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49 ちょっとした嵐
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「ちょっと!そこの兄さんっ!」
テロンテロン歩いてると、後ろで凄くドスの効いた女性の声がした。
痴話喧嘩か小競り合いか……
ハッキリ言って、興味無しだ。
厄介事だろうし、キナコも起きるから無視だ。
けど色々疲れたから、そのままテロンと歩き続ける。
「ちょっと?! そこの兄さんっ‼ 」
ったく……
相手の反応が無いのか?
小競り合いの吹っ掛けは良くないぞ?
元気な女性に好感は持つが、迫力満点の女性は御遠慮したい派なんだが……
そこの相手もそんな感じじゃないのか?
「っ!? もうっ‼ そこの肩からおくるみ下げてる兄さんっ‼ 」
肩からおくるみ?
俺の事か?
何故?
振り向くと、赤いゴワっとした髪を1つに束ねた女性がいた。
こちらも同じくおくるみを抱っこしているな。
……てか、こんなデカい声にさらされてるにも関わらず、爆睡するベイビー。
慣れてるのか?
将来、大物になるぞ。
「ちょっと、兄さん?! 無視するなんて酷いじゃないかい?! 」
うぉっ?!
いきなり距離詰めて来るの、怖いんだが?!
グイグイ来ると怖いっ‼
「いやっ、俺の事だと思わんからな……」
キョトンとされても……
俺はただテロンテロン歩いてただけだし?
なんもしてないぞ?
「それもそうだね……知り合いでもなかったし。大声出して悪かったよ」
そばかすの散った鼻の辺りを指でコリコリかきながら、若干恥ずかしそうに言う女性。
緑色のクリクリした目が、やや猫目なのに好感が持てる。
猫は総じて可愛い。
よってこの女性も可愛い。
きっと子育て中で気が立ってたんだろうな。
産後の猫さんには、適切な距離を保たねばな。
「いや。俺、なんか迷惑かけちまったか?疲れてたとは言え、気が付かず悪かったよ……」
テロンテロン歩いてるつもりでぶつかったか、何か大事な物を踏んだか……
いや、気が立ってるなら、存在事態が気に入らないとか?
……そこはどうにもならんから、早々に立ち去るしか解決策が無いしなぁ。
「あっ⁉ いやっ、違うんだよっ!! つい焦ってしまってさ?ごめんよ?聞きたい事があっただけなんだよ!」
「そうなのか?存在事態気に入らないとかじゃないのか?」
「なんだい、そりゃ?! どこの荒くれ者だいっ?! 喧嘩売ってんのかいっ?!」
「いや、売ってない売ってない。昔、身内に言われたのを思い出したんだよ……妹にな……産後なんざそんなもんだろ?」
「いや……まぁ……そうだね……」
大人しくなったが、可哀想な者を見る目になっちまった……
うん。
俺、可哀想だった……
「あ~……それで?俺に何か聞きたいって?」
「あっ、そうなんだよ。そのおくるみの事でさ?」
「この抱っこ紐か?」
「抱っこ紐!それっ!それどんなもんだい?! どこで売ってんだいっ?!」
おぉう……
またグイグイ来た。
「お、おい、落ち着けって。キナコが起きちまう……」
「あっ、ごめんよ。そっちの子は随分と繊細なんだね?うちの子は、抱っこしてりゃ、ちっとやそっとで起きないからねぇ……ついね?」
慣れてたかぁ……
随分と肝の座ったお子様ですね。
将来の大物決定だ。
「俺の所は猫なんだがな。可愛くてな。冒険者なもんだから、手が塞がっちまったらなんもできねぇが、キナコを粗末にもしたくねぇし……でコレを思いついてな?作って貰ったんだよ」
「随分と小さいと思ったよ。でも良い親父さんやってるじゃないか。いいねぇ……って事は、やっぱり手を使えるんだね?」
「おう。ある程度は手が使える。人の子用にも作るって言ってたからな」
「ホントかいっ?! どこでっ?! どこで手に入るんだいっ?!」
目茶苦茶グイグイ来る。
いや、死活問題だもんな。
ビルの嫁さんの店を話すと、知ってる所だからってすぐに行くと言って、本当にすぐ歩き出した。
いきなりの嵐だったわ。
はぁ……やれやれだ。
けど、アレな。
猫を抱っこ紐に入れてヨシヨシ可愛がっても、嫌な顔されないのは良かったな。
忌避感っての?
元の世界でも、全くの他人に猫っ可愛がりしてるのバレたらキモいとかなんとか言われたもんだが……
護る者がいるっていう共感からくるのかね?
ちょっと救われるな。
「んにゃ……?」
「ん?まだ家じゃないから、寝ててもいいぞ?」
「にゃ……ス~……」
すぐ寝た……
可愛い……
……さっきの母子、いい抱っこ紐に当たればいいなぁ。
そう思いながら、再び帰路についた。
テロンテロン歩いてると、後ろで凄くドスの効いた女性の声がした。
痴話喧嘩か小競り合いか……
ハッキリ言って、興味無しだ。
厄介事だろうし、キナコも起きるから無視だ。
けど色々疲れたから、そのままテロンと歩き続ける。
「ちょっと?! そこの兄さんっ‼ 」
ったく……
相手の反応が無いのか?
小競り合いの吹っ掛けは良くないぞ?
元気な女性に好感は持つが、迫力満点の女性は御遠慮したい派なんだが……
そこの相手もそんな感じじゃないのか?
「っ!? もうっ‼ そこの肩からおくるみ下げてる兄さんっ‼ 」
肩からおくるみ?
俺の事か?
何故?
振り向くと、赤いゴワっとした髪を1つに束ねた女性がいた。
こちらも同じくおくるみを抱っこしているな。
……てか、こんなデカい声にさらされてるにも関わらず、爆睡するベイビー。
慣れてるのか?
将来、大物になるぞ。
「ちょっと、兄さん?! 無視するなんて酷いじゃないかい?! 」
うぉっ?!
いきなり距離詰めて来るの、怖いんだが?!
グイグイ来ると怖いっ‼
「いやっ、俺の事だと思わんからな……」
キョトンとされても……
俺はただテロンテロン歩いてただけだし?
なんもしてないぞ?
「それもそうだね……知り合いでもなかったし。大声出して悪かったよ」
そばかすの散った鼻の辺りを指でコリコリかきながら、若干恥ずかしそうに言う女性。
緑色のクリクリした目が、やや猫目なのに好感が持てる。
猫は総じて可愛い。
よってこの女性も可愛い。
きっと子育て中で気が立ってたんだろうな。
産後の猫さんには、適切な距離を保たねばな。
「いや。俺、なんか迷惑かけちまったか?疲れてたとは言え、気が付かず悪かったよ……」
テロンテロン歩いてるつもりでぶつかったか、何か大事な物を踏んだか……
いや、気が立ってるなら、存在事態が気に入らないとか?
……そこはどうにもならんから、早々に立ち去るしか解決策が無いしなぁ。
「あっ⁉ いやっ、違うんだよっ!! つい焦ってしまってさ?ごめんよ?聞きたい事があっただけなんだよ!」
「そうなのか?存在事態気に入らないとかじゃないのか?」
「なんだい、そりゃ?! どこの荒くれ者だいっ?! 喧嘩売ってんのかいっ?!」
「いや、売ってない売ってない。昔、身内に言われたのを思い出したんだよ……妹にな……産後なんざそんなもんだろ?」
「いや……まぁ……そうだね……」
大人しくなったが、可哀想な者を見る目になっちまった……
うん。
俺、可哀想だった……
「あ~……それで?俺に何か聞きたいって?」
「あっ、そうなんだよ。そのおくるみの事でさ?」
「この抱っこ紐か?」
「抱っこ紐!それっ!それどんなもんだい?! どこで売ってんだいっ?!」
おぉう……
またグイグイ来た。
「お、おい、落ち着けって。キナコが起きちまう……」
「あっ、ごめんよ。そっちの子は随分と繊細なんだね?うちの子は、抱っこしてりゃ、ちっとやそっとで起きないからねぇ……ついね?」
慣れてたかぁ……
随分と肝の座ったお子様ですね。
将来の大物決定だ。
「俺の所は猫なんだがな。可愛くてな。冒険者なもんだから、手が塞がっちまったらなんもできねぇが、キナコを粗末にもしたくねぇし……でコレを思いついてな?作って貰ったんだよ」
「随分と小さいと思ったよ。でも良い親父さんやってるじゃないか。いいねぇ……って事は、やっぱり手を使えるんだね?」
「おう。ある程度は手が使える。人の子用にも作るって言ってたからな」
「ホントかいっ?! どこでっ?! どこで手に入るんだいっ?!」
目茶苦茶グイグイ来る。
いや、死活問題だもんな。
ビルの嫁さんの店を話すと、知ってる所だからってすぐに行くと言って、本当にすぐ歩き出した。
いきなりの嵐だったわ。
はぁ……やれやれだ。
けど、アレな。
猫を抱っこ紐に入れてヨシヨシ可愛がっても、嫌な顔されないのは良かったな。
忌避感っての?
元の世界でも、全くの他人に猫っ可愛がりしてるのバレたらキモいとかなんとか言われたもんだが……
護る者がいるっていう共感からくるのかね?
ちょっと救われるな。
「んにゃ……?」
「ん?まだ家じゃないから、寝ててもいいぞ?」
「にゃ……ス~……」
すぐ寝た……
可愛い……
……さっきの母子、いい抱っこ紐に当たればいいなぁ。
そう思いながら、再び帰路についた。
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