騙されて異世界へ

だんご

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54 それは無いでしょ

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 とりあえず、殺虫霧やら空の樽やら掃除物品やらは相手持ちになったのでホッとしたよ。
 地味に金額が出てくからな……
 スミスさん所では出してくれたが、普通は自分持ちらしいから懐に響くんだよ。
 楽したければ自分でやってなスタンス。
 だから塩漬けになる。
 負の連鎖(?)が始まる訳だ。

 「はぁ……そろそろか?」

 『※その認識でOKです』

 情報は無いものの、必要物品を確保して戻ったら、丁度良い時間。
 空の樽を準備し、手ぬぐいをマスクの様にあて、きっちり縛ってドアオープン。
 まずはバル◯ンの煙を抜く事から開始だ。

 「うわぁ~……」

 ゾワゾワする光景。
 なんか、黒い。
 床、黒い。
 ほぼイエナイ。
 イエナイ光景。

 「これを7日放置とか……ないわぁ……」

 これが消える程に増殖させたんだろ?
 ないわぁ……

 さて。
 さっさとやっちまうか。
 切り替えって大事だからな。

 箒とちり取りで少しずつ樽に回収だ。
 地面がハローした時点で【清浄】をかける地味作業の開始だ。
 すぐにいっぱいに溜まるイエナイ何か。
 凄いスピードで樽を埋めて行く。
 溜まったゴミ問題もどうにかして欲しいな。
 どんどんと溜まる一方なんだよ……
 焼いて処理するにも限度があるし。
 今度ビルにでも相談してみるか。

 所々にあるランプっぽい魔導にタッチしながら、螺旋階段部分を掃除して2階に到着。
 リックの家もこの魔道具が何個かあったから、使い方はバッチリだ。
 流石のリックも火事の危機感を持っていたらしく、オイルランプや蝋燭は使わなかったそうだ。
 良かったと言えば、良かったんだろうが……
 ……うん。
 掃除しよう。

 どうやら殺虫霧は上へ登ったらしく、ここも真っ黒で何ともイエナイ光景だ。
 無言で回収作業へ。
 勿論、心は無の境地だ。
 心頭滅却すれば何とやらだ。

 少しずつ2階本来の姿が現れる。
 巻き上げ式な装置があったんだな……
 これがズドンと扉を落とす装置か。
 下手に触って作動させないように気をつけよう。
 
 黙々と回収・【清浄】作業を進め、壁際でふと気付く。
 コレ、アニメや映画で見るヤツだな。
 潜水艦とかにあるヤツ。
 ちょっと離れた所と連絡取るのに使う金属製の配管。
 伝声管ってヤツだよな。
 蓋付きの漏斗っぽい所が話す所だ。
 ちょっとこういうのは心がくすぐられるな。
 多分、上の階からの指示で扉を作動させるのに使われるんだろうが……
 ちょっと……こう……ロマンを感じる。
 心の中の少年部分が刺激されると言うか。
 こう、蓋をパカッと開けてみたくなる……
 パカッと……

 (パカッ)
 ((((ドザァーーーー!!))))
 『ぉぉぉぉぉ……』


 「っっっ?!」

 ……
 ……
 ……
 ……顔面蒼白、全身硬直案件。 

 伝声管ではなく、連絡通路だった……
 イエナイヤツラの……

 震える手で蓋を閉め、しばらく電源が落ちる俺。
 仕方ないよな。
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