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chapter one
6.嵐の予兆
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あと少しで屋敷に着こうという時だった
「…っ」
「…っわ!」
アベルと歩いていた子供がぶつかる
「あ、おにいちゃんごめんなさい」
ぶつかってしまった男の子は、丁寧に頭を下げる
「…ふん」
アベルは、なにも言わずに立ち去ろうとする
それを、男の子は小走りで追いかけてきた
「おにいちゃんいけないんだ
ぶつかったら、ごめんなさいしないとなんだよ」
男の子は、えっへんと自慢気に言った
「うるさい、話しかけるな
平民の子供如きが指図するな」
「おいおい、そんなむきになるなって」
口を挟んだナキアに「お前は黙っていろ」と視線を送る
「こどもって!おにいちゃん、ぼくとそんなにかわらないじゃん」
男の子は、むぷーとを膨らませる
「おとうさんがね、ヒトにメイワクかけたらあやまんないこはワルイコだって
ちゃんとできるとねあたま、くしゃーてしてくれるの」
男の子は、とても嬉しそうに語る
「…だまれ」
先程より、明らかに怒気の含まれた声が響く
「お前の親など知ったことか
どうせろくな親では、ないだろうからな」
大人気ないというべきか挑発気味なことを言う
「そんなことないもん!!」
案の定、男の子は涙目ながら怒りを示す
「おとうさんは、とっても優しくてかっこいいんだぞ!」
「…っつ」
アベルは、拳を握り締め男の子に殴りかかっていた
男の子は、大きな瞳をぎゅっとつむる
「貴様、なにをしている」
しかし、いつまでもこない衝撃とその言葉に男の子は、そっと瞳を開ける
「お、おねいちゃん?」
写っつたのは拳を振り上げたままのアベルとそれを止めるミリアだった
「俺に逆らう気か」
「滅相もございません
ご主人様が望み、願い、幸福となり得る為なら
例え、子供に暴力を働こうと
誰からも悪であると断言されることであろうと
この全身、全霊を持って尽くしましょう」
ミリアは、さも当然と応える
「…ならば、黙って」
「しかし」
アベルの言葉を遮る
それは、仕える者として主にしてはならない行為だ
しかし誰も口を挟もうとは、しなかった
「そんな、顔をさせるわけには参りません」
「な、にを」
アベルの顔に動揺が走る
「拳を振りかざしたご主人様が誰よりも苦しそうになさってましたから」
だから、止めたと
そう、彼女は笑顔で語る
「うるさい!」
「ちょ、どこ行くんすか」
勝手に歩きだそうとするアベルをナキアが止める
「付いてくるな!」
主人からの命令に逆らうわけにもいかず
アベルの背中は、人混みの中へ消えていった
「まあ、屋敷から近いし大丈夫だろ」
「そうですね、今はそっとしておいたほうがいいのやもしれません」
ということで、買い出しの店に寄ってから屋敷へ帰ることとなった
「…っ」
「…っわ!」
アベルと歩いていた子供がぶつかる
「あ、おにいちゃんごめんなさい」
ぶつかってしまった男の子は、丁寧に頭を下げる
「…ふん」
アベルは、なにも言わずに立ち去ろうとする
それを、男の子は小走りで追いかけてきた
「おにいちゃんいけないんだ
ぶつかったら、ごめんなさいしないとなんだよ」
男の子は、えっへんと自慢気に言った
「うるさい、話しかけるな
平民の子供如きが指図するな」
「おいおい、そんなむきになるなって」
口を挟んだナキアに「お前は黙っていろ」と視線を送る
「こどもって!おにいちゃん、ぼくとそんなにかわらないじゃん」
男の子は、むぷーとを膨らませる
「おとうさんがね、ヒトにメイワクかけたらあやまんないこはワルイコだって
ちゃんとできるとねあたま、くしゃーてしてくれるの」
男の子は、とても嬉しそうに語る
「…だまれ」
先程より、明らかに怒気の含まれた声が響く
「お前の親など知ったことか
どうせろくな親では、ないだろうからな」
大人気ないというべきか挑発気味なことを言う
「そんなことないもん!!」
案の定、男の子は涙目ながら怒りを示す
「おとうさんは、とっても優しくてかっこいいんだぞ!」
「…っつ」
アベルは、拳を握り締め男の子に殴りかかっていた
男の子は、大きな瞳をぎゅっとつむる
「貴様、なにをしている」
しかし、いつまでもこない衝撃とその言葉に男の子は、そっと瞳を開ける
「お、おねいちゃん?」
写っつたのは拳を振り上げたままのアベルとそれを止めるミリアだった
「俺に逆らう気か」
「滅相もございません
ご主人様が望み、願い、幸福となり得る為なら
例え、子供に暴力を働こうと
誰からも悪であると断言されることであろうと
この全身、全霊を持って尽くしましょう」
ミリアは、さも当然と応える
「…ならば、黙って」
「しかし」
アベルの言葉を遮る
それは、仕える者として主にしてはならない行為だ
しかし誰も口を挟もうとは、しなかった
「そんな、顔をさせるわけには参りません」
「な、にを」
アベルの顔に動揺が走る
「拳を振りかざしたご主人様が誰よりも苦しそうになさってましたから」
だから、止めたと
そう、彼女は笑顔で語る
「うるさい!」
「ちょ、どこ行くんすか」
勝手に歩きだそうとするアベルをナキアが止める
「付いてくるな!」
主人からの命令に逆らうわけにもいかず
アベルの背中は、人混みの中へ消えていった
「まあ、屋敷から近いし大丈夫だろ」
「そうですね、今はそっとしておいたほうがいいのやもしれません」
ということで、買い出しの店に寄ってから屋敷へ帰ることとなった
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