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ふざけたハンドルネームのままBLゲームの世界に転生してしまった話
4 呪われたこのハゲは主人公で俺 ☆
しおりを挟む(前回に続きしょっぱなからお上品ではないワードが出てきます。ご注意下さい)
え……もしかしてこいつも、経血収集癖があるのか……?
こんなキラキラで、爽やかな見た目してるくせに、中身は超ヤバイ奴じゃん……絶対関わりたくない。
それにこのモブについては知らんが、俺にはレディの経血を集めるなどという気持ちの悪い趣味は一切ない。
「や、全然いらないです。
むしろ割れてなくなってくれて良かったなーって思ってるくらいなんで。マジで気にしないでください」
あんな代物を再び手に入れても困るので、目の前のイケメン、いや変態男に全力で拒否の意向を示すと、男は大層驚いた表情をした後、不穏な笑みを浮かべた。
「私からの提案を断るなんて……君って面白い男だな。
名前を、教えてくれないか」
いや、この提案を断らない方が普通だと思ってるの、おかしいだろ。この変態男、妙なところ自信家でより一層怖いわ。
しかも『おもしれー男』認定された挙句、名前まで訊かれてるし。
こんな危険人物に本名など教えてたまるか。適当な偽名を伝えとこう。
「山田太郎です」
…………アアアアアアァン⁉︎⁉︎
俺…今、やまだたろう、って言ったつもりなんだが⁈
コノハ・ゲーって、まさか……。
次の瞬間、俺が頭を打つ直前までの記憶が蘇ってきた。
俺は確か、姉のBLゲームをプレイしようと、ふざけたハンドルネームを入力して……。
そんでもって、目の前にいる変態男は、ゲームのアイコンに一番デカデカと描かれていた奴……つまり、メインの攻略対象だ。たぶん。
という事は、
「俺、もしかして主人公なの……⁉︎」
愕然とする俺にはお構いなしに、変態男はにっこりと微笑んだ。
すると、変態男の背後にキラキラとしたエフェクトと、字幕付きの巨大なピンク色の付箋のようなものが登場した。
???
『そうか、君が噂の……。
コノハ・ゲー……とても愛らしい響きの名前だな』
…んなわけあるか、このボケ‼︎
しかも、俺自身は『コノハ・ゲー』と正しく発音していた気がするのに、『このハゲ』で返されてるし。長音どこ行った。
俺が変態男を睨みつけると、巨大な付箋の字幕?が切り替わった。
エドワード・ブルジャイン
『私はエドワード・ブルジャイン。
この国の王太子で、君の同級生だ。
仲良くしてくれ』
字幕と同じセリフを言って、エドワードと名乗った変態男が右手を差し出してきた。
変態男よ、その手で生理中のレディ達に疾しい事をしてきたんだろ?絶対に握りたくない。
ただコイツ、王太子なんだよな……。自称だったらいいけど、見た目(だけ)は完全に王子様だし、もし本当なら変に機嫌を損ねて粛清されても困るな。
「よ、よろしくお願いします……仲良くしてくださいィ」
握手をせず、且つ、変態男の機嫌を損ねないよう、俺は懇切丁寧に挨拶をすると、深々と頭を下げた。
エドワード・ブルジャイン
『ところで、コノハ・ゲー。
君の右手の怪我がとても心配なんだ。
念のため、これから一緒に保健室に行ってくれないか?』
→抱っこして連れてって
おんぶして連れてって
舐めてくれたら治る♡
巨大な付箋の上に重ね貼りするように、やや小さめの、いや、デカいんだけど、さらに謎の選択肢が表示された付箋が出てきた。そして変態男の顔の横には透明なハートが現れた。
もしかしてこれ、ゲームの選択画面的なヤツか?
しかし碌な選択肢がない。どれも選びたくないが、特に一番下が酷い。
「あ、あのー、保健室なら一人で行きますんで。お気になさらず。ではさようなら」
選択肢が全部クソなら、全部無視して自分の言葉で回答すりゃいいんだ。
俺がペコリとお辞儀をして、その場を去ろうとすると、無言で腕をガシィ!と掴まれた。
「ヒィィッ‼︎」
変態男が謎の選択画面とハートを携えたまま、ニコニコと微笑みながらこちらを見ている。無言なのがひたすら怖い。
「いや、離して」
変態男は時々瞬きをするものの、スリープモードに入ったかのように微動だにしない。そして、選択画面の矢印が早く選べと言わんばかりにチカチカと激しく点滅しだした。
もしかしてコレ、どれかしら選ばない限り次に進まない……⁉︎
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