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陰間茶屋に?
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何が起こっているのでしょうか。
果たして、どんな桃源郷が現れたというのでしょうか。
何もない田舎道だと思っていたのにおかしな現象です。
「な、なんだ…一体なにが…」
家来たちが動揺しながらも、徐々に徐々にとおじいさんの待つ分岐路へと進んでいきます。
そしてハッと全員で息をのみました。
(う、うつくしーーっ!!)
その時、殿さま一行関係者、通称トノーズの驚きの声が一致しました。
これが噂の、そして生おじいさんかと。
とうとう、この目で生きているうちに見ることができたのです。
感動でむせび泣いてしまいます。
そう、そもそもが、おじいさんの気を引きたくて気を引きたくての街道計画だったのです。
ようやく本懐を遂げられました。
「馬上から申し訳ない。
街道により適した道をぜひとも案内したく…ついてきて欲しい」
「はいっ、行きます!!」
全員が喜び勇んでおじいさんに続きます。
お近づきになりたいのです、少しでも。
それにしても季節外れの花が吹雪のように咲き乱れる中を白馬で進む、おじいさんのなんと美麗なことでしょう。
夢のようだと。
気が遠くなりそうです。
しばらくして、スタンッとおじいさんが馬から降り立つと駕籠の前で優雅に片膝をつきました。
「殿、いかがだったでしょうか、この道が街道にはより相応しいかと思うのですが…」
(!!)
びっくりした殿さまが駕籠から転がり落ちるようにして飛び出しました。
「あなたはそんなことをしてはいけないのですっ、あなたは!!」
なんてことを言ってくれたのでしょうか。
その通りです、その通りです。
全くのその通りですと。
家臣たちが全員頷きます。
地上の生きた希望とも言える、やんごとなき方にそんなことをさせてはいけません。
そして同時にまた。
「はぁあぁ~~っ!!」
と叫んで失神寸前となった主人にがんばれ、がんばれ、頼むからがんばれと念を送ります。
この場合はあんた、すぐに完落ちせずに少しでも引き延ばさなくてはなりませんと。
でないと、この尊い時間が以上をもってして終了になってしまうじゃないですかと。
そうは思っても誰も言えません。
なんせ、秒で落ちそうなのが自分らの殿なわけですから言えるわけがありません。
死ぬ気でそのまま意識を保ってやと思っても言えるわけがありません。
「ああああの、もももしよろしければ、かかかか街道について、ももももう少し、おおおお話を」
ところが、まるで切腹前の嘆願のように。
震えながらの命がけであってもしっかりとなされた訴えに、誰もがさすがは殿、やはり天下を取っただけあると感じ入りました。
気絶寸前の身でなかなかできない行為です。
「そそそその、そそそこの茶屋で、よよよよよかったら」
たまたま目に入った少し離れた場所にある家屋を殿さまが指さして言いました。
「あそこですか?」
おじいさんが宝石のように美しい瞳をパチパチと瞬かせます。
そこは一見するとただの茶店にも見えますが、実は陰間茶屋なのです。
確かあの場所って…とおじいさんが記憶をたどり、戸惑いました。
言うなれば風俗です。
妻がいる身でそれはさすがにと躊躇います。
「あの…すみませんが…ちょっとそれは…」
果たして、どんな桃源郷が現れたというのでしょうか。
何もない田舎道だと思っていたのにおかしな現象です。
「な、なんだ…一体なにが…」
家来たちが動揺しながらも、徐々に徐々にとおじいさんの待つ分岐路へと進んでいきます。
そしてハッと全員で息をのみました。
(う、うつくしーーっ!!)
その時、殿さま一行関係者、通称トノーズの驚きの声が一致しました。
これが噂の、そして生おじいさんかと。
とうとう、この目で生きているうちに見ることができたのです。
感動でむせび泣いてしまいます。
そう、そもそもが、おじいさんの気を引きたくて気を引きたくての街道計画だったのです。
ようやく本懐を遂げられました。
「馬上から申し訳ない。
街道により適した道をぜひとも案内したく…ついてきて欲しい」
「はいっ、行きます!!」
全員が喜び勇んでおじいさんに続きます。
お近づきになりたいのです、少しでも。
それにしても季節外れの花が吹雪のように咲き乱れる中を白馬で進む、おじいさんのなんと美麗なことでしょう。
夢のようだと。
気が遠くなりそうです。
しばらくして、スタンッとおじいさんが馬から降り立つと駕籠の前で優雅に片膝をつきました。
「殿、いかがだったでしょうか、この道が街道にはより相応しいかと思うのですが…」
(!!)
びっくりした殿さまが駕籠から転がり落ちるようにして飛び出しました。
「あなたはそんなことをしてはいけないのですっ、あなたは!!」
なんてことを言ってくれたのでしょうか。
その通りです、その通りです。
全くのその通りですと。
家臣たちが全員頷きます。
地上の生きた希望とも言える、やんごとなき方にそんなことをさせてはいけません。
そして同時にまた。
「はぁあぁ~~っ!!」
と叫んで失神寸前となった主人にがんばれ、がんばれ、頼むからがんばれと念を送ります。
この場合はあんた、すぐに完落ちせずに少しでも引き延ばさなくてはなりませんと。
でないと、この尊い時間が以上をもってして終了になってしまうじゃないですかと。
そうは思っても誰も言えません。
なんせ、秒で落ちそうなのが自分らの殿なわけですから言えるわけがありません。
死ぬ気でそのまま意識を保ってやと思っても言えるわけがありません。
「ああああの、もももしよろしければ、かかかか街道について、ももももう少し、おおおお話を」
ところが、まるで切腹前の嘆願のように。
震えながらの命がけであってもしっかりとなされた訴えに、誰もがさすがは殿、やはり天下を取っただけあると感じ入りました。
気絶寸前の身でなかなかできない行為です。
「そそそその、そそそこの茶屋で、よよよよよかったら」
たまたま目に入った少し離れた場所にある家屋を殿さまが指さして言いました。
「あそこですか?」
おじいさんが宝石のように美しい瞳をパチパチと瞬かせます。
そこは一見するとただの茶店にも見えますが、実は陰間茶屋なのです。
確かあの場所って…とおじいさんが記憶をたどり、戸惑いました。
言うなれば風俗です。
妻がいる身でそれはさすがにと躊躇います。
「あの…すみませんが…ちょっとそれは…」
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