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忘却の楔31
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雅也は美咲をかき抱いた。
何度も何度も高められ、思考は回らくなり快楽に落とされる。
「もっ・・ダメっ。お願いーーー助けてっ。」
美咲の涙が溢れる。
「美咲っ!!俺は、俺はっ!!」
「ふっーーー。あぁ、もう駄目っ。」
一際大きな波を迎え雅也に力一杯しがみつくと気を失ってしまった。グッタリと力の抜けた美咲を抱きしめる。
「美咲・・無理させてごめん。でも、俺は・・俺は、君が居ないと駄目なんだ。」
囁いた言葉は美咲に届くことは無かった。
気を失った美咲の乱れた服をサッと直すと布団を掛ける。腕枕すると優しく抱きしめた。
今まで何度も肌を重ねた、その感覚が蘇る。手に吸い付くような肌が、何処に触れても柔らかく甘い。
抱きしめると何時ものように甘い香りがした。
大好きで大切な人だった。抱き締めるのが好きだった、美咲の笑顔が逆立った気持ちをなだめてくれた。
大切な人だったのに、信じきれなかった自分が憎い。
「みさき・・?ごめん、本当にごめんな?」
穏やかな寝顔を覗き込むと、頬を優しく撫でた。何度も撫でると愛しさが込み上げる。
「んっ・・・・。」
ぼんやりと目を開けると、目の前に長嶺の寝顔が目に入る。
(長嶺さん・・。)
しっかりと抱きしめられていたので、少しでも身動ぎしたら雅也を起こしてしまいそうで動けなかった。
(・・・・。これ以上雅也さんを苦しめる事は出来ない。だったら?私に出来る事って何だろう?)
頭をフル回転させた。色々考えるといつも最終的には同じ答えになった。
(・・・・。これしか無いかな?)
雅也の柔らかい髪を撫でる。少しクセがあって柔らかい髪の毛。
雅也の胸に顔を埋めると、規則正しい心音が聞こえた。抱き締められてこの心音を聞くと何時も穏やかな気持ちになった。
『私がここに居て良い』
って言われてるみたいで安心した。
(もう、これ以上誰も傷付けたくない・・。)
そんな思いを込めて雅也の顔を目に焼き付けた。
「・・・・。」
目を開けると、天井が目に入る。キッチンからは食器の音がした。
少しだけボンヤリすると、先程の事を思い出し飛び起きる。
キッチンには美咲が居た。
「みさき・・?」
「あっ、長嶺さん起きたんですね?あと少しでコーヒー出来るので待ってて下さい。」
「あ、あぁ。」
そう言ってリビングのソファーに座る。いくら記憶が戻ったからって美咲をあんなに乱れさせてしまった事を少し後悔した。
美咲が淹れたてのコーヒーを持ってきて、雅也の前に置く。
「どうぞ?」
柔らかな笑顔を見せてくれた。
「うん。頂きます。」
コーヒーを一口飲むと二人の間に沈黙が落ちる。
「・・・・、あっ、さっき譲さんに電話しました。雅也さんの記憶が戻ったって。安心してましたよ?後でホテルまで送りますね?」
「兄さん?」
「今回は譲さんと一緒に日本に帰国されてたんですよ?」
「あ、あぁ、そうか・・。」
そんな雅也を見てクスリと笑った。
それからしばらく経って雅也の泊まっているホテルに着いた。
車を駐車場に停めてロビーに行くと譲が待っていた。
「雅也っ!!記憶が戻ったって本当かっ!?」
「ああ、兄さん心配掛けてごめんな?」
「そんなの気にするな!家族だろ?」
「うん。ありがとう。」
そんな2人を見つめた。
(家族・・か。)
頃合いを見て、譲と雅也に声を掛ける。
「じゃあ、私はここで。雅也さん?ユックリしてくださいね?無理は禁物ですよ?譲さん、良かったですね。」
穏やかな笑顔を浮かべて言った。
「・・・・、また連絡しても良いかな?」
「・・・・、えぇ、じゃ私はここで失礼しますね?」
二人に見送られてホテルを後にした。
何度も何度も高められ、思考は回らくなり快楽に落とされる。
「もっ・・ダメっ。お願いーーー助けてっ。」
美咲の涙が溢れる。
「美咲っ!!俺は、俺はっ!!」
「ふっーーー。あぁ、もう駄目っ。」
一際大きな波を迎え雅也に力一杯しがみつくと気を失ってしまった。グッタリと力の抜けた美咲を抱きしめる。
「美咲・・無理させてごめん。でも、俺は・・俺は、君が居ないと駄目なんだ。」
囁いた言葉は美咲に届くことは無かった。
気を失った美咲の乱れた服をサッと直すと布団を掛ける。腕枕すると優しく抱きしめた。
今まで何度も肌を重ねた、その感覚が蘇る。手に吸い付くような肌が、何処に触れても柔らかく甘い。
抱きしめると何時ものように甘い香りがした。
大好きで大切な人だった。抱き締めるのが好きだった、美咲の笑顔が逆立った気持ちをなだめてくれた。
大切な人だったのに、信じきれなかった自分が憎い。
「みさき・・?ごめん、本当にごめんな?」
穏やかな寝顔を覗き込むと、頬を優しく撫でた。何度も撫でると愛しさが込み上げる。
「んっ・・・・。」
ぼんやりと目を開けると、目の前に長嶺の寝顔が目に入る。
(長嶺さん・・。)
しっかりと抱きしめられていたので、少しでも身動ぎしたら雅也を起こしてしまいそうで動けなかった。
(・・・・。これ以上雅也さんを苦しめる事は出来ない。だったら?私に出来る事って何だろう?)
頭をフル回転させた。色々考えるといつも最終的には同じ答えになった。
(・・・・。これしか無いかな?)
雅也の柔らかい髪を撫でる。少しクセがあって柔らかい髪の毛。
雅也の胸に顔を埋めると、規則正しい心音が聞こえた。抱き締められてこの心音を聞くと何時も穏やかな気持ちになった。
『私がここに居て良い』
って言われてるみたいで安心した。
(もう、これ以上誰も傷付けたくない・・。)
そんな思いを込めて雅也の顔を目に焼き付けた。
「・・・・。」
目を開けると、天井が目に入る。キッチンからは食器の音がした。
少しだけボンヤリすると、先程の事を思い出し飛び起きる。
キッチンには美咲が居た。
「みさき・・?」
「あっ、長嶺さん起きたんですね?あと少しでコーヒー出来るので待ってて下さい。」
「あ、あぁ。」
そう言ってリビングのソファーに座る。いくら記憶が戻ったからって美咲をあんなに乱れさせてしまった事を少し後悔した。
美咲が淹れたてのコーヒーを持ってきて、雅也の前に置く。
「どうぞ?」
柔らかな笑顔を見せてくれた。
「うん。頂きます。」
コーヒーを一口飲むと二人の間に沈黙が落ちる。
「・・・・、あっ、さっき譲さんに電話しました。雅也さんの記憶が戻ったって。安心してましたよ?後でホテルまで送りますね?」
「兄さん?」
「今回は譲さんと一緒に日本に帰国されてたんですよ?」
「あ、あぁ、そうか・・。」
そんな雅也を見てクスリと笑った。
それからしばらく経って雅也の泊まっているホテルに着いた。
車を駐車場に停めてロビーに行くと譲が待っていた。
「雅也っ!!記憶が戻ったって本当かっ!?」
「ああ、兄さん心配掛けてごめんな?」
「そんなの気にするな!家族だろ?」
「うん。ありがとう。」
そんな2人を見つめた。
(家族・・か。)
頃合いを見て、譲と雅也に声を掛ける。
「じゃあ、私はここで。雅也さん?ユックリしてくださいね?無理は禁物ですよ?譲さん、良かったですね。」
穏やかな笑顔を浮かべて言った。
「・・・・、また連絡しても良いかな?」
「・・・・、えぇ、じゃ私はここで失礼しますね?」
二人に見送られてホテルを後にした。
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