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4:不可解な夢とグライアイの三姉妹と
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『塩? 答えはお塩なの? なんで?・・・・・・あ、そっか・・・』
暗闇の中、ぼわんっと白く輝いている円がある。丸窓のような形のその中から子供の無邪気な声が聞こえてきた。
『それだったら、お砂糖もいいよね・・・ふふ・・・・・・は頭がいいなぁ。大好き』
徐々に徐々にと大きく明確になっていく光の輪の中に。眩しいくらいに鮮やかな金色の髪が浮き上がった。
十歳くらいだろうか。ふわふわとした肩よりも長い髪の毛に小柄な身体と。だが、その顔は背中を向けていて分からない。
『えっ・・・お首の? ダメだよ・・・母さまが・・・これは取っちゃダメって・・・うん』
誰かと話しているようだが、その視線の先は黒いモヤがかかっていて見えない。
『えっ・・・嫌いじゃないよ・・・大好きだよ・・・えっ・・・でも・・・あっ、取っちゃダメって』
いやいやと首を振っている後ろ姿。その誰かから何かを要求されている。
『じゃ、ちょっとだけだよ。でも・・・触ったりしちゃ・・・ダメだよ』
手のひらから、ふわんと気を出して。首の貞操帯を自らの手で外した。
『えっ、な、なに?』
と小さな身体が黒い大きな人の形をした影に掴まれて。抱きしめられた。
『や、やだ、怖い・・・ダ、ダメ・・・あっ、ダメだって・・・あぁーーっ!!』
叫び声がした途端、目が覚めた――ガバッと起き上がる。
(なんだ・・・今のは・・・)
ハァ、ハァ、ハァと。思いも寄らずに乱れていた息をゴクリと飲みこんだ。もちろん、夢だ。けれども、かなり後味が悪い。誰だったのか。
(なんで・・・こんな夢を・・・)
楽しげにしていた子供が最後、何かをされたのだ。首を晒したということは。悲鳴を上げたということは。噛まれたのか。あんな小さい子を? 噛んだのか?
(誰がだ? オレじゃないよな・・・)
咄嗟にそう思い、違うと。いや、違うはずだと。強く否定した。
それだけはあって欲しくない。それだけは頼むからやめて欲しい。小さき弱き者に対しての何かしらの罪深い行為だけはしていないで欲しいのだ。
いつだって自分の犯した罪に想いを寄せた時、こんな可愛げのない性格だから、時の権力者に逆らったのかと。神族の不興でも買ったのかと。もしくは、戦いで戦略を間違えて多くの兵を失った罰なのか・・・など。
きっとそんなところではないだろうかと。そう思っていたというのに。もし、子供に手をかけていたとするならば、今の自分からすると最悪な輩だとしか思えない。
(オレじゃない・・・オレはそんなことはしない・・・)
自分を信じたい。全く記憶を思い出せない自分だけれども。自分ではないと。自分はそんなことをしないと何度も言い聞かせる。
(あの子は一体、誰なんだ。なんで夢に出てきたんだ。たまたまなのだろうか・・・)
ともう一度、その姿を思い返そうとしたその時――
「ワフッ!! ワフッ!!」
幌の裾をくぐるようにして、小さな物体が勢いよく飛びこんできた。
暗闇の中、ぼわんっと白く輝いている円がある。丸窓のような形のその中から子供の無邪気な声が聞こえてきた。
『それだったら、お砂糖もいいよね・・・ふふ・・・・・・は頭がいいなぁ。大好き』
徐々に徐々にと大きく明確になっていく光の輪の中に。眩しいくらいに鮮やかな金色の髪が浮き上がった。
十歳くらいだろうか。ふわふわとした肩よりも長い髪の毛に小柄な身体と。だが、その顔は背中を向けていて分からない。
『えっ・・・お首の? ダメだよ・・・母さまが・・・これは取っちゃダメって・・・うん』
誰かと話しているようだが、その視線の先は黒いモヤがかかっていて見えない。
『えっ・・・嫌いじゃないよ・・・大好きだよ・・・えっ・・・でも・・・あっ、取っちゃダメって』
いやいやと首を振っている後ろ姿。その誰かから何かを要求されている。
『じゃ、ちょっとだけだよ。でも・・・触ったりしちゃ・・・ダメだよ』
手のひらから、ふわんと気を出して。首の貞操帯を自らの手で外した。
『えっ、な、なに?』
と小さな身体が黒い大きな人の形をした影に掴まれて。抱きしめられた。
『や、やだ、怖い・・・ダ、ダメ・・・あっ、ダメだって・・・あぁーーっ!!』
叫び声がした途端、目が覚めた――ガバッと起き上がる。
(なんだ・・・今のは・・・)
ハァ、ハァ、ハァと。思いも寄らずに乱れていた息をゴクリと飲みこんだ。もちろん、夢だ。けれども、かなり後味が悪い。誰だったのか。
(なんで・・・こんな夢を・・・)
楽しげにしていた子供が最後、何かをされたのだ。首を晒したということは。悲鳴を上げたということは。噛まれたのか。あんな小さい子を? 噛んだのか?
(誰がだ? オレじゃないよな・・・)
咄嗟にそう思い、違うと。いや、違うはずだと。強く否定した。
それだけはあって欲しくない。それだけは頼むからやめて欲しい。小さき弱き者に対しての何かしらの罪深い行為だけはしていないで欲しいのだ。
いつだって自分の犯した罪に想いを寄せた時、こんな可愛げのない性格だから、時の権力者に逆らったのかと。神族の不興でも買ったのかと。もしくは、戦いで戦略を間違えて多くの兵を失った罰なのか・・・など。
きっとそんなところではないだろうかと。そう思っていたというのに。もし、子供に手をかけていたとするならば、今の自分からすると最悪な輩だとしか思えない。
(オレじゃない・・・オレはそんなことはしない・・・)
自分を信じたい。全く記憶を思い出せない自分だけれども。自分ではないと。自分はそんなことをしないと何度も言い聞かせる。
(あの子は一体、誰なんだ。なんで夢に出てきたんだ。たまたまなのだろうか・・・)
ともう一度、その姿を思い返そうとしたその時――
「ワフッ!! ワフッ!!」
幌の裾をくぐるようにして、小さな物体が勢いよく飛びこんできた。
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