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3 王子殿下の魔剣編
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一時間後。
正確には一時間と五分後、私たちは近衛騎士団の建物に連れて行かれ、王太子殿下の尋問を受けていた。
比較的広い部屋で、ローテーブルとソファーのセットが二組。
片方に王太子殿下とタルパー卿、カス王子とカス大公子が座って、無言で向き合っている。
私とユリンナ先輩はもう片方に座らせられていた。申し訳程度にお茶が置かれている他は、テーブルには何もない。
いや、侵入者捕縛への協力は終わったんだから、さっさと第三騎士団に帰してほしいんだけど。
王女殿下とカイエン卿たちは、すでに王女宮に戻らせられている。羨ましい。
顔をつっこんでいいのは、侵入者を捕縛するまで、と事前に話し合いがされたようで、王女殿下はあっさり自分の宮へと戻っていった。
わたくしも同席したいわ!と暴れるかと思っていたのに。
あっさりと引き下がりすぎていて、逆に怖い。何か企んでいそうだ。
それはともかく。
今はカスカスの二人だ。
正確にいえば、尋問を受けているのはカスカスの二人。だって侵入者だもんね。
「まったく二人とも、自分らがしでかしたことの重大さを分かってないのか?」
王太子殿下が何度目かの声かけをする。
王族の墓所で侵入者である二人を拘束し、暴れて騒ぐ二人を縄で縛り上げ、歩かせて、ここまで連れてきた。
王子、大公子に対して不敬だとかなんだとか、うるさくてたまらなかったので、口も塞いで。
逃亡の心配はないので、手も口も自由にしてあげたが、二人は何も喋らない。
どうして王族の墓所に侵入したのか、どうやって侵入したのか。
黙る二人を睨みつけて言ったのが、さきほどの言葉。
これにようやく、カス王子が反応した。
「まったく兄上こそ。たかが、墓地に入ったくらいで大げさな。それより偉大な魔剣を見つける方が重要というものです」
カス王子はふかふかのソファーにふんぞり返る。
その前の質問には一切答えなかったくせに、一度喋りだしたら、後はベラベラよく喋っていた。
変な独特の動きやポーズはしてない。さすがに、王太子殿下の前ではやらないようだ。
王太子殿下はカス王子の返事が気に入らなかったようで、硬い表情を崩さない。一気に部屋が寒くなった。
王太子殿下の怒気に魔力が反応して、冷気になっている。
感情のコントロールも魔力コントロールも完璧な人なのに。この様子では相当、怒ってる。
「王族ですら出入りが制限されている禁止区域の場所に、無断進入しておいて。『たかが』か」
うん、魔力で圧をかけるのは私もよくやるけど、ちょっと寒すぎるよ。私とユリンナ先輩を巻き込まないで欲しい。
私はこっそり魔法陣を展開して、冷気を遮断。
隣に座るユリンナ先輩が白い息を吐いて「(エルシア、ナイスぅ)」とこっそり誉めてくれた。
えへっと思いながら、テーブルのお茶に手を伸ばす。
ホットだったはずのお茶は、残念なことにアイスティーに早変わりしている。うーん、早く第三騎士団に戻りたい。
冷たいお茶をチビチビ飲む私たちの横で、今度はカス大公子が口を開いた。
「王太子殿下、お告げにありし伝説の魔剣が見つかる寸前だったんですよ。伝説の魔剣発見という偉業の前では、些末な規則などどうでも良いではありませんか」
グホッ
私とユリンナ先輩が同時にむせた。そして同時に天井を仰ぐ。
バカだ。
今この状況でそんなこと言ったら、もっと部屋が寒くなるんだけなのに!
こんなバカが大公子なんて、やってていいものなんだろうか。
「理由があって、王族ですら厳しく遵守する規則を『些末』と評するか」
ほらほら。どんどん部屋が冷える。
私とユリンナ先輩は魔法陣で冷却を遮断しているから、耐えられるけど。
王太子殿下の横に座るタルパー卿や、部屋の隅にいる近衛騎士は、揃って顔を青くしている。中にはガタガタ小刻みに動く者もいた。
「ならば、たかが些末な罰則くらい、どうということはないな、二人とも」
王太子殿下はカスカスの二人をギロッと睨む。
ほらほら、そう来ちゃったよ。
しかもジロッとじゃないよ、ギロッとだよ。うん、かなり怖い。
「ハハハハハハ。兄上、目つきが怖いですよ」
「ハハハハハハ。またまた殿下、ご冗談が過ぎますよ」
二人はここにきて、やっと、王太子殿下の機嫌の悪さに気がついたようだ。遅いよね? 遅すぎるよね?
機嫌の悪さに気がついて、愛想笑いで取り繕おうとしたのが、さらに逆効果となっている。二人はそのことには気がついてない。
「私は非常に真剣に真面目な話をしているんだが、何がそんなにおかしいのかね」
「「ヒィィィィィ」」
王太子殿下の怒気に気圧され、か細い悲鳴をあげる二人。
そんな二人を無視して、王太子殿下は近衛に命じた。
「二人を連れていけ」
「どちらにですか?」
タルパー卿の問いに、王太子殿下は簡潔に答える。
「独房だ」
「「ヒィィィィィ」」
再度、か細い悲鳴が上がった。
誰も口を挟めないような状況の中、部屋の扉が叩かれ、入室してくる者の気配があった。
後ろの方から男性の声が聞こえる。
「殿下、アルゲン大公夫妻が謁見を求めていますが」
一瞬、空気が変わる。
この世の終わりのような表情をしていたカス大公子の顔が、パッと、楽園にでもいるような表情になった。
「父上と母上か、助かった」
声も明るい。
うん、親が来れば助かるとでも?
「なんだと?」
「ヒィィィィィ」
ほら、また睨まれてる。
大公と王太子、どちらが権力あると思っているんだろうか。だいたい、問題なのは権力があるないってところじゃない。
王族ですら破れば罰せられるルールを、破ってしまった。そのうえ、ルールを破ったことを軽く考えている。
これから上に立っていく者として、基本的なところが出来ていないし、そればかりか、一般的な成人男性としてもかなりダメなレベルだった。
「(顔はいいし、女性に対する応対はいいんだけどぅ。社会通念とか一般常識とか倫理観とかがクソレベルなのよぅ)」
ユリンナ先輩がヒソヒソ囁いた。口汚い言葉は聞かなかったことにしておく。
「(大公閣下も似たようなものだけどぅ。閣下の方はまだ凡人レベルは維持してるからぁ)」
うん? そんなレベルでいいの?
「(閣下の長男は、見た目も中身も父親や弟とは真逆だったって聞くけどぅ。家門を捨てて、縁も切ってるって話よね~)」
どこ情報かは分からないけど、ユリンナ先輩の話はかなり的を得ていた。
ユリンナ先輩の話を聞いている間も、王太子殿下とカスカスの二人のやり取りは続いていた。
常識がとか自覚がとか、くどくどと説教されているカス大公子と、ついでにまとめられて説教をくらっているカス王子。
二人の様子を横から眺めながら、私は冷えたお茶をすするのだった。
と、そこへ。
廊下の方から誰かを引き留めるような声。どんどん大きくなる。
ついには、私たちがいる部屋の前までやってきた。
「お待ちください、謁見の許可はまだ出ておりません!」
またもや、部屋の中の空気が変わった。
正確には一時間と五分後、私たちは近衛騎士団の建物に連れて行かれ、王太子殿下の尋問を受けていた。
比較的広い部屋で、ローテーブルとソファーのセットが二組。
片方に王太子殿下とタルパー卿、カス王子とカス大公子が座って、無言で向き合っている。
私とユリンナ先輩はもう片方に座らせられていた。申し訳程度にお茶が置かれている他は、テーブルには何もない。
いや、侵入者捕縛への協力は終わったんだから、さっさと第三騎士団に帰してほしいんだけど。
王女殿下とカイエン卿たちは、すでに王女宮に戻らせられている。羨ましい。
顔をつっこんでいいのは、侵入者を捕縛するまで、と事前に話し合いがされたようで、王女殿下はあっさり自分の宮へと戻っていった。
わたくしも同席したいわ!と暴れるかと思っていたのに。
あっさりと引き下がりすぎていて、逆に怖い。何か企んでいそうだ。
それはともかく。
今はカスカスの二人だ。
正確にいえば、尋問を受けているのはカスカスの二人。だって侵入者だもんね。
「まったく二人とも、自分らがしでかしたことの重大さを分かってないのか?」
王太子殿下が何度目かの声かけをする。
王族の墓所で侵入者である二人を拘束し、暴れて騒ぐ二人を縄で縛り上げ、歩かせて、ここまで連れてきた。
王子、大公子に対して不敬だとかなんだとか、うるさくてたまらなかったので、口も塞いで。
逃亡の心配はないので、手も口も自由にしてあげたが、二人は何も喋らない。
どうして王族の墓所に侵入したのか、どうやって侵入したのか。
黙る二人を睨みつけて言ったのが、さきほどの言葉。
これにようやく、カス王子が反応した。
「まったく兄上こそ。たかが、墓地に入ったくらいで大げさな。それより偉大な魔剣を見つける方が重要というものです」
カス王子はふかふかのソファーにふんぞり返る。
その前の質問には一切答えなかったくせに、一度喋りだしたら、後はベラベラよく喋っていた。
変な独特の動きやポーズはしてない。さすがに、王太子殿下の前ではやらないようだ。
王太子殿下はカス王子の返事が気に入らなかったようで、硬い表情を崩さない。一気に部屋が寒くなった。
王太子殿下の怒気に魔力が反応して、冷気になっている。
感情のコントロールも魔力コントロールも完璧な人なのに。この様子では相当、怒ってる。
「王族ですら出入りが制限されている禁止区域の場所に、無断進入しておいて。『たかが』か」
うん、魔力で圧をかけるのは私もよくやるけど、ちょっと寒すぎるよ。私とユリンナ先輩を巻き込まないで欲しい。
私はこっそり魔法陣を展開して、冷気を遮断。
隣に座るユリンナ先輩が白い息を吐いて「(エルシア、ナイスぅ)」とこっそり誉めてくれた。
えへっと思いながら、テーブルのお茶に手を伸ばす。
ホットだったはずのお茶は、残念なことにアイスティーに早変わりしている。うーん、早く第三騎士団に戻りたい。
冷たいお茶をチビチビ飲む私たちの横で、今度はカス大公子が口を開いた。
「王太子殿下、お告げにありし伝説の魔剣が見つかる寸前だったんですよ。伝説の魔剣発見という偉業の前では、些末な規則などどうでも良いではありませんか」
グホッ
私とユリンナ先輩が同時にむせた。そして同時に天井を仰ぐ。
バカだ。
今この状況でそんなこと言ったら、もっと部屋が寒くなるんだけなのに!
こんなバカが大公子なんて、やってていいものなんだろうか。
「理由があって、王族ですら厳しく遵守する規則を『些末』と評するか」
ほらほら。どんどん部屋が冷える。
私とユリンナ先輩は魔法陣で冷却を遮断しているから、耐えられるけど。
王太子殿下の横に座るタルパー卿や、部屋の隅にいる近衛騎士は、揃って顔を青くしている。中にはガタガタ小刻みに動く者もいた。
「ならば、たかが些末な罰則くらい、どうということはないな、二人とも」
王太子殿下はカスカスの二人をギロッと睨む。
ほらほら、そう来ちゃったよ。
しかもジロッとじゃないよ、ギロッとだよ。うん、かなり怖い。
「ハハハハハハ。兄上、目つきが怖いですよ」
「ハハハハハハ。またまた殿下、ご冗談が過ぎますよ」
二人はここにきて、やっと、王太子殿下の機嫌の悪さに気がついたようだ。遅いよね? 遅すぎるよね?
機嫌の悪さに気がついて、愛想笑いで取り繕おうとしたのが、さらに逆効果となっている。二人はそのことには気がついてない。
「私は非常に真剣に真面目な話をしているんだが、何がそんなにおかしいのかね」
「「ヒィィィィィ」」
王太子殿下の怒気に気圧され、か細い悲鳴をあげる二人。
そんな二人を無視して、王太子殿下は近衛に命じた。
「二人を連れていけ」
「どちらにですか?」
タルパー卿の問いに、王太子殿下は簡潔に答える。
「独房だ」
「「ヒィィィィィ」」
再度、か細い悲鳴が上がった。
誰も口を挟めないような状況の中、部屋の扉が叩かれ、入室してくる者の気配があった。
後ろの方から男性の声が聞こえる。
「殿下、アルゲン大公夫妻が謁見を求めていますが」
一瞬、空気が変わる。
この世の終わりのような表情をしていたカス大公子の顔が、パッと、楽園にでもいるような表情になった。
「父上と母上か、助かった」
声も明るい。
うん、親が来れば助かるとでも?
「なんだと?」
「ヒィィィィィ」
ほら、また睨まれてる。
大公と王太子、どちらが権力あると思っているんだろうか。だいたい、問題なのは権力があるないってところじゃない。
王族ですら破れば罰せられるルールを、破ってしまった。そのうえ、ルールを破ったことを軽く考えている。
これから上に立っていく者として、基本的なところが出来ていないし、そればかりか、一般的な成人男性としてもかなりダメなレベルだった。
「(顔はいいし、女性に対する応対はいいんだけどぅ。社会通念とか一般常識とか倫理観とかがクソレベルなのよぅ)」
ユリンナ先輩がヒソヒソ囁いた。口汚い言葉は聞かなかったことにしておく。
「(大公閣下も似たようなものだけどぅ。閣下の方はまだ凡人レベルは維持してるからぁ)」
うん? そんなレベルでいいの?
「(閣下の長男は、見た目も中身も父親や弟とは真逆だったって聞くけどぅ。家門を捨てて、縁も切ってるって話よね~)」
どこ情報かは分からないけど、ユリンナ先輩の話はかなり的を得ていた。
ユリンナ先輩の話を聞いている間も、王太子殿下とカスカスの二人のやり取りは続いていた。
常識がとか自覚がとか、くどくどと説教されているカス大公子と、ついでにまとめられて説教をくらっているカス王子。
二人の様子を横から眺めながら、私は冷えたお茶をすするのだった。
と、そこへ。
廊下の方から誰かを引き留めるような声。どんどん大きくなる。
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