騙されて異世界へ

59 朝はどうする

 朝のアラームで起床。
 脳内アラームに感謝。
 キナコを起こさないようにソッとベッドを離れる。
 久々に瞼が腫れぼったいな……
 【回復（小）】をかけて視界スッキリだ。
 ついでに【清浄】をかければ加齢臭もスッキリだ。
 ……切ない。

 今日は皆んなでギルドに向かうからな。
 朝飯は必須。
 さてさて、なんにするべきか。
 ……まずある物の確認だな。
 そばの実はある。
 パンは残り少ない。
 俺とキナコが腹一杯になる程度。
 干し肉、ベーコン、ウィンナーはある。
 ボア肉がほんの少しある。
 卵もある。
 いも、人参、玉ねぎもある。
 マッシュルームが少しある。
 レモンとりんごも。
 ……以上か。
 ちょっと、たらんデス。　
 リックとタバサの分を考えるとな……
 まぁ、足りなかったら屋台で追加して貰うか。

 まず、そばの実を軽く水洗いして、鍋にたっぷりの水を入れうるかす。
 別の器に水を入れ、干し肉を割いて入れうるかす。
 その間に、庭から適当にハーブを摘んで【清浄】する。
 いも、人参、玉ねぎ、マッシュルームを切る。
 ベーコンも刻む。
 起きがけ目に【回復】かけたが、玉ねぎパワー恐るべし。
 再度【回復】させとく。

 ボア肉を挽き肉状にして刻み玉ねぎを少しと卵、小麦粉を少々加えてこねる。
 こねたらミートボール状にコロコロしていく。
 出来たら下準備は終わりだな。

 そばの実鍋を火にかけ、沸騰したら五徳を使い中火位にして、火を弱めて、約10分程煮る。
 火からおろして約10分蒸す。
　
 別鍋に油を敷き玉ねぎを炒める。
 あめ色になったらベーコンを追加して炒め、火から下ろす。

 蒸し終えた方の鍋の中身をザルにあけ、そばの実と茹で汁をわける。

 玉ねぎの鍋に戻した干し肉を水ごとと、そばの茹で汁を入れ、いもと人参、マッシュルーム、ミートボール、ローリエを入れ、煮る。

 鍋に3のそばの実を入れ、一煮立ちしたら、塩・胡椒で整える。

 う～ん……
 やっぱり味が足りないな……
 本当だったら醤油やらみりん、出汁なんかも使って……
 三つ葉を散らして、和風な感じのそばの実雑炊なんだが……
 干し肉と塩・胡椒じゃココが限界なんだろうな……
 チャイブでも散らせばいいのか？
 何とか他の調味料を手に入れたいもんだ。　
 いや、コンソメやブイヨン位なら作る方が早いのか？
 安全な方がいいな。
 ボチボチ考えるか。

 器によそり、チャイブを散らして出来上がり。
 盛り付けたらすぐに【収納】する。

 もう一品か……
 根菜を刻み、ベーコンの残りを細かく刻む。
 とりあえずフライパンで炒める。
 塩・胡椒で味を整える。
 溶き卵を入れて具をからませ、形を整える。
 楽ちんオムレツの出来上がりっと。
 器に盛りフレッシュハーブのサラダも一緒に付ける。
 量に不安を感じたので、ウィンナーも炒めて付ける。

 ちなみにドレッシングは、油と塩・胡椒に砂糖を少々入れてかき混ぜただけの物だ。
 砂糖を使っているので高級な感じ。
 いや、胡椒も随分お高いだけどな。
 最初にガッツリ回収してたから、俺的にはタダ同然な気持ちでいっぱいデス。

 「おはよう、ソブル！腹減ったな！」

 「おはよう、ソブル。いい匂いだねぇ」

 「二人共、おはよう。腹減ったって挨拶かよ……」

 「にゃにゃにゃん！」

 「「キナコ♡」」

 キナコの登場でタバサと一緒にメロメロになった。
 １人で起きて来た事を褒め称え、挨拶が可愛く元気で大変よろしい事を永遠と永遠と……

 「あの……腹が、減ったのですが……」

 遠くに聞こえるリックの声が腹の音に塗り替えられるまで、それは続いたのだった……