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葛藤4
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久堂は美咲の看病を続けていた。と言っても、タオルを変えることしか出来なかった。
「んっ・・。」
暑いのか、布団を剥いでしまう。その度にきちんと掛け直していた。
不意に、インターホンが鳴った。
ドアを開けると白衣を着た中年の男性が立っていた。
「あれ?ここ、美咲さんの部屋ですよね?」
「ああ、俺は如月さんの上司の久堂といいます。先程電話したのも私です。」
「そうでしたか。私は医師の美園といいます。美咲さんはどんな状態ですか?」
「あ、どうぞ。今は眠っています。」
室内に案内するとベッドに横たわる美咲を見た。
「どういった状況ですか?」
取り急ぎ、美咲の状態を伝えた。
話を聞くと美園は美咲の額に手を当てた。その後、血圧を測ったり酸素濃度を計ったりした。極力美咲を起こさない様に流れるような動きだった。
「ちょっと、熱が高いですね。酸素濃度もあまり良くない。」
「えっ?大丈夫なんですかっ?」
久堂が詰め寄る。
「とりあえず、美咲さんから話を聞きましょう。」
そう言うと美咲の肩を揺する。
「美咲さん?美園です。わかりますか?」
気怠そうに目を開ける。視線が暫く宙を彷徨うと美園に向けた。
「せんせぇ・・。」
「うん。大丈夫だよ?今少し診させて貰ったけど恐らくインフルエンザだと思う。ちょっと熱計ってくれる?」
体温計を渡す。
「ごめん・・なさい。」
「何で謝るの?」
美園は笑顔を浮かべて美咲の頭を撫でた。
「俺には気を使わないでほしいな?」
そんな話をしていると体温計のアラームが鳴る。見ると、やはり40℃を越えていた。
「ちょっと熱が高いな。食事は取れてるの?」
「いえ・・、食欲無くて・・。」
「まぁ、そうだよね?とりあえず、点滴しとく。一応、インフルエンザの検査もしとこうか?」
「・・はい。」
力なく美咲がこたえた。インフルエンザの検査をすると点滴の用意をする。やはり、陽性反応が出た。
「やっぱりインフルエンザだったよ。今は点滴をして、後は薬を出すからそれ飲んでくれる?」
「わかりました。」
「うん。じゃあ、俺の方で処置するから寝ちゃっても大丈夫だからね?」
「ありがとう・・ございます。」
美園に言われた通り目を閉じた。
点滴や薬の準備をしている間に美咲は眠ってしまった。
全て処置が終わると久堂に視線を移す。
「これで少しは楽になれると思いますけど、暫くは高熱が続くと思います。」
「そう・・ですか。」
「久堂さん・・でしたっけ?美咲に付き添ってあげれますか?」
美園に核心をつかれる。
「・・・ずっと、という訳にはいかないです。」
「そうですかぁ。じゃあ、どうしようかな?俺がついてても良いんだけどこの時期なんで往診が多いんですよね?」
「・・俺は時間が許す限り付き添います。」
「そうですか?とりあえず、往診の予約が入っているので出ますけど久堂さんは出来る限りで結構ですので美咲に付き添ってあげてください。」
「わかりました。」
久堂と話が終わると美園は次の患者の所に行ってしまった。
一人残された久堂は美咲の手を握る。
苦しそうな呼吸をする美咲の頬に手を伸ばして優しく撫でた。
「んっ・・。」
暑いのか、布団を剥いでしまう。その度にきちんと掛け直していた。
不意に、インターホンが鳴った。
ドアを開けると白衣を着た中年の男性が立っていた。
「あれ?ここ、美咲さんの部屋ですよね?」
「ああ、俺は如月さんの上司の久堂といいます。先程電話したのも私です。」
「そうでしたか。私は医師の美園といいます。美咲さんはどんな状態ですか?」
「あ、どうぞ。今は眠っています。」
室内に案内するとベッドに横たわる美咲を見た。
「どういった状況ですか?」
取り急ぎ、美咲の状態を伝えた。
話を聞くと美園は美咲の額に手を当てた。その後、血圧を測ったり酸素濃度を計ったりした。極力美咲を起こさない様に流れるような動きだった。
「ちょっと、熱が高いですね。酸素濃度もあまり良くない。」
「えっ?大丈夫なんですかっ?」
久堂が詰め寄る。
「とりあえず、美咲さんから話を聞きましょう。」
そう言うと美咲の肩を揺する。
「美咲さん?美園です。わかりますか?」
気怠そうに目を開ける。視線が暫く宙を彷徨うと美園に向けた。
「せんせぇ・・。」
「うん。大丈夫だよ?今少し診させて貰ったけど恐らくインフルエンザだと思う。ちょっと熱計ってくれる?」
体温計を渡す。
「ごめん・・なさい。」
「何で謝るの?」
美園は笑顔を浮かべて美咲の頭を撫でた。
「俺には気を使わないでほしいな?」
そんな話をしていると体温計のアラームが鳴る。見ると、やはり40℃を越えていた。
「ちょっと熱が高いな。食事は取れてるの?」
「いえ・・、食欲無くて・・。」
「まぁ、そうだよね?とりあえず、点滴しとく。一応、インフルエンザの検査もしとこうか?」
「・・はい。」
力なく美咲がこたえた。インフルエンザの検査をすると点滴の用意をする。やはり、陽性反応が出た。
「やっぱりインフルエンザだったよ。今は点滴をして、後は薬を出すからそれ飲んでくれる?」
「わかりました。」
「うん。じゃあ、俺の方で処置するから寝ちゃっても大丈夫だからね?」
「ありがとう・・ございます。」
美園に言われた通り目を閉じた。
点滴や薬の準備をしている間に美咲は眠ってしまった。
全て処置が終わると久堂に視線を移す。
「これで少しは楽になれると思いますけど、暫くは高熱が続くと思います。」
「そう・・ですか。」
「久堂さん・・でしたっけ?美咲に付き添ってあげれますか?」
美園に核心をつかれる。
「・・・ずっと、という訳にはいかないです。」
「そうですかぁ。じゃあ、どうしようかな?俺がついてても良いんだけどこの時期なんで往診が多いんですよね?」
「・・俺は時間が許す限り付き添います。」
「そうですか?とりあえず、往診の予約が入っているので出ますけど久堂さんは出来る限りで結構ですので美咲に付き添ってあげてください。」
「わかりました。」
久堂と話が終わると美園は次の患者の所に行ってしまった。
一人残された久堂は美咲の手を握る。
苦しそうな呼吸をする美咲の頬に手を伸ばして優しく撫でた。
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