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彼は無事だった

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「リリー!リリーしっかりしてくれ!」

大理石の床に倒れこんだリリーを抱き起こし、ウィリスは何度も呼び掛ける。
最悪の想像が頭をよぎったが、それは必死に考えないようにした。
そのうちにリリーのまぶたがピクリと動き、綺麗な碧の瞳がゆっくりと開く。

「リリー!?」

「…ウィリス、様?」

「ああ、そうだ。リリー……無事で、よかった…」

ウィリスに固く抱き締められ、リリーはウィリスに怪我がなかったことを知る。
よかった、彼も無事だったんだ。


「……っ、そういえば、あの魔女は…っ」

ふらつく体を起こして魔女の方を見ると、屈強な兵士たちに取り押さえられていた。
魔女の傍には、バラバラになった杖が落ちている。

「一体どうして…」

不思議そうな表情をするリリーに、近くに寄った宰相が説明してくれた。

「魔女の放った最大出力の魔力攻撃が、中和魔力を持つリリー嬢に当たったのです。おそらく中和しきれなかった力が跳ね返り、魔女と杖を害する結果になったのでしょう」

「そうなんですか…」

自分の力がウィリスの役に立ったと知り、リリーの心に安堵が広がる。
安心すると同時に体中の力が抜け、リリーの意識はまた遠のいた。
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