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31 中島8日目。プチパニック
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「……メールがないです。中島さん、こりゃ一体どうなってるんだね?」
帰宅後、脱走もせずにいた中島を褒め称え、葉っぱを入れて、思わず問いかけてしまったわ。
『…………』
「だいたい、1週間で帰るって言ってたじゃないか?一応連絡ついたけど、詳しく知りたいワケ」
『………』
「いや、そこまで逐一連絡寄越せってワケじゃないぞ?安全なのかとか、どのルートで帰るとか。大事でしょ?」
『…………』
「なのに、肝心な所すっ飛ばして、山越えって何?兄ちゃん全然理解できないんだけど?」
『…………』
「百歩譲って山越えを理解しました……どこの山?ねぇ一体どこの山をどう越えてんの?! 安全なの?! 安全なの?! ねぇ?!」
『…………』
「徒歩なのっ?! 徒歩なのっ?! 独歩なのっ?!」
『……シャクシャクシャクシャク』
「ねぇ?!中島っ?! 聞いてるっ?!」
『シャクシャクシャクシャク』
「あ~~~~~っ!! 兄ちゃん、どうすりゃいいのさぁ~~っ!!」
『シャクシャクシャクシャク』
「…………」
盛大に中島に愚痴っている自分。
どうなの?
「…………」
『シャクシャクシャクシャク』
「中島……すまんかった……」
『…………シャクシャクシャク』
中島に謝る自分。
どうなの?
…………
どうなの?
『ガダダダダダダダダッ』
「ひぃっ?!」
えっ?何っ?! 何事っ?!
突然自宅の北側から激しい音が聞こえた。
『ガリッガリガリガリッ』
えっ?えっ?
今度は壁を激しく引っ掛かいてるっ?!
えっ?! 何っ?! 怪奇現象っ?!
「なっ、なっ、中島ぁ~……」
『シャクシャクシャクシャク』
思わず葉っぱをシャクつく中島のケースにすがり付いてしまう。
『ガリッガリッガリガリッ』
音は外からっぽい。
『ガリッガリッガリッガリッ』
「ひぃ~……まさか、薫っ?! 薫の身になにかあっ」
『ガダダダダダダダダッガダッ』
「ぁひぃ~……なかじみゃ~……」
コレ、外だっ。外、外、外。
コレ、物理的な音っ!!
怪奇じゃなくて、人為的なヤツ……?!
「どっちも……無理だぞぉ……?」
お話しの通じない相手と事をかまえるなんて、格闘家とかじゃないと無理だからっ!?
「まっ……まず、風呂場の、電気、つけてみるか……」
風呂場のガラスを突き破って入ってきたら……こっ、怖っ!!
台所から風呂場まで……
まだガリガリしてるっ。
手近な所にあったフライパンの鍋蓋を持って、まな板を握った。
「(ボウリョク反対っ)」
『(パチッ)』
…………
…………
あれ……?
(数分静止)…………
……終わった?
(数分静止)…………
終わったっぽい……良かったぁ~……
怖いから、電気、しばらくつけとこ。
居間に戻り耳をすますが、中島の生活音しか聞こえない。
時刻は夜9時。
独り暮らしの一軒家を狙った犯行にしたら、ちょうど良い時刻かもしれない。
……でも、バリバリ起きてるよ?
自分、足掻くよ?
鍋蓋・まな板装備してるし。
まな板、結構痛いよ?
……鍵、もう1個かけて来よう。
恐る恐る。
玄関に人影がないか確認しながら、施錠をする。
「はぁ~……怖かった……」
今日は一晩中リビングの電気はつけておこう……
中島は2階の廊下だな。
……すまん中島。
寝室で中島の生活音聞く自信がないんだ。
「はぁ……改めて見た自分の装備って……」
左手鍋蓋。
右手まな板。
……弱い。
初期装備並みに弱い。
立て掛けた包丁もあったのに。
手に取ったのはコレ。
いや、確かに殺傷能力の高い包丁を手に取っても、実際使いたくないし。
無意識に避けたんだろうけども?
コレはないでしょ。
……人間、パニックになるとこうなるんだなぁ……はぁ。
せめてフライパンを握れよ自分……はぁ。
何か自分自身にガッカリしたわ……
薫からのメールはない。
テレビもいつもの半分の音量で警戒しながら。
半分も内容が入って来ない。
一応、風呂場の電気は消して来た。
多分、大丈夫だと……思いたい。
時刻は0時。
薫からのメールはない。
が、眠い。
迷ったが、中島ケースとフライパンを持って寝室へ向かう。
金属バットが欲しい所だが、あいにくと外の物置だ。
テニスラケットとバドミントンラケットもあるが……
スマッシュが決まっても、心もとない一撃だ。
中島ケースを2階の廊下の隅に置き、周りを雑誌で固める。
間違って中島ケースを蹴らないように。
電気をつけずに作業しているから、ケースの蓋チェックはしっかりした。
寝室も電気をつけずに入り、手探りでフライパンも設置した。
よし。
寝る。
絶対大丈夫。
寝る。
明日、無事目覚めますように……
帰宅後、脱走もせずにいた中島を褒め称え、葉っぱを入れて、思わず問いかけてしまったわ。
『…………』
「だいたい、1週間で帰るって言ってたじゃないか?一応連絡ついたけど、詳しく知りたいワケ」
『………』
「いや、そこまで逐一連絡寄越せってワケじゃないぞ?安全なのかとか、どのルートで帰るとか。大事でしょ?」
『…………』
「なのに、肝心な所すっ飛ばして、山越えって何?兄ちゃん全然理解できないんだけど?」
『…………』
「百歩譲って山越えを理解しました……どこの山?ねぇ一体どこの山をどう越えてんの?! 安全なの?! 安全なの?! ねぇ?!」
『…………』
「徒歩なのっ?! 徒歩なのっ?! 独歩なのっ?!」
『……シャクシャクシャクシャク』
「ねぇ?!中島っ?! 聞いてるっ?!」
『シャクシャクシャクシャク』
「あ~~~~~っ!! 兄ちゃん、どうすりゃいいのさぁ~~っ!!」
『シャクシャクシャクシャク』
「…………」
盛大に中島に愚痴っている自分。
どうなの?
「…………」
『シャクシャクシャクシャク』
「中島……すまんかった……」
『…………シャクシャクシャク』
中島に謝る自分。
どうなの?
…………
どうなの?
『ガダダダダダダダダッ』
「ひぃっ?!」
えっ?何っ?! 何事っ?!
突然自宅の北側から激しい音が聞こえた。
『ガリッガリガリガリッ』
えっ?えっ?
今度は壁を激しく引っ掛かいてるっ?!
えっ?! 何っ?! 怪奇現象っ?!
「なっ、なっ、中島ぁ~……」
『シャクシャクシャクシャク』
思わず葉っぱをシャクつく中島のケースにすがり付いてしまう。
『ガリッガリッガリガリッ』
音は外からっぽい。
『ガリッガリッガリッガリッ』
「ひぃ~……まさか、薫っ?! 薫の身になにかあっ」
『ガダダダダダダダダッガダッ』
「ぁひぃ~……なかじみゃ~……」
コレ、外だっ。外、外、外。
コレ、物理的な音っ!!
怪奇じゃなくて、人為的なヤツ……?!
「どっちも……無理だぞぉ……?」
お話しの通じない相手と事をかまえるなんて、格闘家とかじゃないと無理だからっ!?
「まっ……まず、風呂場の、電気、つけてみるか……」
風呂場のガラスを突き破って入ってきたら……こっ、怖っ!!
台所から風呂場まで……
まだガリガリしてるっ。
手近な所にあったフライパンの鍋蓋を持って、まな板を握った。
「(ボウリョク反対っ)」
『(パチッ)』
…………
…………
あれ……?
(数分静止)…………
……終わった?
(数分静止)…………
終わったっぽい……良かったぁ~……
怖いから、電気、しばらくつけとこ。
居間に戻り耳をすますが、中島の生活音しか聞こえない。
時刻は夜9時。
独り暮らしの一軒家を狙った犯行にしたら、ちょうど良い時刻かもしれない。
……でも、バリバリ起きてるよ?
自分、足掻くよ?
鍋蓋・まな板装備してるし。
まな板、結構痛いよ?
……鍵、もう1個かけて来よう。
恐る恐る。
玄関に人影がないか確認しながら、施錠をする。
「はぁ~……怖かった……」
今日は一晩中リビングの電気はつけておこう……
中島は2階の廊下だな。
……すまん中島。
寝室で中島の生活音聞く自信がないんだ。
「はぁ……改めて見た自分の装備って……」
左手鍋蓋。
右手まな板。
……弱い。
初期装備並みに弱い。
立て掛けた包丁もあったのに。
手に取ったのはコレ。
いや、確かに殺傷能力の高い包丁を手に取っても、実際使いたくないし。
無意識に避けたんだろうけども?
コレはないでしょ。
……人間、パニックになるとこうなるんだなぁ……はぁ。
せめてフライパンを握れよ自分……はぁ。
何か自分自身にガッカリしたわ……
薫からのメールはない。
テレビもいつもの半分の音量で警戒しながら。
半分も内容が入って来ない。
一応、風呂場の電気は消して来た。
多分、大丈夫だと……思いたい。
時刻は0時。
薫からのメールはない。
が、眠い。
迷ったが、中島ケースとフライパンを持って寝室へ向かう。
金属バットが欲しい所だが、あいにくと外の物置だ。
テニスラケットとバドミントンラケットもあるが……
スマッシュが決まっても、心もとない一撃だ。
中島ケースを2階の廊下の隅に置き、周りを雑誌で固める。
間違って中島ケースを蹴らないように。
電気をつけずに作業しているから、ケースの蓋チェックはしっかりした。
寝室も電気をつけずに入り、手探りでフライパンも設置した。
よし。
寝る。
絶対大丈夫。
寝る。
明日、無事目覚めますように……
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