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第三十六話 災害
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俺たちは楽しい気分から一転して最悪な気分である。目の前にいるジルバルさんもそれを感じているのか
「パーティーの邪魔をしてすまない。だが君たちの協力が必要不可欠なのだ」
現在王都に向かっている「災害」ことアイアンタランチュラは名前の通りから全身が鋼鉄の鎧を纏っているように硬く、そして何よりでかい。全長は十五メートルにも及び高さは八メートルほどある。
現在アリアさん含め三十人の騎士団が撃退に向かっているが足止め程度にしかならず、本格的な討伐隊を組むことになった。その中に俺たちも入ってほしいとのこと。
もちろん今回の討伐も強制ではないが俺や雅人、滝下はすぐに準備に動いた。
とわ言っても俺は日ごろからアイテムボックスの中に武器を入れているのでほとんど準備をしなくてもいい。
俺は準備をしている東方さんの手を握り、物陰に連れ込んだ。
「どうかしたの? 真部君?」
「こんな時で悪いんだけど・・・・」
俺はアイテムボックスから黒いローブを取り出した。
「クリスマスプレゼントです」
だが東方さんは受け取ろうとしない。その目には涙が浮かんでいる。俺は驚いてしまい。流石に服はきもかったかなと後悔している。
「真部君、死ぬ気なの?」
俺はこの一言でピンときた。確かに戦い前にクリスマスプレゼント渡すなんてまるで死にに行くみたいだ。だから東方さんは泣いてくれたのか。そのことに俺の心はギュッと締め付けられるような感覚を覚える。
「いや、このローブは水と雷の魔法に対して耐性があるんだ。相手がどんな攻撃をして来るか分からないし、いつで
も俺が助けられるわけじゃない。だからこれを着てほしい。そしたら俺も安心して戦える」
「分かった」
東方さんは俺からローブを受け取るとそれを羽織る。やっぱり東方さんによく似合うな。
「よく似合ってるよ」
その後俺たちは馬車に乗りこみ戦場へ向かう。同じ馬車には雅人と滝下、臥竜院、那須君が乗っている。
「雄二、戦う前に彼女が心配だからってイチャつくのはの感心しないな」
雅人のその言葉に俺は一瞬体がビクッと揺れる。周りの視線が痛い。
「東方さんは俺の彼女じゃないし、それにクラスの仲がいい女友達を心配するのは普通だろ?」
雅人たちが片手を横に振る。そんな馬鹿なことをしている間に戦場へ着く。そこにはすでにアリアさんがおり、どうやらほとんど足止めできず撤退してきたそうだ。
あのアリアさんが手も足も出ないとなると本格的にヤバいかもな。
俺は涅鉄(スラメタ)の剣をアイテムボックスから出し、いつでも戦闘を開始できるようにしておく。しかも今回はいつもと違い冬の期間にあまり武器を作成できなかった所為でいつものように状況に合わせて戦法を変えることが難しい。
もしかしたらこっちに来て初めてのガチ勝負になるかもしれない。
アイアンタランチュラはクゼの森から王都へ一直線に来ており、俺たちがいるこのあたりが最終防衛ラインとなっている。そのため騎士団だけでなく冒険者も集められている。
地面が揺れ始める。その揺れは確実に大きくなり「災害」の姿が見える。数字で聞くのと本物を見るのとではやはり違い。距離的にはまだ五百メートルほど離れているのに大きく見える。
「魔法用意」
ジルバルさんの号令と共に魔法系が魔力を溜める。
「放て!」
発射の合図で魔法の雨がタランチュラを襲う。がやはりあの鋼鉄の体に阻まれほとんどダメージが入らない。第二射をすぐに発射するが、やはり効かない。こうなると残すは俺含め近接攻撃の出番である。
「突撃!」
ジルバルさんの号令で全員がタランチュラに突っ込む。タランチュラは俺たちに構わずそのまま突進してくる。俺は足の間をすり抜け上をタランチュラが通り過ぎる。
俺はタランチュラの体を見て足や腕、腹の節々にはガードが甘い。
俺はその隙間を狙い攻撃する。しかし剣が弾かれてしまった。普通に足の隙間も硬い。付魔(エンチャント)してやっと刺さるかどうかである。だがなるべく魔力は温存したい。俺たちを前に暴れ回るタランチュラ。滝下の『一点集中』を乗せた攻撃が当たるがビクともしない。
となると狙う場所を変えるしかない。蜘蛛の中で弱い部分は腹と頭。俺は暴れるタランチュラの背中に飛び乗り、 付魔(エンチャント)をかけて力一杯刺す。その瞬間苦痛のあまり暴れ始め、武器を手放してしまう。仕方なく伸縮する剣を取り出す。
暴れ出したタランチュラは雅人目掛けて猛突進。だがそれを無駄のない動作で回避。そしてその先では
「「煌々と流れる水よ。対局たる火の力を持って我が敵を討て! 水飛熱砲(ウォーターランチャー)」」
東方さんと稲荷さんお合体魔法がタランチュラの顔面に直撃。その隙を逃さず、四方から攻撃が飛ぶ。俺はすかさずもう一度背中に飛び乗り剣を回収。ぐらついている体を走り、タランチュラの頭部目掛けてもう一度攻撃しようとした瞬間、顔を上げ口から糸を吐く。
俺は糸を切ろうと剣を振るがくっついているのかそれとも糸自体の強度が高いのかは分からないが、切ることが出来ず、ギリギリで回避をした。
タランチュラは辺りに口から腹から糸を吐き、周囲に近づけさせないようにしている。俺は剣に魔力を込め飛ぶ斬撃(スラッシュ)を放つがやはり外骨格に阻まれ攻撃が通らない。
さらに攻撃が激しさを増す。八本ある足を自在に動かし、複数の方向から攻撃を繰り出す。騎士団や冒険者含めすでに多くのものが脱落をしている。
タランチュラの攻撃が続く中、一人タランチュラに接近する。雅人だ。雅人は剣に魔力を込め、さらに渾身付魔を纏っている。剣の魔力が徐々に赤くなり、炎に変わる。
向かい合うタランチュラと雅人。ほぼ同時に一歩目を踏み出すが、さきに懐に入ったのは雅人だった。雅人は剣を振る。その姿はまるで踊っているように炎が舞う。
攻撃事態は一瞬で硬かったはずの鋼鉄装甲は切断され、足が切れ、最後に頭が落ちた。
そこでタランチュラは息絶えた。
雅人は俺の方を向き、爽やかイケメンスマイルを炸裂させて来る。今すぐにでもボコボコにしてやりたかったが、やはり魔力を使い過ぎたのかその場に倒れ込む。俺はそれを見越し雅人を支えた。
なんか俺の役割じゃないような気がする。
その後今回の戦いに参加した冒険者たちには金一封が与えられ、タランチュラは騎士団によって王に献上された。
タランチュラは解体され、魔石は財源のため売られ、外骨格や牙はギルドに売ることとなった。その際に余った腹と頭の部分を俺が買うことで今回のタランチュラの報酬を得ることが出来た。
結局王国に戻って祝杯とクリスマスということでシフォンケーキを食べることが出来た。
「パーティーの邪魔をしてすまない。だが君たちの協力が必要不可欠なのだ」
現在王都に向かっている「災害」ことアイアンタランチュラは名前の通りから全身が鋼鉄の鎧を纏っているように硬く、そして何よりでかい。全長は十五メートルにも及び高さは八メートルほどある。
現在アリアさん含め三十人の騎士団が撃退に向かっているが足止め程度にしかならず、本格的な討伐隊を組むことになった。その中に俺たちも入ってほしいとのこと。
もちろん今回の討伐も強制ではないが俺や雅人、滝下はすぐに準備に動いた。
とわ言っても俺は日ごろからアイテムボックスの中に武器を入れているのでほとんど準備をしなくてもいい。
俺は準備をしている東方さんの手を握り、物陰に連れ込んだ。
「どうかしたの? 真部君?」
「こんな時で悪いんだけど・・・・」
俺はアイテムボックスから黒いローブを取り出した。
「クリスマスプレゼントです」
だが東方さんは受け取ろうとしない。その目には涙が浮かんでいる。俺は驚いてしまい。流石に服はきもかったかなと後悔している。
「真部君、死ぬ気なの?」
俺はこの一言でピンときた。確かに戦い前にクリスマスプレゼント渡すなんてまるで死にに行くみたいだ。だから東方さんは泣いてくれたのか。そのことに俺の心はギュッと締め付けられるような感覚を覚える。
「いや、このローブは水と雷の魔法に対して耐性があるんだ。相手がどんな攻撃をして来るか分からないし、いつで
も俺が助けられるわけじゃない。だからこれを着てほしい。そしたら俺も安心して戦える」
「分かった」
東方さんは俺からローブを受け取るとそれを羽織る。やっぱり東方さんによく似合うな。
「よく似合ってるよ」
その後俺たちは馬車に乗りこみ戦場へ向かう。同じ馬車には雅人と滝下、臥竜院、那須君が乗っている。
「雄二、戦う前に彼女が心配だからってイチャつくのはの感心しないな」
雅人のその言葉に俺は一瞬体がビクッと揺れる。周りの視線が痛い。
「東方さんは俺の彼女じゃないし、それにクラスの仲がいい女友達を心配するのは普通だろ?」
雅人たちが片手を横に振る。そんな馬鹿なことをしている間に戦場へ着く。そこにはすでにアリアさんがおり、どうやらほとんど足止めできず撤退してきたそうだ。
あのアリアさんが手も足も出ないとなると本格的にヤバいかもな。
俺は涅鉄(スラメタ)の剣をアイテムボックスから出し、いつでも戦闘を開始できるようにしておく。しかも今回はいつもと違い冬の期間にあまり武器を作成できなかった所為でいつものように状況に合わせて戦法を変えることが難しい。
もしかしたらこっちに来て初めてのガチ勝負になるかもしれない。
アイアンタランチュラはクゼの森から王都へ一直線に来ており、俺たちがいるこのあたりが最終防衛ラインとなっている。そのため騎士団だけでなく冒険者も集められている。
地面が揺れ始める。その揺れは確実に大きくなり「災害」の姿が見える。数字で聞くのと本物を見るのとではやはり違い。距離的にはまだ五百メートルほど離れているのに大きく見える。
「魔法用意」
ジルバルさんの号令と共に魔法系が魔力を溜める。
「放て!」
発射の合図で魔法の雨がタランチュラを襲う。がやはりあの鋼鉄の体に阻まれほとんどダメージが入らない。第二射をすぐに発射するが、やはり効かない。こうなると残すは俺含め近接攻撃の出番である。
「突撃!」
ジルバルさんの号令で全員がタランチュラに突っ込む。タランチュラは俺たちに構わずそのまま突進してくる。俺は足の間をすり抜け上をタランチュラが通り過ぎる。
俺はタランチュラの体を見て足や腕、腹の節々にはガードが甘い。
俺はその隙間を狙い攻撃する。しかし剣が弾かれてしまった。普通に足の隙間も硬い。付魔(エンチャント)してやっと刺さるかどうかである。だがなるべく魔力は温存したい。俺たちを前に暴れ回るタランチュラ。滝下の『一点集中』を乗せた攻撃が当たるがビクともしない。
となると狙う場所を変えるしかない。蜘蛛の中で弱い部分は腹と頭。俺は暴れるタランチュラの背中に飛び乗り、 付魔(エンチャント)をかけて力一杯刺す。その瞬間苦痛のあまり暴れ始め、武器を手放してしまう。仕方なく伸縮する剣を取り出す。
暴れ出したタランチュラは雅人目掛けて猛突進。だがそれを無駄のない動作で回避。そしてその先では
「「煌々と流れる水よ。対局たる火の力を持って我が敵を討て! 水飛熱砲(ウォーターランチャー)」」
東方さんと稲荷さんお合体魔法がタランチュラの顔面に直撃。その隙を逃さず、四方から攻撃が飛ぶ。俺はすかさずもう一度背中に飛び乗り剣を回収。ぐらついている体を走り、タランチュラの頭部目掛けてもう一度攻撃しようとした瞬間、顔を上げ口から糸を吐く。
俺は糸を切ろうと剣を振るがくっついているのかそれとも糸自体の強度が高いのかは分からないが、切ることが出来ず、ギリギリで回避をした。
タランチュラは辺りに口から腹から糸を吐き、周囲に近づけさせないようにしている。俺は剣に魔力を込め飛ぶ斬撃(スラッシュ)を放つがやはり外骨格に阻まれ攻撃が通らない。
さらに攻撃が激しさを増す。八本ある足を自在に動かし、複数の方向から攻撃を繰り出す。騎士団や冒険者含めすでに多くのものが脱落をしている。
タランチュラの攻撃が続く中、一人タランチュラに接近する。雅人だ。雅人は剣に魔力を込め、さらに渾身付魔を纏っている。剣の魔力が徐々に赤くなり、炎に変わる。
向かい合うタランチュラと雅人。ほぼ同時に一歩目を踏み出すが、さきに懐に入ったのは雅人だった。雅人は剣を振る。その姿はまるで踊っているように炎が舞う。
攻撃事態は一瞬で硬かったはずの鋼鉄装甲は切断され、足が切れ、最後に頭が落ちた。
そこでタランチュラは息絶えた。
雅人は俺の方を向き、爽やかイケメンスマイルを炸裂させて来る。今すぐにでもボコボコにしてやりたかったが、やはり魔力を使い過ぎたのかその場に倒れ込む。俺はそれを見越し雅人を支えた。
なんか俺の役割じゃないような気がする。
その後今回の戦いに参加した冒険者たちには金一封が与えられ、タランチュラは騎士団によって王に献上された。
タランチュラは解体され、魔石は財源のため売られ、外骨格や牙はギルドに売ることとなった。その際に余った腹と頭の部分を俺が買うことで今回のタランチュラの報酬を得ることが出来た。
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