オメガの戦士はアルファに囚われる～ギリシャ神話オメガバース～

12：ペガサスの懇願とツガイとしての求愛と※

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　「ア、アトラス･･･」

　「お前の男の味を知れ」

　体液が付いた指先を唇へとあてられて。

　（そ、そんな･･･）

　と思わず、顔を引く。どうして、そんな理解できない要求をしてくるのかと揺れる瞳で問いかけた。けれども。ほら･･･と視線で促されるだけで、困惑が気遣われることはない。

　「舐めろ。舐めるんだ、テセウス」

　「ぁっ･･･やっ･･･ふっ･･･」
　
　それはどこか二人だけの秘密めいた儀式のようで。頬に熱を感じながら、荒い息で震える唇から、おずおずと。どうにも抗えずに、舌先を出した。

　ドクンッ！！

　途端に、視界が大きくブレて。
　
　「はぁあぁぁーーっ･･････」

　ズクズクッと。前も後ろも同時に反応した。

　「んん～～～っ･･････」

　見開いた瞳に涙が即座に滲み、うわずった声が勝手に漏れ出て。情欲の華が開花したかのように。全身が、視野が、指の先までもが、吐息すらもが一瞬にして。歓喜に染まった。

　「アトラスぅぅーー･･･っ･･････あぁあぁーーっ･･･」

　と愛しい男を欲する。この男の精液がもっと欲しいと。この身体の中に欲しいと。

　ンッ、ンッと夢中になって残りを舐め取り、もっと取り入れたいと。どうしようもないほどの本能的欲求が嵐のように湧き上がる。

　「はぁあぁぁーーっ･･･」

　どうにも、もどかしくて。異様にやるせなくて。アトラスの情愛そのものの強烈な気アルケーに巻きこまれて、内側から激しく渦を巻くように共鳴して。たまらずに、その腕にすがりついた。

　「アトラス、アトラスぅぅ･･･あぁ、はやくぅ･･･」

　「欲したな？　オレが欲しいか？　テセウス･･･どうなんだ？」

　狂喜を漂わす声での問いかけに、何度も頷く。欲しい。愛して欲しい。もう待てない。

　「ちゃんと、言葉にして言え」

　「欲しい･･･ハァハァ･･･欲しい･･･」

　「どっちなんだ？　前か後ろか？　どちらを愛されたいんだ？」

　「どっちも･･･欲し･･･い･･･おねが･･･あぁあぁぁっ･･･」

　「テセウス」

　膝立ちのまま、甘えるように胸に寄りかかり、素直にねだったその身体の。背中に、スーーッとアトラスが中指を滑らせる。下穿きをくぐり抜けて、双丘の間へと潜りこみ、

　「あぁぁーーっ！！」

　ずちゅっと。突き入れられたと同時に、くいっ、くいっ、くいっと指先を中で曲げられて。

　「あぁっ！！　はあぁっ！！　あぁっ！！」

　待ち侘びていた場所が、広げるように大きく掻き回された。

　「んーーっ！！」

　ぷるんと布からはみ出た先端が、タラタラと液が零し始める。

　「テセウス･･･やっと･･･オレを求めたな」

　「やあっ！！　んんっ！！」
　
　耳元で甘く囁かれながら、ゾロリと舐め回されて耳たぶを噛まれて。ゾクゾクッと震え上がった。

　「アトラス･･･ハァハァ･･･あぁっ！！」

　「ようやく･･･これで･･･」

　謎めいた言葉を呟きながら首筋へと移動した唇に、貞操帯ティーチェスタトルベを押さえられる。

　「ハァァアァァーーッ…」

　ビクンッと。またしても身が大きく跳ね上がった。

　（あぁ･･･なに･･･ど、どうして･･･？）

　ぼやけた視界で宙に問いかける。快感が止まらない。アトラスのすること全てに、声にすら。一体化でもしたかのように感じてしまう。虜にでもなったかのように。