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大好き!

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建国記念式典からしばらくして、エルウィンとグレンの結婚式はロクセーヌで一番大きな教会で開かれた。
エルウィンにとっては雲の上の存在である王族もみな出席していて、式の間中ずっと緊張していたのは言うまでもない。
式に招待していた両親や、研究所の同僚、部下たちも、揃って極度の緊張のあまり目が泳いでいた。

それから2人は、花で飾り付けた屋根無し馬車で王都をパレードして回った。
大通りにはたくさんの人々が詰めかけ、手に持った国旗を誇らしげに振っている。
その中には教会で出会った人々もたくさんいて、お祝いしてくれることも嬉しかったが、なによりこうしてみんなが元気に出歩けていることが一番嬉しかった。

「エルウィンさん、今度から教会には僕も一緒に行って手伝いますね」

「えっ、いいの?」

沿道の人々に向かって手を振りながら言ったグレンに、エルウィンは驚きの声を上げた。
確かにグレンが一緒に来てくれたら、治療ができる人が単純に2倍になるからありがたい。
だが、グレンの休日が潰れてしまうのは大丈夫なのだろうか。

「だって、休日のたびに新妻が教会に行ってしまうんですよ。そうしないと一緒にいられませんから」

グレンはいたずらっぽく笑ってこちらを見る。

「それに、エルウィンさん一人でずっと続けるのは無理があります。だから今、収入が低い人には無料か格安で治癒魔法を与えるシステムを国で作れないかと検討中なんです」

「え…?」

思ってもみなかった提案だった。
確かにエルウィンが一人でやるには限界がある。
今エルウィンは、王都の中の教会を休日ごとに順に回っているが、病人はどこにでもいる。王都の外にだってたくさんいるのだ。

「だから、そのシステムを構築するためにしばらく僕に見学させて下さい。あまり治癒魔法は得意じゃないですが、もちろん治療も手伝いますよ」

「グレン…っ!!」

「うわっ」

嬉しくて、嬉しくて、エルウィンは思わず愛しい夫に抱きついていた。
それを目撃した沿道の人々からは、大きな歓声が上がって拍手喝采が起きる。

「グレン、ありがとう!あなたのその優しくて頼りになるところ大好き!こんなに嬉しいプレゼントはないわ!」

「…僕は、あなたのそんなところが大好きです。喜んでくれてよかった」

2人はじっと見つめ合って、周圍の目もはばからず熱いキスを交わす。
沿道からはひときわ大きな歓声が上がって、2人の乗った馬車を大きく包み込んだ。


(了)
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みんなの感想(6件)

ささめゆき
2016.12.20 ささめゆき

お互いに思い合う二人が素敵でした。

アイリス
2016.12.20 アイリス

ありがとうございます!
完結してからかなり経っているのですが、それでもこうして読んでくださる方がいてとても嬉しいです^^

解除
セロリ
2016.10.05 セロリ

全ての作品が完結しましたね。
お疲れさまでした!
寂しいですが、エルウィンちゃん達の物語の終わりを読めたので次に進まなくてはですよね。
作者様が新しい世界を作り出されるのを楽しみに待っています(*^^*)

アイリス
2016.10.06 アイリス

やっと全部完結しました!
ずっとおつきあいありがとうございます☆
毎日更新はなかなか大変だったりもするのですが、感想をいただけるととても励まされて、やっぱがんばろう!という気力になりました。
どうもありがとうございました!
また新作を投稿する時にはよろしくお願いします^^

解除
シン
2016.10.05 シン

ォモシロカッッタ!(*´ω`*)
自分、男ですがニヤニヤして読んでしまったw
次回の作でも楽しみにしてます!
お疲れ様でした!(*´ω`*)

アイリス
2016.10.06 アイリス

感想ありがとうございます!
まさか男性にも読んでいただけると思ってなかったのでびっくりです!しかもニヤニヤしてもらったようで、もしお楽しみいただけたならとても嬉しいです。
どうもありがとうございました☆

解除

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