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研修8

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藤崎は中庭を目指した。エレベーターに乗り込むが遅く感じる。

(くそっ、早く着いてくれ!)

気ばかりが焦ってしまう。
1階に着くと、ドアが開き切る前に外に飛び出した。

(中庭って何処だ?多分1階だと思って来たけど・・。)

フロントに行って場所を聞いた。

「すみません、中庭って何処にありますか?」

「はい、中庭ですか?」

フロントの人に場所を教えてもらい急いで向かった。
ビジネスホテルには珍しく、中庭があって外を散策出来るようになっていた。多少は観光客にも対応しているようだった。
小走りで中庭に続く扉を目指した。
ロビーから奥を目指すとすぐにガラス張りになっている所に出た。
目を凝らすと、美咲と先程の3人が一緒に庭を歩いていた。

(居たっ!!)

中庭は電灯があったが少し薄暗く4人の影が少し見えた。中庭へのドアはもう少し先にあった。




✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻




「如月さんっていくつなんですか?」

「今年で22歳ですよ?」

「若ーい!女の人の営業って珍しいよね?大変じゃない?」

「そうですね。でも、周りの同僚の方々が良くしてくれるので・・。いつも助けて貰ってます。」

「へー、そうなんだ?」

中庭の中央には池があり魚が泳いでいた。暗くて何の魚かわからなかったがきっと鯉とかだろうと思った。
周りを見渡すと人気がなくて少し寂しい気持ちになった。

(藤崎さんに何も言わずに来ちゃったけど心配してるかも・・。)

ふと、そんな事を考える。

「あのっ、一緒に来てる人に何も言わないで来てしまったので戻りますね?心配してるかもしれないので。」

3人にそう告げると踵を返した。しかし、その中の一人が美咲の手首を掴んだ。

「大丈夫だって。お互いに大人なんだから向こうも宜しくやってるんじゃないかな?」

「そんな事・・。」

「平気、平気。向こうから夜景が綺麗に見れるんだよ?折角ここまで来たんだから見に行こうよ?」

美咲の返事を待たずに手首をグイグイ引かれる。

「あのっ!!」

美咲が声を上げようとした時自分を呼ぶ声がした。

「如月さんっ!!」

振り返ると息を切らせた藤崎が居た。

「藤崎さん?どうしたんですか?」

藤崎は美咲の側に寄ると手を引いた。

「如月さんが会場に居なかったから心配で・・。良かった見つかって。」

「ごめんなさい。一言言えば良かったですよね?」

「大丈夫。」

藤崎は自分の後ろに美咲を匿うと3人組に視線を向けた。

「こんな人気のない所に女の子を連れてくるなんて感心しませんね?」

「いや、俺達は夜景を見ようと思って。」

「じゃあ、それはお断りします。如月さん?行こう。」

そのまま美咲の手を引いて藤崎はいま来た道を戻った。
ホテル内に入るとやっと少しホッと出来た。

「藤崎さん・・ごめんなさい、私・・。」

ずっと無言だった藤崎に謝った。周りを見ると奥に通路があって人気がなかった。そこまで美咲を連れて行くときつく抱き締めた。

「藤崎・・さん?」

「良かった。何もなくて。」

「ごめんなさい。」

「良いんだ、如月さんが無事なら。変な事されていないよね?」

「・・はい。大丈夫ですよ?」

「俺も目を離しちゃったから、ごめん。」

「そんな、子供じゃないんですから・・。」

美咲の頬に手を伸ばすと愛おしそうに頬を撫でた。

「ホントに良かった。」

「ふじさきさ・・んっ。」

視線が絡むと一気に藤崎が美咲の唇を掠め取った。
スルリと舌が入り込み、美咲の熱を高めた。

「んっ・・藤崎さ・ん?」

藤崎の目を見ると、嫉妬の炎が揺らめいていた。そんな視線に射抜かれると一瞬息をのんだ。
無言のまま抱き締められると不思議な位安心出来た。

「ごめん、もう会場に戻ろうか?」

「は・・い。」

手を繋いでエレベーターに乗ると夕食会場に戻った。2人とも喉が乾いていたので、バーカウンターで飲み物を貰って飲んだ。
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