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聖地化してました
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実際に自分たちもファンですと全面出しすればするほど、がんばってね、お二人も応援しますねと。
予想を遙かに超えて大好評なのです。
おそるべし、おじいさんの威力です。
ここはその人気にしがみつくしかありません。
その上でいずれはその地位を乗っ取ってやると企んでいたのです。
思い上がりです、思い上がりです。
限りなく思い上がりです。
ですが、所詮は無知の無知。
身の丈を理解することなどあるわけがなく鼻息荒くイキがって、今か今かとその診察日を待ち続けました。
そして、いよいよ当日になったのです。
「やっぱさ、今日はオレ独りで行ってくるわ」
「えっ、なんで? 自撮り?」
いつも二人で行動する時は協力し合って絵面のいい動画を取り合っているのです。
おばあさん担当のワルコが首を傾げました。
「いや一応さ、身体を見られるわけだし、念のため、まずは下見がいいかなって思ってさ」
相手は医者なのです。
しかも映像越しとかではなく診察を受けるのです。
白髪とほんの少しだけ老け顔にした特殊メイクをして行きますが、見抜かれる可能性だってあります。
今までも孫に甘い祖父母をだまくらかして本人たちを語り、シニア特権を使ったりの動画撮影もしましたが保険証を用いての病院は初めてなのです。
何かあった時にしらばくれるためにも、おばあさんとセットで行くのは避けるべしと。
ワルオは用心深く動くことにしました。
「ま、それならそれでいっけどさ、フリーなら合コンでもいこうかなぁ」
「なんだよ、おまえ、それ…」
自分は結構本気なのに、いつまでたってもセフレとしか扱わないワルコにワルオは面白くありません。
「酒飲んで、しゃべったりなんかするなよ」
「大丈夫大丈夫、それだけはしないってぇ、お金ずっと欲しいもん」
紅花を塗った指にフーフーと息を吹きかけながらニヤリとワルコが笑いました。
「ルオちゃ~ん、閲覧数どんどんあげて、もっともっと稼いでいこうねぇ~」
「…ったく」
背後から下着姿で抱きつかれてワルオもまんざらでもありません。
「じゃ、ま、行ってくるわ」
遠方なので早々に出発することにしました。
ワルオは道中何度も駕籠を乗り継いでオニーズ整形外科へとやっとたどり着きました。
(えっらく遠かったんですけど…)
ですが迷うことはありませんでした。
街道はきちんと整備されて。
まるで有名な神宮界隈のように食事処だってお土産屋だってあります。
森の中とは思えないほどに開けてしまっています。
そう、聖地化です、聖地化です。
おじいさんゆかりの地としてあっという間に聖地化してしまったのです。
(すっげぇ…)
オニーズ整形外科自体もこれまた豪華な門構えのお屋敷で、どれだけ稼いだんだよと圧倒されます。
最後尾に並んで受付を済ませると待合室も通路も人がごった返しています。
もしかしたら自分が最後かも。
そう思っていると案の定、本日の受付は終了しましたの看板が戸口に出されました。
そしてここからがやたらと長かったのです。
予想を遙かに超えて大好評なのです。
おそるべし、おじいさんの威力です。
ここはその人気にしがみつくしかありません。
その上でいずれはその地位を乗っ取ってやると企んでいたのです。
思い上がりです、思い上がりです。
限りなく思い上がりです。
ですが、所詮は無知の無知。
身の丈を理解することなどあるわけがなく鼻息荒くイキがって、今か今かとその診察日を待ち続けました。
そして、いよいよ当日になったのです。
「やっぱさ、今日はオレ独りで行ってくるわ」
「えっ、なんで? 自撮り?」
いつも二人で行動する時は協力し合って絵面のいい動画を取り合っているのです。
おばあさん担当のワルコが首を傾げました。
「いや一応さ、身体を見られるわけだし、念のため、まずは下見がいいかなって思ってさ」
相手は医者なのです。
しかも映像越しとかではなく診察を受けるのです。
白髪とほんの少しだけ老け顔にした特殊メイクをして行きますが、見抜かれる可能性だってあります。
今までも孫に甘い祖父母をだまくらかして本人たちを語り、シニア特権を使ったりの動画撮影もしましたが保険証を用いての病院は初めてなのです。
何かあった時にしらばくれるためにも、おばあさんとセットで行くのは避けるべしと。
ワルオは用心深く動くことにしました。
「ま、それならそれでいっけどさ、フリーなら合コンでもいこうかなぁ」
「なんだよ、おまえ、それ…」
自分は結構本気なのに、いつまでたってもセフレとしか扱わないワルコにワルオは面白くありません。
「酒飲んで、しゃべったりなんかするなよ」
「大丈夫大丈夫、それだけはしないってぇ、お金ずっと欲しいもん」
紅花を塗った指にフーフーと息を吹きかけながらニヤリとワルコが笑いました。
「ルオちゃ~ん、閲覧数どんどんあげて、もっともっと稼いでいこうねぇ~」
「…ったく」
背後から下着姿で抱きつかれてワルオもまんざらでもありません。
「じゃ、ま、行ってくるわ」
遠方なので早々に出発することにしました。
ワルオは道中何度も駕籠を乗り継いでオニーズ整形外科へとやっとたどり着きました。
(えっらく遠かったんですけど…)
ですが迷うことはありませんでした。
街道はきちんと整備されて。
まるで有名な神宮界隈のように食事処だってお土産屋だってあります。
森の中とは思えないほどに開けてしまっています。
そう、聖地化です、聖地化です。
おじいさんゆかりの地としてあっという間に聖地化してしまったのです。
(すっげぇ…)
オニーズ整形外科自体もこれまた豪華な門構えのお屋敷で、どれだけ稼いだんだよと圧倒されます。
最後尾に並んで受付を済ませると待合室も通路も人がごった返しています。
もしかしたら自分が最後かも。
そう思っていると案の定、本日の受付は終了しましたの看板が戸口に出されました。
そしてここからがやたらと長かったのです。
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