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ふざけたハンドルネームのままBLゲームの世界に転生してしまった話
52 本当の名を取り戻した日 ※
しおりを挟む「ううっ……クルスの馬鹿っ……あほ……」
男に、ケツだけでイかされてしまった。
「しかも上着にかかったし」
「じゃあ脱ごうか」
そう言ってクルスは、賢者タイムに片足を突っ込みかけていた俺の上着を剥ぎ取ると、再びベロを入れる方のキスをしてきた。
クルスの湿った指が、かつてヘラルドに握りつぶされそうになった俺の乳首に触れる。
「ちょっ……おま、どこ触って……っあ!」
男には無用だと思っていた突起物が、軽い力で抓られたり引っ掻かれたりしていくうちにチンコみたいに硬くなり始めて、連動するかのように「びんっ」と音がたちそうなほど下の方も元気を取り戻してしまった。
実際は人並みよりやや小ぶりなサイズ感だから、そんな音しないんだけど。
再び唇が離れた時、俺は不満MAXでクルスに異議を申し立てた。
「なんで……っ、俺だけ全身剥かれて、クルスはノーダメージなんだよっ!」
これじゃあまるで、野球拳にボロ負けした奴じゃないか。
服を着させろ‼︎ という意味合いで言ったのに、クルスは
「わかった、僕も脱ぐ」
と言って全身真っ黒の上着やら下着やらを手際よくリリースし始めた。
「いやそういう事じゃ……うわああああ‼︎」
細身だと思っていた体は思ったより筋肉質で、腹筋がうっすら割れている。
ホァー……クルスって意外といい体してんのなと思っていたら、真っ黒なボクサーパンツがするりと足から離れ、既に臨戦態勢の逸物が視界に飛び込んできた。
でかい。たぶん当社(俺)比1.4倍くらい、でかい。
思わず両手で顔を押さえ、クルスに向かって叫んだ。
「その凶器を今すぐ仕舞えっっ」
「凶器って……これの事?」
クルスが俺に覆い被さってきたかと思うと、さっきまで指が入っていたところに硬いものを圧し当ててきた。
「なっ、何してんだっ、ばかっ!」
「顔見せて」
左手を優しい力でどかされると、どエロい笑みを浮かべたクルスの顔が至近距離にあった。
「凶器……だっけ?
仕舞うなら、ここに……いいか……?」
うわあ、その上目遣いは反則だろ……。
言ってること自体はとんでもなくアホなのに、胸がぎゅん、となって絆されてしまう。
「痛くしたら……コロス……」
「今日が僕の命日にならないように善処するよ」
クルスは「これだけ濡れてるから、大丈夫だと思うけど」と俺に声を掛けると、ゆっくりと中に割り入ってきた。
「……っ、う……」
「痛かったら、言って」
月桂樹の雫のお陰だろうか、それとも先程指を挿れられたせいか、息苦しさや引っ張られるような感覚はあるが、痛みはほぼ感じない。それ以上に、
「……んん……ッ」
早く奥まで来て欲しい衝動で、クルスが入っているところがじんじんと熱を帯びている。
「……あったかいな。お前の中」
「……うるさい……っ」
早くいっぱいにして欲しい、そんな事言える訳がない。でも……。
逡巡しながら顔を上げると、すっかり雄の表情へと変わったクルスと目が合った。驚きで胸がどきりと跳ね、下腹部に力が入ってしまった。その瞬間、
「……ごめん、やっぱり優しくできないかも」
熱を帯びた奴のチンコが、一気に奥まで突き上げてきた。
「ひゃ!あ、いや、っん……!」
未知の衝動に口を押さえるのも忘れ、クルスの体に縋りついた。かき混ぜられてぐずぐずになった脳内に、ばつん、ぱちゅん、と体同士がぶつかり合う音が響く。
ああ……エロマンガのパンパン、って音、本当にするんだな……。
そんなくだらない考えがふと頭をよぎると、腰を両手でがっしりと掴まれて、さらに奥深くを貫かれた。
「……ああああっ! それ、やだ……むり……っ」
「今、他の事考えてただろ。……僕を見て」
クルスは俺の顎を掴むと、再び深く口付けた。
もしかして、嫉妬してたのか……? 余裕なく俺を求める目の前の男が、急に愛らしく見えてきた。
――クルス、俺が好きなのはお前だけだよ。
応えるように、奴の舌に自分の舌を絡めると、口内にじんわりとした温かさが広がってきた。
気持ちいい、と思っていたのに、突然クルスの唇が俺から離れた。
「コノハ、……お前の本当の名前、聞かせてもらえないか……?」
「…………へ?今?」
なんでこのタイミング?
でもクルスは極めて真剣な表情だ。 ……チンコ入ったままだけど。
「どうせまたこのハゲ、って聞く事になると思うけど」
俺が溜息を吐くと、クルスが両手で優しく俺の顔を包んだ。
「今なら、きっと聞かせてもらえる気がするんだ。
……それに、たとえ失敗していても、本当の名前を聞けるまで何度でも訊く。
だから、言って」
「……わかったよ」
そして、諦めつつも俺は口を動かした。
「しげる」
自分の口から出た言葉に、目を大きく見開いた。
その瞬間、涙腺がぶっ壊れたかと思うくらい、ボロボロと涙が溢れ出てきた。
「しげる……。俺の、本当のなまえは……っ、美髪、しげる……」
約束通り、一番に本当の名前を伝えられた。俺のことを一番識っててほしい、一番大切な人に……。
俺に掛けられた忌まわしいふざけた呪いを、クルスが解いてくれたんだ。
泣きじゃくる俺に、クルスは「泣くなよ」と言いながら少し乱暴な手つきで涙を拭うと、口もとを綻ばせた。
「やっと『呪い』を解く事ができた。
みかみ、しげる。……いい名前だな」
そう言って花が咲いたように微笑んだクルスの顔は、攻略本に載っていたどのキャラクターのスチルよりも美しく、俺の心をぎゅっとさせた。
「しげる」
「なに?」
「好きだよ」
「……俺も、……っ、ああっ……」
「気持ちいいね、しげる」
クルスは俺の耳元で囁くと、再び腰を動かし始めた。
「うるさい……っ、このっ……」
必死に強がるが、さっきからクルスが入り込んでくるところが痙攣しっぱなしで、甘い快楽の波に溺れてしまっていることを隠せない。
「しげる、可愛い。
震えながら、しっかり咥えこんでくれてる」
「‼︎……ぁ、んっ、……ぅ」
クルスが容赦なく、理性を失った俺の中を責め立てる。てか肛門に理性なんてあるかバカ。こいつのせいで、頭の中がメチャクチャだ。
ああ、もうダメだ。意識とぶ、これ。
「クルス、もう無理、……イく」
俺がクルスに白旗を掲げると、呼応するかのように、クルスの怒張が硬さと体積を増した。
「クルス……、一緒に」
視界が白飛びして、魂まで持っていかれそうになった瞬間、先程までクルスに満たされていたところが、急に空っぽになった。
「……え?」
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