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第5話 デートしちゃいけないですか⁈
デートしちゃいけないですか⁈ ⑧
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ファミレスでの休憩を終えてから、また服を見たりゲームセンターで遊んだりした。そして、最後にアクセサリーショップに来ていた。
特に目的があって来たわけではない。たまたま寄っただけである。しかし、そんなたまたま寄っただけの場所に欲しいものがあった。
それが、猫の形をしたペアネックレスだ。白と黒の猫があしらわれたネックレスで、二つを合わせると、丸まって眠る二匹の猫のようになる。なんともかわいい一品だ。
お値段も2000円前後とお買い得だ。この値段だから、そんなにいい素材が使われてるとは思わない。けど、それはどうでもいい。二つが合わさって一つになると言うのがいいのだ。
これを奏お姉ちゃんと一緒に着けていれば、もっと仲良くなれる気がする。それにこう言うのを着けてる奏お姉ちゃんはかわいいはず。
早速買おう。そう思い手を伸ばした時、一つ思う事があった。
奏お姉ちゃんはこう言うの着けるの好きだっけ?
私は思い返す。が、思い浮かばない。そもそも奏お姉ちゃんが何かを着けていた記憶がない。
私もだが、奏お姉ちゃん別にこう言うの特別好きじゃなかったなあ。となると、私が買っても別に喜んでくれないだろう。
喜ばないものを着けていたって、それはかわいくない。迷惑なだけだ。
かわいいかなあと思ったけど、そうならないなら買う必要はないだろう。
私は伸ばした手を引っ込めた。そうして、何も買わずに私と奏お姉ちゃんは店を出た。
後は桜を見に行くだけだ。時刻は午後5時20分。春村の桜のところまでは歩いて30分。日没後のライトアップを見たいから、もう少しだけベンチかどこかでゆっくりしていよう。
私は奏お姉ちゃんにそう伝える。奏お姉ちゃんは納得してくれたので一緒にベンチに座っていた。
途中何度か奏お姉ちゃんは席を外していたが、こうやって奏お姉ちゃんとゆっくりできるのもいいものだと思えた。
しばらくしていると丁度いい時間になったので、春村に向かう事にした。
春村までは一緒におしゃべりをしながら行った。クラスメイトの話とか、今日の水族館の感想とか。真剣に見ていたので、アシカショーとかイルカショーの感想をちゃんと言う事ができた。
そのおかげで盛り上がったので、ちゃんと見といてよかったなあと改めて感じた。
ただ、ペンギンの所で鼻血を出していたのがバレてしまった。奏お姉ちゃんからはそう言うの隠さずにちゃんと言ってと怒られてしまった。次回からはちゃんと言おう。私はそう誓った。
そんなこんなで、春村に着いた。
春村は約2キロに渡る1000本を超える桜並木
と、その奥にある枝垂れ桜がとても有名だ。これを見るためだけに、他県からも人が多く集まる。それもあってか屋台もちょこちょこ出ているので、とても賑わっている。
「綺麗だねぇ。美優羽ちゃん」
入り口の桜並木を見た奏お姉ちゃんは桜に見惚れている様だ。確かにそれはわかる。桜が至る所で咲き誇り、私達を包み込んでいる。
足元はまるで桜の絨毯かのように散った桜が散らばっている。
贅沢。まさにこの言葉に尽きる。そんな光景が広がっている。その中を歩く事が、しかも大好きな人と出来るんだから、私は世界一の幸せ者なんだろう。
そんなことを思いながら、私は奥の方にある枝垂れ桜を目指して桜並木を歩いていた。
奏お姉ちゃんは時折上を見ながら歩いている。そして、人がいない所でうふふと笑いながら、くるんくるんと右回りをしてのけた。桜が少しだけ奏お姉ちゃんの周りを彩っているようにも見えた。
凄くいい光景だ。こんな美しい光景を見れるんだ。眼福だ。こんな光景滅多に見れないかもしれない。
私は忘れないようにと目の奥にこの姿を焼き付けた。
「どう? 私かわいかった?」
「うっ、うん! かわいかったわよ!」
少し恥ずかしくなりながらも、ちゃんと思った事を言えた。少しトゲトゲしかったかもしれないけど。
「それならよかったよぉ。それじゃあ、褒めてくれたお礼に、これをあげるねぇ」
そう言って、奏お姉ちゃんは縦に少し細長い茶色の紙袋を渡してくれた。中身はなんだろう。開けていいかを聞いてから開けてみた。
それは、私が買おうとしてやめたペアネックレスの白い猫の方だった。驚いた。とても驚いた。まさか、時々席を外してたのは、これを買うためだったのか。そう言う事だったのか……。私は納得した。
「美優羽ちゃんが欲しそうにしてたから、買ってきちゃった。こう言うのもたまにはアリかなって思ってねぇ」
そう言って、奏お姉ちゃんは黒猫の方のペンダントを着け始めた。私も着けた方がいいのかな? そう思い着ける。着け終わると、奏お姉ちゃんは私の方に寄ってきた。
え? なになに? 何をするの?
私は混乱する。そんな私を左手で軽く抱き寄せる。急に抱き寄せられて、私の体温は急上昇。あっつあつになってしまった。
「お、おおおおお姉ちゃん! 急にどうしたの?」
「ペンダント。くっつけてみようと思って」
奏お姉ちゃんはにこりと微笑んで、ペンダントをくっつける。そして、スマホのインカメラをこちらに向けた。
「ほら、似合ってる! やっぱり双子だからこう言うの相性いいんだよぉ」
奏お姉ちゃんは嬉しそうにしている。私も嬉しいけど、でも急に抱き寄せられた衝撃で感情が渋滞している。なんと言い表せばいいかわからない。
「たまにはいいねぇ。こういうのも」
まあこう言うのもしてみたかったから欲しかったんだけど、いざされると心が保たない。次からはそう言うのも考えてから買うかどうか考えよう。私はそう思った。
それからしばらく歩くと、ついに枝垂れ桜のお出ましだ。滝のように見える桜はもちろん綺麗だが、ライトアップされてその美しさがさらに増している。
奏お姉ちゃんはその美しさに、何も言えないと言う表情だ。少し上を向き口を開けて、目を輝かせている。
本当にロマンチックな光景だ。
そうだ。この景色に合わせれば、私の想いを伝えられるかもしれない。桜の美しさがあって、ロマンチックな状況ならきっといい返事が貰えるはず。私は心を決めた。
「あ、あのねっ。お姉ちゃん」
「ん? どうしたのぉ?」
奏お姉ちゃんが優しく私を見ている。緊張する。でも言えそう。いや、言える。今だ。今なら言える。
「私、奏お姉ちゃんが――――」
ピロロロロロ! ピロロロロロ!
好きの言葉を出そうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り響く。私は酷くガッカリしながらスマホをポケットから取った。
電話は琴姉からだった。
「もしもし?」
「ああ。美優羽。唄姉が珍しく奢ってくれるらしいぞ! 何買って来てもらう?」
「お寿司でいいよ。お寿司で。みんな食べられるから」
ぶっきらぼうに返事をする。ただ、琴姉はそんなのを気にしていないようだ。まあ、唄姉が奢ると言うのはそれだけ珍しい話だから仕方がない。とは言え、折角のムードを邪魔されたのだから、私は落ち込むしかなかった。
「わかった! じゃあ唄姉に伝えとくから!」
電話はそれで切れた。その内容なら電話じゃなくて、メッセージで送ってくれ。私はそう言いそうになった。
「電話なんだったの? お寿司とか言ってたけど?」
「あ、唄姉が夕食買って来てくれるらしいから、お寿司でお願いって返事したの」
「わーい! お寿司だ!」
奏お姉ちゃんはお寿司という言葉に喜んでいるようだった。
「そう言えば、さっきなんって言おうとしたの?」
「内緒。やっぱり秘密にしておくわ」
「えーっ。教えてよぉ」
「秘密ったら秘密なのっ。絶対に教えない!」
そう言って答えをはぐらかした。
今日は言えなかった。それは事実だ。けれど言おうとする事はできた。それだけは大きな成長じゃないだろうか。こんな機会が次いつ来るかはわからない。けど、次来た時に言えるようにしておこう。あと、電話の通知音はこう言う時は切っておこう。私はそう決めたのだった。
特に目的があって来たわけではない。たまたま寄っただけである。しかし、そんなたまたま寄っただけの場所に欲しいものがあった。
それが、猫の形をしたペアネックレスだ。白と黒の猫があしらわれたネックレスで、二つを合わせると、丸まって眠る二匹の猫のようになる。なんともかわいい一品だ。
お値段も2000円前後とお買い得だ。この値段だから、そんなにいい素材が使われてるとは思わない。けど、それはどうでもいい。二つが合わさって一つになると言うのがいいのだ。
これを奏お姉ちゃんと一緒に着けていれば、もっと仲良くなれる気がする。それにこう言うのを着けてる奏お姉ちゃんはかわいいはず。
早速買おう。そう思い手を伸ばした時、一つ思う事があった。
奏お姉ちゃんはこう言うの着けるの好きだっけ?
私は思い返す。が、思い浮かばない。そもそも奏お姉ちゃんが何かを着けていた記憶がない。
私もだが、奏お姉ちゃん別にこう言うの特別好きじゃなかったなあ。となると、私が買っても別に喜んでくれないだろう。
喜ばないものを着けていたって、それはかわいくない。迷惑なだけだ。
かわいいかなあと思ったけど、そうならないなら買う必要はないだろう。
私は伸ばした手を引っ込めた。そうして、何も買わずに私と奏お姉ちゃんは店を出た。
後は桜を見に行くだけだ。時刻は午後5時20分。春村の桜のところまでは歩いて30分。日没後のライトアップを見たいから、もう少しだけベンチかどこかでゆっくりしていよう。
私は奏お姉ちゃんにそう伝える。奏お姉ちゃんは納得してくれたので一緒にベンチに座っていた。
途中何度か奏お姉ちゃんは席を外していたが、こうやって奏お姉ちゃんとゆっくりできるのもいいものだと思えた。
しばらくしていると丁度いい時間になったので、春村に向かう事にした。
春村までは一緒におしゃべりをしながら行った。クラスメイトの話とか、今日の水族館の感想とか。真剣に見ていたので、アシカショーとかイルカショーの感想をちゃんと言う事ができた。
そのおかげで盛り上がったので、ちゃんと見といてよかったなあと改めて感じた。
ただ、ペンギンの所で鼻血を出していたのがバレてしまった。奏お姉ちゃんからはそう言うの隠さずにちゃんと言ってと怒られてしまった。次回からはちゃんと言おう。私はそう誓った。
そんなこんなで、春村に着いた。
春村は約2キロに渡る1000本を超える桜並木
と、その奥にある枝垂れ桜がとても有名だ。これを見るためだけに、他県からも人が多く集まる。それもあってか屋台もちょこちょこ出ているので、とても賑わっている。
「綺麗だねぇ。美優羽ちゃん」
入り口の桜並木を見た奏お姉ちゃんは桜に見惚れている様だ。確かにそれはわかる。桜が至る所で咲き誇り、私達を包み込んでいる。
足元はまるで桜の絨毯かのように散った桜が散らばっている。
贅沢。まさにこの言葉に尽きる。そんな光景が広がっている。その中を歩く事が、しかも大好きな人と出来るんだから、私は世界一の幸せ者なんだろう。
そんなことを思いながら、私は奥の方にある枝垂れ桜を目指して桜並木を歩いていた。
奏お姉ちゃんは時折上を見ながら歩いている。そして、人がいない所でうふふと笑いながら、くるんくるんと右回りをしてのけた。桜が少しだけ奏お姉ちゃんの周りを彩っているようにも見えた。
凄くいい光景だ。こんな美しい光景を見れるんだ。眼福だ。こんな光景滅多に見れないかもしれない。
私は忘れないようにと目の奥にこの姿を焼き付けた。
「どう? 私かわいかった?」
「うっ、うん! かわいかったわよ!」
少し恥ずかしくなりながらも、ちゃんと思った事を言えた。少しトゲトゲしかったかもしれないけど。
「それならよかったよぉ。それじゃあ、褒めてくれたお礼に、これをあげるねぇ」
そう言って、奏お姉ちゃんは縦に少し細長い茶色の紙袋を渡してくれた。中身はなんだろう。開けていいかを聞いてから開けてみた。
それは、私が買おうとしてやめたペアネックレスの白い猫の方だった。驚いた。とても驚いた。まさか、時々席を外してたのは、これを買うためだったのか。そう言う事だったのか……。私は納得した。
「美優羽ちゃんが欲しそうにしてたから、買ってきちゃった。こう言うのもたまにはアリかなって思ってねぇ」
そう言って、奏お姉ちゃんは黒猫の方のペンダントを着け始めた。私も着けた方がいいのかな? そう思い着ける。着け終わると、奏お姉ちゃんは私の方に寄ってきた。
え? なになに? 何をするの?
私は混乱する。そんな私を左手で軽く抱き寄せる。急に抱き寄せられて、私の体温は急上昇。あっつあつになってしまった。
「お、おおおおお姉ちゃん! 急にどうしたの?」
「ペンダント。くっつけてみようと思って」
奏お姉ちゃんはにこりと微笑んで、ペンダントをくっつける。そして、スマホのインカメラをこちらに向けた。
「ほら、似合ってる! やっぱり双子だからこう言うの相性いいんだよぉ」
奏お姉ちゃんは嬉しそうにしている。私も嬉しいけど、でも急に抱き寄せられた衝撃で感情が渋滞している。なんと言い表せばいいかわからない。
「たまにはいいねぇ。こういうのも」
まあこう言うのもしてみたかったから欲しかったんだけど、いざされると心が保たない。次からはそう言うのも考えてから買うかどうか考えよう。私はそう思った。
それからしばらく歩くと、ついに枝垂れ桜のお出ましだ。滝のように見える桜はもちろん綺麗だが、ライトアップされてその美しさがさらに増している。
奏お姉ちゃんはその美しさに、何も言えないと言う表情だ。少し上を向き口を開けて、目を輝かせている。
本当にロマンチックな光景だ。
そうだ。この景色に合わせれば、私の想いを伝えられるかもしれない。桜の美しさがあって、ロマンチックな状況ならきっといい返事が貰えるはず。私は心を決めた。
「あ、あのねっ。お姉ちゃん」
「ん? どうしたのぉ?」
奏お姉ちゃんが優しく私を見ている。緊張する。でも言えそう。いや、言える。今だ。今なら言える。
「私、奏お姉ちゃんが――――」
ピロロロロロ! ピロロロロロ!
好きの言葉を出そうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り響く。私は酷くガッカリしながらスマホをポケットから取った。
電話は琴姉からだった。
「もしもし?」
「ああ。美優羽。唄姉が珍しく奢ってくれるらしいぞ! 何買って来てもらう?」
「お寿司でいいよ。お寿司で。みんな食べられるから」
ぶっきらぼうに返事をする。ただ、琴姉はそんなのを気にしていないようだ。まあ、唄姉が奢ると言うのはそれだけ珍しい話だから仕方がない。とは言え、折角のムードを邪魔されたのだから、私は落ち込むしかなかった。
「わかった! じゃあ唄姉に伝えとくから!」
電話はそれで切れた。その内容なら電話じゃなくて、メッセージで送ってくれ。私はそう言いそうになった。
「電話なんだったの? お寿司とか言ってたけど?」
「あ、唄姉が夕食買って来てくれるらしいから、お寿司でお願いって返事したの」
「わーい! お寿司だ!」
奏お姉ちゃんはお寿司という言葉に喜んでいるようだった。
「そう言えば、さっきなんって言おうとしたの?」
「内緒。やっぱり秘密にしておくわ」
「えーっ。教えてよぉ」
「秘密ったら秘密なのっ。絶対に教えない!」
そう言って答えをはぐらかした。
今日は言えなかった。それは事実だ。けれど言おうとする事はできた。それだけは大きな成長じゃないだろうか。こんな機会が次いつ来るかはわからない。けど、次来た時に言えるようにしておこう。あと、電話の通知音はこう言う時は切っておこう。私はそう決めたのだった。
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