16 / 20
彼は無事だった
しおりを挟む
「リリー!リリーしっかりしてくれ!」
大理石の床に倒れこんだリリーを抱き起こし、ウィリスは何度も呼び掛ける。
最悪の想像が頭をよぎったが、それは必死に考えないようにした。
そのうちにリリーのまぶたがピクリと動き、綺麗な碧の瞳がゆっくりと開く。
「リリー!?」
「…ウィリス、様?」
「ああ、そうだ。リリー……無事で、よかった…」
ウィリスに固く抱き締められ、リリーはウィリスに怪我がなかったことを知る。
よかった、彼も無事だったんだ。
「……っ、そういえば、あの魔女は…っ」
ふらつく体を起こして魔女の方を見ると、屈強な兵士たちに取り押さえられていた。
魔女の傍には、バラバラになった杖が落ちている。
「一体どうして…」
不思議そうな表情をするリリーに、近くに寄った宰相が説明してくれた。
「魔女の放った最大出力の魔力攻撃が、中和魔力を持つリリー嬢に当たったのです。おそらく中和しきれなかった力が跳ね返り、魔女と杖を害する結果になったのでしょう」
「そうなんですか…」
自分の力がウィリスの役に立ったと知り、リリーの心に安堵が広がる。
安心すると同時に体中の力が抜け、リリーの意識はまた遠のいた。
大理石の床に倒れこんだリリーを抱き起こし、ウィリスは何度も呼び掛ける。
最悪の想像が頭をよぎったが、それは必死に考えないようにした。
そのうちにリリーのまぶたがピクリと動き、綺麗な碧の瞳がゆっくりと開く。
「リリー!?」
「…ウィリス、様?」
「ああ、そうだ。リリー……無事で、よかった…」
ウィリスに固く抱き締められ、リリーはウィリスに怪我がなかったことを知る。
よかった、彼も無事だったんだ。
「……っ、そういえば、あの魔女は…っ」
ふらつく体を起こして魔女の方を見ると、屈強な兵士たちに取り押さえられていた。
魔女の傍には、バラバラになった杖が落ちている。
「一体どうして…」
不思議そうな表情をするリリーに、近くに寄った宰相が説明してくれた。
「魔女の放った最大出力の魔力攻撃が、中和魔力を持つリリー嬢に当たったのです。おそらく中和しきれなかった力が跳ね返り、魔女と杖を害する結果になったのでしょう」
「そうなんですか…」
自分の力がウィリスの役に立ったと知り、リリーの心に安堵が広がる。
安心すると同時に体中の力が抜け、リリーの意識はまた遠のいた。
1
お気に入りに追加
2,010
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が残した破滅の種
八代奏多
恋愛
妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。
そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。
その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。
しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。
断罪した者は次々にこう口にした。
「どうか戻ってきてください」
しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。
何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。
※小説家になろう様でも連載中です。
9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~
舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」
わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。
ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。
驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。
※話自体は三人称で進みます。
婚約破棄により婚約者の薬のルートは途絶えました
マルローネ
恋愛
子爵令嬢であり、薬士でもあったエリアスは有名な侯爵家の当主と婚約することになった。
しかし、当主からの身勝手な浮気により婚約破棄を言われてしまう。
エリアスは突然のことに悲しんだが王家の親戚であるブラック公爵家により助けられた。
また、彼女の薬士としての腕前は想像を絶するものであり……
婚約破棄をした侯爵家当主はもろにその影響を被るのだった。
【完結・全10話】偽物の愛だったようですね。そうですか、婚約者様?婚約破棄ですね、勝手になさい。
BBやっこ
恋愛
アンネ、君と別れたい。そういっぱしに別れ話を持ち出した私の婚約者、7歳。
ひとつ年上の私が我慢することも多かった。それも、両親同士が仲良かったためで。
けして、この子が好きとかでは断じて無い。だって、この子バカな男になる気がする。その片鱗がもう出ている。なんでコレが婚約者なのか両親に問いただしたいことが何回あったか。
まあ、両親の友達の子だからで続いた関係が、やっと終わるらしい。
幼馴染の公爵令嬢が、私の婚約者を狙っていたので、流れに身を任せてみる事にした。
完菜
恋愛
公爵令嬢のアンジェラは、自分の婚約者が大嫌いだった。アンジェラの婚約者は、エール王国の第二王子、アレックス・モーリア・エール。彼は、誰からも愛される美貌の持ち主。何度、アンジェラは、婚約を羨ましがられたかわからない。でもアンジェラ自身は、5歳の時に婚約してから一度も嬉しいなんて思った事はない。アンジェラの唯一の幼馴染、公爵令嬢エリーもアンジェラの婚約者を羨ましがったうちの一人。アンジェラが、何度この婚約が良いものではないと説明しても信じて貰えなかった。アンジェラ、エリー、アレックス、この三人が貴族学園に通い始めると同時に、物語は動き出す。
パーティ会場で婚約破棄を言い渡されましたが、その内容を聞き間違えたようです
水上
恋愛
私、侯爵令嬢のシェリル・パーセルです。
根暗な私は社交界を避けていたのですが、ある日、姉の代理という形でパーティに参加することになりました。
そこには、私の婚約者であるアイザック・ライデルもいました。
そして、パーティが始まるとアイザックは、壇上に立って何か言い始めました。
しかし、私は料理を食べるのに夢中で、彼の話をあまり聞いていなかったのです。
……あれ?
気付けば周りの人たちの視線が、いつの間にか私に集まっています。
えっと、彼、何か言っていましたか?
なんか……、こんにゃくを廃棄するとか言っていたような……。
捨てるくらいなら、まぁ、私が食べますけれど……。
※こちらの作品は、旧作を加筆、修正しての再掲載となります。
【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。
川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる