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屈辱 そして・・・

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 「うふふ・・・」

 今か今かと待ちわびていた者が微笑んだ。濡れた真っ赤な唇に、上気した頬。こぼれんばかりの大きな瞳は、爛々とした赤光を灯している。

 人間界で遭遇した時と同じ服装。乳輪を下から押し上げるために、えぐり取ったかのような襟のライン。さらすために着ているとも言える黒いドレス。

 先ほどとの違いは、その上半身よりも下半身の乱れ具合だろう。

 引き裂かれ、穴だらけとなった網タイツの脚に、外れたガーターベルト。ずれた下着からは、反り返るあまりに先が飛び出している。

 もちろん、恥じらって隠す気配など一切ない。

 魔王が赤黒いローブの裾をはためかせ、衣擦れの音をわずかに起こしながら移動した。

 闇の中、金銀、宝石、豪華な刺繍で装飾された玉座が、ボォ・・・と薄暗く光っている。段を上がると、脚のない肘掛付きの椅子へとゆったりとあぐらを組んで座った。

 「コボルト~ お前も出てくるがよい・・・特別に許そぅ~」

 「本当でございますか!?」

 身の程をわきまえて幕の陰に隠れていた醜悪な魔族が、嬉々とした声を上げた。

 衣服を露骨に盛り上げている、欲望に忠実な下半身。こちらも隠すことなく、躍り出るようにして現れた。

 魔王が節くれ立った指先をクルクルと回して、宙に闇の渦巻きを作る。手を入れると、中から赤い果実酒の入ったグラスを取り出した。

 かざして、色合いでも確認しているかのような仕草を見せる。一口飲んだ後、けだるげに指で示した。

 「コボルト、あそこを見よ~ 我の困った東の魔王妃がのぅ・・・粗相をして床を汚したのだ・・・そこだ、わかるかぁ? ほれ、そこよ~」

 「ははぁ・・・こちらでございますね?」

 卑屈な下僕が両手を胸の前で揉み合わせ、ヘコヘコと頭を下げながら前に進んだ。

 「舐めて、きれいにしろ~」

 「なんと・・・ありがたき幸せ!!」

 キラキラと光る体液。すぐさま床に這いつくばった魔族が、ビチャビチャと音を立てながら舐め始めた。

 「おぉ~!! おぉ~!! なんとも美味い・・・美味い・・・これが天界の・・・」

 一滴も残らず舐め尽くしたコボルトが、コブだらけの顔を上げた。

 キザキザとした醜い歯を剥き出しにして、ゥ"アァ"アァァ・・・と獣の息を吐き出す。

 「あぁ~ たまりませぬぅ~ お美しいお美しい・・・我らが司令官殿よ・・・皆の憧れでしたぞ・・・・気高きあなたさまがヒクヒクと・・・フッ・・・そんなにもお恥ずかしい姿をして・・・それに、このお味・・・美味でございまするなぁ・・・まさか口にできるとは・・・」

 舌舐めずりをすると、ギラつく瞳で、ラシュレスタを見つめた。

 「あぁ~ もっともっと舐めて、おきれいにして差し上げたい・・・このような極上の味を知ってしまったら・・・これでおしまいでは、あんまりでございまするぅ~」

 媚びるような、哀れみを乞うような視線を魔王に向ける。その傍らをドレスを翻して、カツカツカツ・・・と高いヒールが通り過ぎた。

 「本当に・・・ラシュレスタさまは、どんな格好をされててもお美しい・・・」

 鎖で吊された裸体の背後にまわって、リリートゥがささやいた。長い赤い爪で美髪を撫でて分けると、スーッと背中に舌を這わせながら、膝をつく。

 双丘に両手を添えて下から覗きこんだ。

 「うふふ・・・今日はわたくしが存分に、ここを突いて差し上げますわ・・・」


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