2人は歓迎されていた。それにアリサは美人だ。自分のパーティーへ引き入れようと、目を血走らせながら見ている。
その様子に気づいたニードルは、牽制するように言った。
「君たちの事はアイリーン様から聞いているよ。アイリーン達とリンネルを含めた6人でパーティーを組むんだってね。いや~これからの活躍が楽しみだね」
それを聞いて、皆が気を落とす。先輩方も含めて。何故なら、先輩と後輩がパーティーを組むことは珍しくない。この場は寧ろ勧誘の場だ。有望株の4人は、同級生だけではなく、先輩も引き抜こうとしていたこと。故に先輩方も落ち込む。
(少しやり過ぎたか?)
新入部員の歓迎会だというのに、一気に敗戦ムード。隣のノリアを見ると、あちゃーという顔をしていて、少しムカついたので拳を落とす。
「おいおい、そうあからさまに落ち込むなよ。まだこの4人が、このクラブで最強って決まった訳じゃないだろ?」
ニードルは皆をそう煽りながら鼓舞すると、元気が出たようだ。
ニードルは貴族だ。次期辺境伯なのだから、地位は低くない。だが、辺境である以上、力も必要とされる。自分が部長であることからも、実力はこのクラブで一番だと思っていた。いや、このクラブだけの話では無く、他クラブとの交流の時も強者どもと互角に渡り合ってきたことから自信はあった。
「それじゃ自己紹介頼して」
ノリアに促されてオルバ→アリサ→ファーゼン→エリックの順番で挨拶をしていく。
「初めまして、僕はオルバです。得意分野は魔法で、特に回復が得意です。怪我をしたら言ってください。よろしくお願いします」
ヒューヒューと歓声があがる。何故なら回復魔法を使いこなせる者は珍しいからだ。
「いや~ホントにオルバを取れなかったのは惜しかったな~」
そんな声が至るところで聞こえる。
(オルバ何やってんのよ。これじゃ後がつらいじゃない!)
嬉しそうにへつらっているオルバに、少し腹が立ったので、強めに足を踏んでやった。
「いてっ」
大勢の前で少し緊張したのか、深呼吸をするアリサ。その少しの振動で、胸が揺れる。男どもはそれを決して見逃さない。
………… エリックとファーゼンなどを除いて。
~ファーゼン~
この中には恐らく強敵がいる。腕がなるな。
~エリック~
ホジホジ……… ポイッ
「私はオルバと幼なじみのアリサです。私も魔法が得意です。よろしくお願いします」
特徴がなく、面白味に欠ける挨拶。だが、アリサが精霊魔法の使い手というのは、一部の者では既に広まっている。それに加えて美人だ。二度も言うが美人だ。それだけで盛り上がる要素は十分に揃っている。
どうもどうも。手を振るアリサは選挙活動をしている政治家のようだった。
4人は元気よくクラブ室に入った。見学の時に一度は見たが、やはり広い。広さにして、教室3個分はある。それでも小さい方だというのだから、この学院が大陸一の学校というのもあながち嘘では無さそうだ。
入ると、ニードルが迎えてくれた。隣にはあの時勧誘をしていた女の先輩がいた。どうやらこの4人は最後の入部希望者ようだ。
「やぁ。やっぱり来てくれたね。君たちみたいな実力者は大歓迎だ。有能な者は大抵騎士系クラブに行ってしまうからね」
「あの時は私の名前を言って無かったよね? 私はノリアよ。宜しくね」
(良かった。今日はアイリーン様は来ないと聞いてたけど、正直怖かったのよね)
周りを見ると、他の先輩方も歓迎ムードだ。何故なら、ヒュドラが現れたことは箝口令が引かれていたが、ここの学生は情報が早い。故にこの4人、ないしアイリーンとリンネルは、あの悪夢のような事件の生き残りとして、学院内では一躍有名人となっていた。
と言っても、詳しい詳細は分からないので、ヒュドラは騎士団が何とかしたという噂にはなっている。
有名人とは言っても、エリックとファーゼンに集まる視線は冷たいものだった。遅れて入学した2人は同級生の中では浮いていた。そこにこの事件だ。実力が知られていない2人は、周囲の者からしたらお零れに預かった、とういう風に見られてしまう。
故に、冒険者クラブの同級生からは蔑むような視線を向けられる。それに加え、遅れてきたのにも関わらず手厚い歓迎を受け、余計に気に食わなかったようだ。
それに比べ、学年の中でも優秀という評価のアリサとオルバ、この2人は歓迎されていた。それにアリサは美人だ。自分のパーティーへ引き入れようと、目を血走らせながら見ている。
その様子に気づいたニードルは、牽制するように言った。
「君たちの事はアイリーン様から聞いているよ。アイリーン達とリンネルを含めた6人でパーティーを組むんだってね。いや~これからの活躍が楽しみだね」
それを聞いて、皆が気を落とす。先輩方も含めて。何故なら、先輩と後輩がパーティーを組むことは珍しくない。この場は寧ろ勧誘の場だ。有望株の4人は、同級生だけではなく、先輩も引き抜こうとしていたこと。故に先輩方も落ち込む。
(少しやり過ぎたか?)
新入部員の歓迎会だというのに、一気に敗戦ムード。隣のノリアを見ると、あちゃーという顔をしていて、少しムカついたので拳を落とす。
「おいおい、そうあからさまに落ち込むなよ。まだこの4人が、このクラブで最強って決まった訳じゃないだろ?」
ニードルは皆をそう煽りながら鼓舞すると、元気が出たようだ。
ニードルは貴族だ。次期辺境伯なのだから、地位は低くない。だが、辺境である以上、力も必要とされる。自分が部長であることからも、実力はこのクラブで一番だと思っていた。いや、このクラブだけの話では無く、他クラブとの交流の時も強者どもと互角に渡り合ってきたことから自信はあった。
「それじゃ自己紹介頼して」
ノリアに促されてオルバ→アリサ→ファーゼン→エリックの順番で挨拶をしていく。
「初めまして、僕はオルバです。得意分野は魔法で、特に回復が得意です。怪我をしたら言ってください。よろしくお願いします」
ヒューヒューと歓声があがる。何故なら回復魔法を使いこなせる者は珍しいからだ。
「いや~ホントにオルバを取れなかったのは惜しかったな~」
そんな声が至るところで聞こえる。
(オルバ何やってんのよ。これじゃ後がつらいじゃない!)
嬉しそうにへつらっているオルバに、少し腹が立ったので、強めに足を踏んでやった。
「いてっ」
大勢の前で少し緊張したのか、深呼吸をするアリサ。その少しの振動で、胸が揺れる。男どもはそれを決して見逃さない。
………… エリックとファーゼンなどを除いて。
~ファーゼン~
この中には恐らく強敵がいる。腕がなるな。
~エリック~
ホジホジ……… ポイッ
「私はオルバと幼なじみのアリサです。私も魔法が得意です。よろしくお願いします」
特徴がなく、面白味に欠ける挨拶。だが、アリサが精霊魔法の使い手というのは、一部の者では既に広まっている。それに加えて美人だ。二度も言うが美人だ。それだけで盛り上がる要素は十分に揃っている。
どうもどうも。手を振るアリサは選挙活動をしている政治家のようだった。
0
お気に入りに追加
1,302
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
Sランクパーティから追放された俺、勇者の力に目覚めて最強になる。
石八
ファンタジー
主人公のレンは、冒険者ギルドの中で最高ランクであるSランクパーティのメンバーであった。しかしある日突然、パーティリーダーであるギリュウという男に「いきなりで悪いが、レンにはこのパーティから抜けてもらう」と告げられ、パーティを脱退させられてしまう。怒りを覚えたレンはそのギルドを脱退し、別のギルドでまた1から冒険者稼業を始める。そしてそこで最強の《勇者》というスキルが開花し、ギリュウ達を見返すため、己を鍛えるため、レンの冒険譚が始まるのであった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる