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2 暗黒騎士と鍵穴編
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第三騎士団をはじめとして、王都騎士団は王城内に施設が存在する。
簡単に言うと、王都という都市がいくつかの街に分かれていて、王城はその街の一つ。
王城を街というのも変な話だけれど、広さは街と変わらないほど。
大きく分けて、行政を行う王宮、王族の住居である内宮、騎士団の施設、魔術師団の施設、そして官舎とあるので、けっこうな広さだ。
三聖の展示室も、第三騎士団の建物や訓練場も、私が寝泊まりしている官舎もすへて王城内にある。
王城勤務の者は、王宮とか王宮内とか呼んでいたりするんだけど。実際は王城のことを指す。
私も普段は、王城を王宮と呼んでいるので、外部の人にはちょっと分かりにくいかも。
そして、王都そのものは王城の他に、旧市街、新市街、職人街、市場街、外市街とぜんぶで六つの街に分かれていた。
ちなみに、王族と内宮は近衛騎士団、それ以外の王城と旧市街は第一騎士団、それ以外の王都は基本的には第二騎士団騎士団と衛兵隊が担当。
第三騎士団は、新市街と職人街をおまけ的に巡回、だそうだ。
王城から今日の担当場所へ向かう間、クラウドがいろいろなことを教えてくれる。
「そもそも、おまけ業務的な雑用を請け負うのが、第三騎士団だからな」
と、納得している様子のクラウド。
「騎士になったばかりの新人や、ピークを過ぎた古参、性格的に戦闘などには不向きな人物。
そういった輩にうまく仕事を割り振っているわけだから」
うん。だから、雑用騎士団だなんて言われてるんだよね。
三聖の展示室だって、王城内にあるんだから本来なら第一騎士団の担当。それを第三騎士団が担当しているという事は、何かがあったと推測される。
平民相手に見学の案内なんてしてられるか、と誰かがごねたんだろうな。きっと。
「クラウドは、雑用みたいな仕事でいいの?」
ついでだから聞いてみた。
するとビックリしたような様子で、逆に聞いてくる。
「それを言うなら、エルシアの方こそ」
クラウドは心配するような口調で話し始めた。
「後援家門からの指示だからとはいえ、第三騎士団で経験を積んで、いずれ、地方に引きこもるってことだろ?」
「平たく言えばそうなる」
「エルシアなら、独立して王都で魔術師を続けることだって出来るだろうに」
「そんな気はないから」
「知ってるか? 後援家門を変えることも出来るんだぞ?」
「後援を受けるときに説明されたけど」
あぁ、もしかして。悪徳家門が後援だと思われているのかな、これって。
優秀な者は王都で働く。
そんな考え方もあるようだけど、私は好んで地方就業を希望しているんだから。
「他に後援が見つからないなら、言ってくれれば、その、ヴェルフェルムに聞いてみるから」
クラウドは照れたように口ごもりながら、自分のところの家門名をあげた。
クラウド自身はヴェルフェルム伯爵子息ってだけで、なんの地位も権限もない。けっきょくは親に頼ることになるから、恥ずかしいのだろう。
「いや、だから、大丈夫だから」
恥ずかしいことを思い切って切り出してくれたクラウドの気持ちはありがたくもらっておく。
でも。
「悪い家門に騙されているわけでもないし。だいたい、私を騙すようなヤツは私の杖が黙ってないし」
「ま、そうだな」
私はそう言って返し、クラウドは微妙な表情のまま、この話は終わりになった。
そうこうしているうちに着いたのは新市街。しかも、ちょっとオシャレな通りだ。
ここで担当するルートを確認してから、二人ずつ巡回を始めることになった。
私のペアには当然のようにクラウドがあてがわれている。いいのか、新人同士で。という目で他の騎士を見ていたら、
「エルシアの世話と監視が出来るのはクラウドくらいだからな」
と、まさかの返答。
「まぁ、堅苦しくはない…………けど口うるさかったな、気楽に出来る…………けどあれこれ報告されるんだったな。うん、まぁ、いいか」
私は私を無理やり納得させたのだった。
二人ペアの巡回が始まったとたん、微妙だったクラウドの表情も生き返る。
「エルシア、この辺りをゆっくり見て回るのなんて、初めてだろう?」
「うーん、たぶん?」
ずっと王都には住んでいるので、来たことはあるだろうけど、クラウドの指摘通り、ゆっくり見て回るのは初めてか。
仕事とはいえ、巡回だからじっくり見て回らないといけないんだった。
明るく生き生きとしだしたクラウドの声に乗せられないよう、私は気を引き締める。
もちろん、ペアの相手を無視するわけにはいかないので、会話は続けた。
「この辺は新市街だから、治安もいいし、街自体も整備されている」
「建物も道路も綺麗だよね」
適当に相づちを打つ。
「それだけじゃない。ほら」
私の横を歩いていたクラウドが突然、空を指さした。
その先には青銅とガラスで作られた箱。同じく青銅製の柱の上と下の方に同じ物がつけられている。
クラウドは上の方にある箱を見上げながら口を開いた。
「これは魔導灯だ」
「へー」
「王宮と同じで、灯り、火、水といったものすべて、魔導具が使われているんだ」
「へー」
浮き立つクラウドとは逆に、私は冷静に魔導具を観察した。
魔導具としてはいたって簡単な作りの魔導灯は、見た目以上にしっかりと作られている。
出来としては、魔塔で使っている魔導灯と比べても遜色がない。
「あまり驚かないんだな」
「魔塔育ちだから」
魔導具は便利だ。
とはいえ、こんなに日常が魔導具で埋め尽くされているのは王都くらいだろう。
便利な生活の裏に誰かの努力があることを忘れてはいけないし、王都以外では不便な中、必死に生きている人たちがいることも忘れてはいけない。
「あぁ、そうだったな。エルシアは魔導具には慣れてたな」
「成人したら地方に移住するから、魔導具なしの生活にも慣れるようにって、言われてる」
私もクラウドを倣って、魔導灯を見上げる。
まだ昼間なので、魔導の明かりが灯っていない。それでも、魔導灯は不思議な存在感を放って、街を守っているように見えた。
「それに、騎士団はここまで魔導化されてないよね」
「生活設備の魔導化を進めたのは筆頭殿なんだよ。奥さんの生活を便利にするために開発したらしい」
「あー」
あのクズの考えそうなことだ。
私は魔導灯からクラウドに視線を戻した。
クラウドは大好きな『運命の恋』の主人公の話に夢中だ。私がむっとしているのにも気がつかないほど。
「だからなのか、奥さんが亡くなる直前はパタッと魔導具開発が止まったらしいんだ。奥さんのことで頭がいっぱいで仕事どころじゃなかったようだしな」
「ふーん」
「奥さんが亡くなって一年くらい経った辺りから、また魔導具開発が再開されたんだと。
悲しみを忘れようと必死に働いたんじゃないかって、みんなが心配していたんだそうだ」
「へー。じゃあ、開発が再開したのは五年前くらいからか」
私のことはほとんどの人は心配すら、しなかったけどね。
そう言いたいのをぐっとこらえて、話をそらす。
「あぁ。もっとも、街の魔導化は奥さんが亡くなる前に着手されてたから。
新市街や旧市街の魔導化はすでに終わっていたけど、騎士団まで整備が回らなかったらしいな」
「だから、騎士団は昔ながら的な設備もあるんだね」
「それでも、外市街や王都外周地域、地方都市よりは魔導化されているからな」
「まぁ、そうかもね」
話はそれたまま、クラウドの力説は続いていく。
「とくに風呂! 土地から湯が噴き出す地域でもなければ、夏は水風呂だし、冬は水を火で温めるところから始めないといけないんだぞ!」
「そんなに力説しなくても」
言葉だけでなく、握りしめた拳にも力が入っていそうだ。
「いいや、大事なところだ。フェルムの領地なんて水風呂でな。学院の寮に入って、蛇口から湯が出てきたときには、どんなに感動したことか!」
学院は貴族の子弟や優秀な平民が学ぶ高等教育機関だ。騎士コース、魔術師コースがメインで、ごく少数のための官僚コースというのもあった。
かくいう私も学院の魔術師コースを出て、騎士団配属になったわけで。それなりに思い出があるところだった。
そういえば新しくできた施設だから新市街に建設されていて、確かに設備は最新の魔導具だったっけ。
「あぁ、そういう感動は私にはないかな。お湯がなければ、水をお湯にすればいいだけだし」
「あぁ、そうだったな。エルシアは魔術師だったな、一応」
クラウドの感動を冷ましたのが気に入らなかったのか、一応扱いされる私。
「一応、ってどういう意味よ?!」
と、クラウドがピタリと止まり、わたしは喋る途中でクラウドの背中にコツンとぶつかる。
「ほら、ついたぞ」
「え?」
私の衝突を気にもとめず、クラウドは顔をくいっと上げた。
「ほら、ここだ」
「え、ここって…………」
到着したところは、なにやら甘い香りの漂う建物だった。
簡単に言うと、王都という都市がいくつかの街に分かれていて、王城はその街の一つ。
王城を街というのも変な話だけれど、広さは街と変わらないほど。
大きく分けて、行政を行う王宮、王族の住居である内宮、騎士団の施設、魔術師団の施設、そして官舎とあるので、けっこうな広さだ。
三聖の展示室も、第三騎士団の建物や訓練場も、私が寝泊まりしている官舎もすへて王城内にある。
王城勤務の者は、王宮とか王宮内とか呼んでいたりするんだけど。実際は王城のことを指す。
私も普段は、王城を王宮と呼んでいるので、外部の人にはちょっと分かりにくいかも。
そして、王都そのものは王城の他に、旧市街、新市街、職人街、市場街、外市街とぜんぶで六つの街に分かれていた。
ちなみに、王族と内宮は近衛騎士団、それ以外の王城と旧市街は第一騎士団、それ以外の王都は基本的には第二騎士団騎士団と衛兵隊が担当。
第三騎士団は、新市街と職人街をおまけ的に巡回、だそうだ。
王城から今日の担当場所へ向かう間、クラウドがいろいろなことを教えてくれる。
「そもそも、おまけ業務的な雑用を請け負うのが、第三騎士団だからな」
と、納得している様子のクラウド。
「騎士になったばかりの新人や、ピークを過ぎた古参、性格的に戦闘などには不向きな人物。
そういった輩にうまく仕事を割り振っているわけだから」
うん。だから、雑用騎士団だなんて言われてるんだよね。
三聖の展示室だって、王城内にあるんだから本来なら第一騎士団の担当。それを第三騎士団が担当しているという事は、何かがあったと推測される。
平民相手に見学の案内なんてしてられるか、と誰かがごねたんだろうな。きっと。
「クラウドは、雑用みたいな仕事でいいの?」
ついでだから聞いてみた。
するとビックリしたような様子で、逆に聞いてくる。
「それを言うなら、エルシアの方こそ」
クラウドは心配するような口調で話し始めた。
「後援家門からの指示だからとはいえ、第三騎士団で経験を積んで、いずれ、地方に引きこもるってことだろ?」
「平たく言えばそうなる」
「エルシアなら、独立して王都で魔術師を続けることだって出来るだろうに」
「そんな気はないから」
「知ってるか? 後援家門を変えることも出来るんだぞ?」
「後援を受けるときに説明されたけど」
あぁ、もしかして。悪徳家門が後援だと思われているのかな、これって。
優秀な者は王都で働く。
そんな考え方もあるようだけど、私は好んで地方就業を希望しているんだから。
「他に後援が見つからないなら、言ってくれれば、その、ヴェルフェルムに聞いてみるから」
クラウドは照れたように口ごもりながら、自分のところの家門名をあげた。
クラウド自身はヴェルフェルム伯爵子息ってだけで、なんの地位も権限もない。けっきょくは親に頼ることになるから、恥ずかしいのだろう。
「いや、だから、大丈夫だから」
恥ずかしいことを思い切って切り出してくれたクラウドの気持ちはありがたくもらっておく。
でも。
「悪い家門に騙されているわけでもないし。だいたい、私を騙すようなヤツは私の杖が黙ってないし」
「ま、そうだな」
私はそう言って返し、クラウドは微妙な表情のまま、この話は終わりになった。
そうこうしているうちに着いたのは新市街。しかも、ちょっとオシャレな通りだ。
ここで担当するルートを確認してから、二人ずつ巡回を始めることになった。
私のペアには当然のようにクラウドがあてがわれている。いいのか、新人同士で。という目で他の騎士を見ていたら、
「エルシアの世話と監視が出来るのはクラウドくらいだからな」
と、まさかの返答。
「まぁ、堅苦しくはない…………けど口うるさかったな、気楽に出来る…………けどあれこれ報告されるんだったな。うん、まぁ、いいか」
私は私を無理やり納得させたのだった。
二人ペアの巡回が始まったとたん、微妙だったクラウドの表情も生き返る。
「エルシア、この辺りをゆっくり見て回るのなんて、初めてだろう?」
「うーん、たぶん?」
ずっと王都には住んでいるので、来たことはあるだろうけど、クラウドの指摘通り、ゆっくり見て回るのは初めてか。
仕事とはいえ、巡回だからじっくり見て回らないといけないんだった。
明るく生き生きとしだしたクラウドの声に乗せられないよう、私は気を引き締める。
もちろん、ペアの相手を無視するわけにはいかないので、会話は続けた。
「この辺は新市街だから、治安もいいし、街自体も整備されている」
「建物も道路も綺麗だよね」
適当に相づちを打つ。
「それだけじゃない。ほら」
私の横を歩いていたクラウドが突然、空を指さした。
その先には青銅とガラスで作られた箱。同じく青銅製の柱の上と下の方に同じ物がつけられている。
クラウドは上の方にある箱を見上げながら口を開いた。
「これは魔導灯だ」
「へー」
「王宮と同じで、灯り、火、水といったものすべて、魔導具が使われているんだ」
「へー」
浮き立つクラウドとは逆に、私は冷静に魔導具を観察した。
魔導具としてはいたって簡単な作りの魔導灯は、見た目以上にしっかりと作られている。
出来としては、魔塔で使っている魔導灯と比べても遜色がない。
「あまり驚かないんだな」
「魔塔育ちだから」
魔導具は便利だ。
とはいえ、こんなに日常が魔導具で埋め尽くされているのは王都くらいだろう。
便利な生活の裏に誰かの努力があることを忘れてはいけないし、王都以外では不便な中、必死に生きている人たちがいることも忘れてはいけない。
「あぁ、そうだったな。エルシアは魔導具には慣れてたな」
「成人したら地方に移住するから、魔導具なしの生活にも慣れるようにって、言われてる」
私もクラウドを倣って、魔導灯を見上げる。
まだ昼間なので、魔導の明かりが灯っていない。それでも、魔導灯は不思議な存在感を放って、街を守っているように見えた。
「それに、騎士団はここまで魔導化されてないよね」
「生活設備の魔導化を進めたのは筆頭殿なんだよ。奥さんの生活を便利にするために開発したらしい」
「あー」
あのクズの考えそうなことだ。
私は魔導灯からクラウドに視線を戻した。
クラウドは大好きな『運命の恋』の主人公の話に夢中だ。私がむっとしているのにも気がつかないほど。
「だからなのか、奥さんが亡くなる直前はパタッと魔導具開発が止まったらしいんだ。奥さんのことで頭がいっぱいで仕事どころじゃなかったようだしな」
「ふーん」
「奥さんが亡くなって一年くらい経った辺りから、また魔導具開発が再開されたんだと。
悲しみを忘れようと必死に働いたんじゃないかって、みんなが心配していたんだそうだ」
「へー。じゃあ、開発が再開したのは五年前くらいからか」
私のことはほとんどの人は心配すら、しなかったけどね。
そう言いたいのをぐっとこらえて、話をそらす。
「あぁ。もっとも、街の魔導化は奥さんが亡くなる前に着手されてたから。
新市街や旧市街の魔導化はすでに終わっていたけど、騎士団まで整備が回らなかったらしいな」
「だから、騎士団は昔ながら的な設備もあるんだね」
「それでも、外市街や王都外周地域、地方都市よりは魔導化されているからな」
「まぁ、そうかもね」
話はそれたまま、クラウドの力説は続いていく。
「とくに風呂! 土地から湯が噴き出す地域でもなければ、夏は水風呂だし、冬は水を火で温めるところから始めないといけないんだぞ!」
「そんなに力説しなくても」
言葉だけでなく、握りしめた拳にも力が入っていそうだ。
「いいや、大事なところだ。フェルムの領地なんて水風呂でな。学院の寮に入って、蛇口から湯が出てきたときには、どんなに感動したことか!」
学院は貴族の子弟や優秀な平民が学ぶ高等教育機関だ。騎士コース、魔術師コースがメインで、ごく少数のための官僚コースというのもあった。
かくいう私も学院の魔術師コースを出て、騎士団配属になったわけで。それなりに思い出があるところだった。
そういえば新しくできた施設だから新市街に建設されていて、確かに設備は最新の魔導具だったっけ。
「あぁ、そういう感動は私にはないかな。お湯がなければ、水をお湯にすればいいだけだし」
「あぁ、そうだったな。エルシアは魔術師だったな、一応」
クラウドの感動を冷ましたのが気に入らなかったのか、一応扱いされる私。
「一応、ってどういう意味よ?!」
と、クラウドがピタリと止まり、わたしは喋る途中でクラウドの背中にコツンとぶつかる。
「ほら、ついたぞ」
「え?」
私の衝突を気にもとめず、クラウドは顔をくいっと上げた。
「ほら、ここだ」
「え、ここって…………」
到着したところは、なにやら甘い香りの漂う建物だった。
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