144 / 200
パーティー5
しおりを挟む
藤崎が美咲達の出てきた店をみると、ショーウインドウには純白のウェディングドレスが飾られていた。
「・・・・。」
「藤崎さん?」
そんな、藤崎を不思議そうに見上げた。
「あぁ、ごめん。この先に喫茶店があるからそこに行こうか?」
「はい。」
二人並んで歩く。美咲の手には小さなバッグがあるだけで特に荷物を持っていなかった。
5分程歩くと、昭和を感じさせるレトロな喫茶店があった。
「うゎ~、私こういうお店好きなんです!」
嬉しそうにする美咲を店内に案内した。窓際のテーブルに座るとメニューを見た。
「うーん。アイスカフェラテとサンドイッチセットかな?」
「了解。じゃ頼むね?」
店員さんにオーダーすると美咲に向き直る。
「今日はお買い物だったの?あのお店はドレスとかのお店だったけど・・?」
「うん。ドレスを1着ね・・。知り合いの同伴でパーティーに行かないといけないから。」
「・・その知り合いってさっき一緒にいた人?」
「そうだけど?何か変かな?」
「いや・・ごめん。俺がただ気になっただけだから、如月さんに説明する義理はないよね?」
その藤崎のセリフを聞いて目を瞬かせた。
「ふふっ、そんなに気にしなくても大丈夫だよ?さっき一緒にいた人は私の亡くなった両親の・・父親代わりの人なの。今回も、パーティーの同伴することになってそれで二人でドレスを選んでたんだよ?」
「・・本当に?」
「もちろん。」
「そっか・・・。良かった。」
「藤崎さんは一体どんな妄想してたの?」
「あっ、いや・・。」
「ふふっ、私は誰とも結婚する気はないから安心して?」
「えっ?それって・・・・。」
そこに、コーヒーと軽食が運ばれて来た。
「うわー、美味しそうですね?いただきます。」
年配のママみたいな人に笑顔を向ける。
「藤崎さん、さぁ食べましょ?話はそれぐらいで良いじゃないですか!?」
「あ、あぁ・・。」
ユックリと、軽食を食べる。窓からは忙しない人達が行き来する。
コーヒーを一口飲むと、
「何か、ここだけ時間が止まってるみたいですね?」
「・・うん。ここでは都会の喧騒なんて関係ないな。」
「・・・・。」
美咲は何となくグラスに目を落とす。ストローをクルクル回して言う。
「そうですね・・?私の人生もこんな風に過ごせれば良いんだけどね?」
そう言った美咲の顔は淋しそうだった。窓の外を行き交うサラリーマンに目を移す。
「俺は・・・。」
「?」
不意につぶやかれた言葉に顔を上げた。
「俺は、こんな普通の生活しか出来ない。セレブでもないしお金持ちでもない。だけど君を思う気持ちは誰よりも強いよ?」
凛とした姿勢で美咲の目を射抜いた。
「普通が一番難しいんですよ?」
「どんな事でもいい。如月さんが話したくなったら話して?俺は何時までも待ってるから。君が俺に心を開いてくれる事を。」
「・・・・。」
その後は、雑談をして店を出る頃には夕日が沈みかけていた。
「私、もう帰りますね?今日は楽しかったです。」
「うん。気を付けて帰ってね?」
美咲と別れ、さっきの店の前を通りかかる。
「・・・・。」
ウィンドウのウェディングドレスを眺めた。
レースや宝石が散りばめられたドレスは本当に綺麗だった。
これを着た美咲を想うととても似合っていた。このドレスを、着て笑い掛けられる相手は自分が良いと切に願った。
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
藤崎と別れ帰路につく。
パーティーの事を想うと幾分気分が重くなる。
(でも、昴おじさんが誘ってくれたんだし。行かないわけにもいかないよね?)
ため息をこぼしながら自宅へ向かう。
途中、何時も行く居酒屋の前を通るとママが声を掛けてくれた。
「あら、みさきちゃん?カレー作ったから食べていって?」
「ほんとですか?じゃあ、頂こうかな?」
「ふふっ、さぁいらっしゃい。」
店内に入るとマスターが笑顔で迎えてくれた。
お茶を出してくれると、程なくしてカレーが出てきた。
「ママ!ほんと、ママの作るカレーって美味しいよね?何かホッとするっていうか、家庭の味がする・・。」
そう言った美咲は俯いてしまった。
「美咲ちゃん・・。」
食事も終わり暫く話しをして自宅へと帰った。
「・・・・。」
「藤崎さん?」
そんな、藤崎を不思議そうに見上げた。
「あぁ、ごめん。この先に喫茶店があるからそこに行こうか?」
「はい。」
二人並んで歩く。美咲の手には小さなバッグがあるだけで特に荷物を持っていなかった。
5分程歩くと、昭和を感じさせるレトロな喫茶店があった。
「うゎ~、私こういうお店好きなんです!」
嬉しそうにする美咲を店内に案内した。窓際のテーブルに座るとメニューを見た。
「うーん。アイスカフェラテとサンドイッチセットかな?」
「了解。じゃ頼むね?」
店員さんにオーダーすると美咲に向き直る。
「今日はお買い物だったの?あのお店はドレスとかのお店だったけど・・?」
「うん。ドレスを1着ね・・。知り合いの同伴でパーティーに行かないといけないから。」
「・・その知り合いってさっき一緒にいた人?」
「そうだけど?何か変かな?」
「いや・・ごめん。俺がただ気になっただけだから、如月さんに説明する義理はないよね?」
その藤崎のセリフを聞いて目を瞬かせた。
「ふふっ、そんなに気にしなくても大丈夫だよ?さっき一緒にいた人は私の亡くなった両親の・・父親代わりの人なの。今回も、パーティーの同伴することになってそれで二人でドレスを選んでたんだよ?」
「・・本当に?」
「もちろん。」
「そっか・・・。良かった。」
「藤崎さんは一体どんな妄想してたの?」
「あっ、いや・・。」
「ふふっ、私は誰とも結婚する気はないから安心して?」
「えっ?それって・・・・。」
そこに、コーヒーと軽食が運ばれて来た。
「うわー、美味しそうですね?いただきます。」
年配のママみたいな人に笑顔を向ける。
「藤崎さん、さぁ食べましょ?話はそれぐらいで良いじゃないですか!?」
「あ、あぁ・・。」
ユックリと、軽食を食べる。窓からは忙しない人達が行き来する。
コーヒーを一口飲むと、
「何か、ここだけ時間が止まってるみたいですね?」
「・・うん。ここでは都会の喧騒なんて関係ないな。」
「・・・・。」
美咲は何となくグラスに目を落とす。ストローをクルクル回して言う。
「そうですね・・?私の人生もこんな風に過ごせれば良いんだけどね?」
そう言った美咲の顔は淋しそうだった。窓の外を行き交うサラリーマンに目を移す。
「俺は・・・。」
「?」
不意につぶやかれた言葉に顔を上げた。
「俺は、こんな普通の生活しか出来ない。セレブでもないしお金持ちでもない。だけど君を思う気持ちは誰よりも強いよ?」
凛とした姿勢で美咲の目を射抜いた。
「普通が一番難しいんですよ?」
「どんな事でもいい。如月さんが話したくなったら話して?俺は何時までも待ってるから。君が俺に心を開いてくれる事を。」
「・・・・。」
その後は、雑談をして店を出る頃には夕日が沈みかけていた。
「私、もう帰りますね?今日は楽しかったです。」
「うん。気を付けて帰ってね?」
美咲と別れ、さっきの店の前を通りかかる。
「・・・・。」
ウィンドウのウェディングドレスを眺めた。
レースや宝石が散りばめられたドレスは本当に綺麗だった。
これを着た美咲を想うととても似合っていた。このドレスを、着て笑い掛けられる相手は自分が良いと切に願った。
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
藤崎と別れ帰路につく。
パーティーの事を想うと幾分気分が重くなる。
(でも、昴おじさんが誘ってくれたんだし。行かないわけにもいかないよね?)
ため息をこぼしながら自宅へ向かう。
途中、何時も行く居酒屋の前を通るとママが声を掛けてくれた。
「あら、みさきちゃん?カレー作ったから食べていって?」
「ほんとですか?じゃあ、頂こうかな?」
「ふふっ、さぁいらっしゃい。」
店内に入るとマスターが笑顔で迎えてくれた。
お茶を出してくれると、程なくしてカレーが出てきた。
「ママ!ほんと、ママの作るカレーって美味しいよね?何かホッとするっていうか、家庭の味がする・・。」
そう言った美咲は俯いてしまった。
「美咲ちゃん・・。」
食事も終わり暫く話しをして自宅へと帰った。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R18・完結】蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない〜
花室 芽苳
恋愛
契約結婚しませんか?貴方は確かにそう言ったのに。気付けば貴方の冷たい瞳に炎が宿ってー?ねえ、これは大人の恋なんですか?
どこにいても誰といても冷静沈着。
二階堂 柚瑠木《にかいどう ゆるぎ》は二階堂財閥の御曹司
そんな彼が契約結婚の相手として選んだのは
十条コーポレーションのお嬢様
十条 月菜《じゅうじょう つきな》
真面目で努力家の月菜は、そんな柚瑠木の申し出を受ける。
「契約結婚でも、私は柚瑠木さんの妻として頑張ります!」
「余計な事はしなくていい、貴女はお飾りの妻に過ぎないんですから」
しかし、挫けず頑張る月菜の姿に柚瑠木は徐々に心を動かされて――――?
冷徹御曹司 二階堂 柚瑠木 185㎝ 33歳
努力家妻 十条 月菜 150㎝ 24歳
【R-18】愛妻家の上司にキスしてみたら釣れてしまった件について
瑛瑠
恋愛
わたしの上司、藤沢係長は、39歳、既婚、子供は3人。
身長176㎝、休日はジムやランニングで鍛え、オーダースーツにピカピカの靴。
顔はあっさり癒し系。さらに気さくで頭も良くて話も面白くて頼りがいもあって、とにかく人気のある上司。
ただ、周りが引くほどの愛妻家。
そんな上司に、なんとなくキスをしてしまったら…
そしてそのキスの先は。
釣ったのは私なのか、釣られてしまったのは私なのか。
この後どうしようというもどかしい、ダメなオトナのお話です。
奥さんがいる人とのお話なので、嫌悪感を持つ方、苦手な方はUターンお願いします。
R-18に ※マークつけてますのでご注意ください。
ーーーーー
▫️11.10 第2章の1を分割しました
腹黒御曹司の独占欲から逃げられません 極上の一夜は溺愛のはじまり
春宮ともみ
恋愛
旧題:極甘シンドローム〜敏腕社長は初恋を最後の恋にしたい〜
大手ゼネコン会社社長の一人娘だった明日香は、小学校入学と同時に不慮の事故で両親を亡くし、首都圏から離れた遠縁の親戚宅に預けられ慎ましやかに暮らすことに。質素な生活ながらも愛情をたっぷり受けて充実した学生時代を過ごしたのち、英文系の女子大を卒業後、上京してひとり暮らしをはじめ中堅の人材派遣会社で総務部の事務職として働きだす。そして、ひょんなことから幼いころに面識があったある女性の結婚式に出席したことで、運命の歯車が大きく動きだしてしまい――?
***
ドSで策士な腹黒御曹司×元令嬢OLが紡ぐ、甘酸っぱい初恋ロマンス
***
◎作中に出てくる企業名、施設・地域名、登場人物が持つ知識等は創作上のフィクションです
◆アルファポリス様のみの掲載(今後も他サイトへの転載は予定していません)
※著者既作「(エタニティブックス)俺様エリートは独占欲全開で愛と快楽に溺れさせる」のサブキャラクター、「【R18】音のない夜に」のヒーローがそれぞれ名前だけ登場しますが、もちろんこちら単体のみでもお楽しみいただけます。彼らをご存知の方はくすっとしていただけたら嬉しいです
※著者が読みたいだけの性癖を詰め込んだ三人称一元視点習作です
極上の一夜から始まるCEOの執着愛からは、逃げきれない
季邑 えり
恋愛
旧題:ワンナイトしちゃった極上CEOの執着愛からは、逃げきれません⁉
この度、エタニティ・ブックスにて『極上の一夜から始まるCEOの執着愛からは、逃げきれない』と改題し出版することとなりました。
応援ありがとうございました!
「どうしよう、本当にCEOとエッチしちゃったの?」ニューヨークで出会った哲司(31)と玲奈(25)。
元カレに手ひどく裏切られた玲奈は、失恋の痛みと酔った勢いで黒豹のようにスマートな哲司とワンナイトしてしまう。彼の絶倫ぶりに驚かされた翌朝、玲奈は連絡先も教えず逃げ去ってしまう。
けれど京都の老舗の料亭で、再び出会った哲司は勝堂コーポレーションのCEOだった!しかも――
「え?これってお見合い⁉ 私がCEOの哲司さんと?」
「僕から逃げきれると思ってた?」
世界各地のホテルを取材することになった玲奈とそれを追いかける哲司。
ヨーロッパに中近東と旅する玲奈は、哲司の執着愛から逃げきれるのか⁉
*訪問地:京都、沖縄、ニューヨーク、シンガポール、ロンドン、パリ、ローマ、モナコ、ウィーン、ドバイ、モルディブと世界各国を旅しながらも、恋愛のドキドキ感を楽しむTLです!
【完結・R18】苦しいだけの愛なんだ〜婚約者の御曹司に執着されていたなんて別れを切り出すまで知りませんでした〜
堀川ぼり
恋愛
「──君から番にして欲しいって言われるまで我慢してたのに、なんでこんな事をするんだ」
婚約してから二年間、運命の番である隆一にセックスどころかキスさえしてもらえない《オメガ》の由莉。発情期のたび玩具を使って慰めるばかりの隆一との婚約は、希少なオメガの優秀な胎だけを目的とした愛のない契約だった。
発情したオメガの相手なんて面倒を隆一にさせる現状に悩む由莉は、ある日好意を告げてきたアルファの凪に襲われ、請われるまま番契約を結ぶ。
隆一の喜ぶ顔を期待して凪と番になったことを報告する由莉が目にしたのは、自身に興味などないと思っていた婚約者の異常なほどの執着と底無しの愛憎だった。
ぼろぼろ泣きながら由莉を手酷く抱く隆一は、何度も何度も項を噛む。
「──俺の方がずっと愛してる」
※毎日20時に一話ずつ更新します
※ムーンライトノベルズでも投稿しております
※第16回恋愛小説大賞にエントリーしております。よろしくお願いします。→奨励賞をいただきました!たくさんの応援や投票、ありがとうございました!
孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「絶対にキモチイイと言わせてやる」
私に多額の借金を背負わせ、彼氏がいなくなりました!?
ヤバい取り立て屋から告げられた返済期限は一週間後。
少しでもどうにかならないかとキャバクラに体験入店したものの、ナンバーワンキャバ嬢の恨みを買い、騒ぎを起こしてしまいました……。
それだけでも絶望的なのに、私を庇ってきたのは弊社の御曹司で。
副業がバレてクビかと怯えていたら、借金の肩代わりに妊娠を強要されたんですが!?
跡取り身籠もり条件の愛のない関係のはずなのに、御曹司があまあまなのはなぜでしょう……?
坂下花音 さかしたかのん
28歳
不動産会社『マグネイトエステート』一般社員
真面目が服を着て歩いているような子
見た目も真面目そのもの
恋に関しては夢を見がちで、そのせいで男に騙された
×
盛重海星 もりしげかいせい
32歳
不動産会社『マグネイトエステート』開発本部長で御曹司
長男だけどなにやら訳ありであまり跡取りとして望まれていない
人当たりがよくていい人
だけど本当は強引!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる