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BIRTHDAY2

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6月に入ると梅雨に入り、雨と湿度の高い気温に辟易した。
しかし、四半期の〆月ということもあり忙しい毎日を送っていると、あっという間に美咲の誕生日になった。
6月28日。
6月分の登録台数の目処が立ち、少しホッとしていた。
ちょうど、28日は日曜日だった。

「如月さん?今日は早めに上がろうか?折角の誕生日だしね?」

久堂が柔らかい笑みを浮かべながら言う。

「そうですね。じゃあ、先に駐車場に行ってますね?」

「わかった。」

美咲は自分の仕事を終えると一足先に退社した。
つい、隣の会社の駐車場を見てしまうと罪悪感に包まれた。

「・・・・・。」

ため息を吐いて社員駐車場へ向う。
自分の車に乗込むと目を閉じてシートに身体を預けた。
去年、長嶺と過ごした誕生日を鮮明に思い出した。
ボンヤリと外の景色を眺めていると、30分程で久堂がやってきた。

「如月さんお待たせ。とりあえず、俺の車に乗って?」

「久堂さん、お疲れ様です。」

久堂の車に乗ると駐車場を後にした。

「如月さんは好き嫌いないんだっけ?」

「はい。無いですよ?」

「そっか、和食にしちゃったんだけど良かった?如月さん位だとイタリアンとかの方が良かった?」

「そんな事無いですよ?和食好きです。それに・・・、何を食べるかより誰と食べるかが大事だと思ってるんで。大切な人と食べるならファミレスでも立ち食い蕎麦でも全然平気ですよ?」

「ははっ、如月さんらしいね。そういう所好きなんだよな。」

久堂は助手席の美咲の手を握った。

「久堂さん・・。」

暫く車を走らせると日本料亭に着いた。いかにも高級そうなお店だ。

「さぁ、行こうか?」

「あ、はい。」

車を降りて久堂の後に続いた。店内も落ち着いた感じだった。

「久堂さん、いらっしゃいませ。」

スーツを着た上品そうな男性が声を掛けてきた。

「あっ、今日はお世話になります。」

「この方が久堂さんの可愛いお弟子さんですか?」

優しい笑顔を向けられる、咄嗟にお辞儀をした。

「えぇ。」

「そうですか。では、お部屋にご案内しますね?」

男性に案内されたのは、中庭がよく見える部屋だった。

「本日はごゆっくりお寛ぎ下さいね?」

そう言って、男性は部屋を後にした。

「久堂さんのお知り合いの方ですか?」

「うん。昔からのお客さんなんだ。付き合いも長いから気心も知れてるしね。」

「そうだったんですか?」

「うん。とりあえず食事はコースだから飲み物は?ビールでいい?」

「あ、はい。ありがとうございます。」

部屋の電話で注文をすると、すぐにビールが運ばれてきた。

「じゃあ、如月さん誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます。」

二人で乾杯をした。
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