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社員旅行7
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「如月さんを他の男の部屋に泊めるのは嫌だな。」
久堂はそう言うと美咲の手を握りエレベーターに向い10階で降りた。
久堂の部屋はエレベーターから一番近い所にあった。
部屋の鍵を開けると
「どうぞ?」
と美咲の顔を見た。
美咲の心は久堂のさっきの言葉の意味を全細胞フル回転で考えていた。
『他の男の部屋に泊めるのは嫌だ。』
意識をしないようにすればするほど意識してしまう。
久堂にわからないように深呼吸をする。
(きっと、深い意味なんてないんだ。きっと一人部屋だから言ってくれたのかも?)
そんな問答を心の中で何度も繰り返した。
「如月さん?」
久堂に呼ばれハッとする。
「あ・・。じゃあお邪魔します・・。」
「うん。どうぞ?」
部屋に入るとツインルームだった。
片方のベッドの上には着替え等が置いてあった。
「い、いい部屋ですね!?やっぱりここからの景色は綺麗ですね?」
自分の鼓動が久堂に聞こえてしまいそうで、わざとはしゃいでみせた。
ベランダに出ると、うっすらと海が見えるだけだった。
「・・・・。」
久堂は、クスリと笑うと美咲の隣に来た。
「景色は綺麗だったよ?明日の朝見れるよ?」
久堂の一言で、今夜を一緒に過ごすのだと意識させられてつい、黙り込んでしまった。
久堂は美咲の背後に立つとまるで包み込むように美咲を抱きしめた。
「・・緊張・してる?」
何時ものトーンより少し低かった。耳元で囁かれ心臓が跳ねた。それを、気付かれないように俯く。
ベランダの手摺を握る手に力が入った。
「く、久堂さん・・。」
「うん?」
久堂が抱きしめる力を緩める気配は無かった。
「だ、駄目ですよっ!奥さんもお子さんも居るんですからっ!」
美咲のその言葉に一瞬ピクリと反応したが、逆に一層強く抱きしめられた。
「今は、それを言わないで?俺は、如月さんに出会った瞬間に君に恋をしたんだ。」
「くどう・・さん?」
「本当は、長嶺に渡したくなんて無かった。でも、君は長嶺を選んだ。そして大きく傷付いた・・。あの時、身を引いたのをとっても後悔したよ。だから、あの雨の日如月さんを見付けられて良かったと思ってる。」
「・・・・。」
美咲は俯きながら久堂の話をただ静かに聞いた。
「如月さんの為なら何でもする。俺がこんなに心を動かされたのは初めてだ。」
「でもっ・・。」
「その先は言わないで?今は俺個人の気持ちを伝えてるから。」
「・・・・。」
「如月さん。君の事が好きだ。何よりも大切にしたいと思ってる。・・・・、俺にこんな事を言う資格が無いのもわかってる。だけど、この気持ちだけは変えられない。」
久堂は抱きしめる力を緩めると美咲を正面から抱きしめた。
逞しい身体に抱きすくめられる。長嶺とは違うフローラル系の香水の香りに包まれた。決して嫌な香りではなくとても落ち着ける香りだった。
「久堂・・さん。」
身体を離すと久堂は手を伸ばし美咲の頬を包み込むと久堂の顔を見上げる。
ソッと久堂の顔が近付くと、美咲は目を閉じた。最初は触れるだけの口づけを交わし段々と深い口づけになる。
閉じている唇を器用に舐めるとまるで合図の様に唇を少し開く。そこから、舌が入り込む。
「んっ・・。」
思わず甘い吐息が漏れる。
唇が離れると目を少し開けた。久堂の顔が少し滲んで見える。
「かわいい。」
久堂は目を細めて美咲を見つめた。
目尻に溜まった涙を舌で掬いあげる。
「さぁ、中に入ろう?」
久堂に促されて室内に入る。
「如月さんは向こうのベッドを使って?勿論、俺の所が良ければ大歓迎だけど?」
いたずらっぽい笑顔を向けられる。
美咲は自分の頬が熱を帯びるのを感じて慌てた。
「いえっ!こちらのベッドで大丈夫ですっ!!」
久堂は楽しそうに笑いながら「そっか?」といった。
もう、夜も遅いので寝ることになったが美咲はなかなか寝付けなかった。
久堂はそう言うと美咲の手を握りエレベーターに向い10階で降りた。
久堂の部屋はエレベーターから一番近い所にあった。
部屋の鍵を開けると
「どうぞ?」
と美咲の顔を見た。
美咲の心は久堂のさっきの言葉の意味を全細胞フル回転で考えていた。
『他の男の部屋に泊めるのは嫌だ。』
意識をしないようにすればするほど意識してしまう。
久堂にわからないように深呼吸をする。
(きっと、深い意味なんてないんだ。きっと一人部屋だから言ってくれたのかも?)
そんな問答を心の中で何度も繰り返した。
「如月さん?」
久堂に呼ばれハッとする。
「あ・・。じゃあお邪魔します・・。」
「うん。どうぞ?」
部屋に入るとツインルームだった。
片方のベッドの上には着替え等が置いてあった。
「い、いい部屋ですね!?やっぱりここからの景色は綺麗ですね?」
自分の鼓動が久堂に聞こえてしまいそうで、わざとはしゃいでみせた。
ベランダに出ると、うっすらと海が見えるだけだった。
「・・・・。」
久堂は、クスリと笑うと美咲の隣に来た。
「景色は綺麗だったよ?明日の朝見れるよ?」
久堂の一言で、今夜を一緒に過ごすのだと意識させられてつい、黙り込んでしまった。
久堂は美咲の背後に立つとまるで包み込むように美咲を抱きしめた。
「・・緊張・してる?」
何時ものトーンより少し低かった。耳元で囁かれ心臓が跳ねた。それを、気付かれないように俯く。
ベランダの手摺を握る手に力が入った。
「く、久堂さん・・。」
「うん?」
久堂が抱きしめる力を緩める気配は無かった。
「だ、駄目ですよっ!奥さんもお子さんも居るんですからっ!」
美咲のその言葉に一瞬ピクリと反応したが、逆に一層強く抱きしめられた。
「今は、それを言わないで?俺は、如月さんに出会った瞬間に君に恋をしたんだ。」
「くどう・・さん?」
「本当は、長嶺に渡したくなんて無かった。でも、君は長嶺を選んだ。そして大きく傷付いた・・。あの時、身を引いたのをとっても後悔したよ。だから、あの雨の日如月さんを見付けられて良かったと思ってる。」
「・・・・。」
美咲は俯きながら久堂の話をただ静かに聞いた。
「如月さんの為なら何でもする。俺がこんなに心を動かされたのは初めてだ。」
「でもっ・・。」
「その先は言わないで?今は俺個人の気持ちを伝えてるから。」
「・・・・。」
「如月さん。君の事が好きだ。何よりも大切にしたいと思ってる。・・・・、俺にこんな事を言う資格が無いのもわかってる。だけど、この気持ちだけは変えられない。」
久堂は抱きしめる力を緩めると美咲を正面から抱きしめた。
逞しい身体に抱きすくめられる。長嶺とは違うフローラル系の香水の香りに包まれた。決して嫌な香りではなくとても落ち着ける香りだった。
「久堂・・さん。」
身体を離すと久堂は手を伸ばし美咲の頬を包み込むと久堂の顔を見上げる。
ソッと久堂の顔が近付くと、美咲は目を閉じた。最初は触れるだけの口づけを交わし段々と深い口づけになる。
閉じている唇を器用に舐めるとまるで合図の様に唇を少し開く。そこから、舌が入り込む。
「んっ・・。」
思わず甘い吐息が漏れる。
唇が離れると目を少し開けた。久堂の顔が少し滲んで見える。
「かわいい。」
久堂は目を細めて美咲を見つめた。
目尻に溜まった涙を舌で掬いあげる。
「さぁ、中に入ろう?」
久堂に促されて室内に入る。
「如月さんは向こうのベッドを使って?勿論、俺の所が良ければ大歓迎だけど?」
いたずらっぽい笑顔を向けられる。
美咲は自分の頬が熱を帯びるのを感じて慌てた。
「いえっ!こちらのベッドで大丈夫ですっ!!」
久堂は楽しそうに笑いながら「そっか?」といった。
もう、夜も遅いので寝ることになったが美咲はなかなか寝付けなかった。
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