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社員旅行2
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バスでホテルまで移動する。
道路を一本挟んだ海沿いにホテルがあった。
バスを降りると海の匂いがした。
通常はチェックインは15時か16時なのだが今回は人数が多い事等を加味して特別に正午にチェックイン出来た。
手続きを終えた総務部長が皆の所に戻ってくる。
部屋割りは既に渡されていた書類に書かれていた。美咲は中古車部門で事務をしている女性と一緒だった。
「如月さん、じゃあ行こっか?」
「あ、はい。」
二人で部屋のある8階でエレベーターを降りる。
室内に入ると窓からは海が見えた。
ベランダに出るとサァっと風が頬を撫でていく。
眼下には美しい砂浜が広がっていた。
「うわぁ~!!綺麗ですね!眺めもいいし!」
「ホントだね?如月さんは海外は初めて?」
「はい。日本は冬ですけどここは温かいですね?」
「そうだね?でも、ハワイは今雨季だから突然スコールが来たりするけどね。」
「そうなんですか?良く知ってますね?」
「うん。ハワイには結構来てるからね~。」
その時、部屋の内線が鳴る。
「はい。」
『あ、如月?』
「中垣君?どうしたの?」
『今日はこれからどうするの?決まってないならこっち来いよ?皆居るし。』
「うん。わかった。じゃあ、あとで行くね?」
ベッドに腰掛けると窓からの景色を眺めた。
「如月さん?私ちょっと出てくるね?」
「あ、はい。」
同室の女性は早々に着替えを終えると出掛けていってしまった。
美咲も着替えて中垣の部屋に向かう。
室内に入ると、既にメカニックの面々と整備部門の事務をしている女性達が居た。
「来たな?」
中垣が笑顔で迎えてくれた。部屋に居たメカニック達は美咲にいつも色々と車の事を教えてくれるメンバー達だった。
「これから、どうするの中垣君?」
「昼飯でも食べに行こうか?」
「いいねー!」
「俺も、腹減った。」
口々に意見が出た。
「わかったよ!とりあえず出掛けるか?」
「さんせーい!」
中垣はこのメンバーの中では一番若い。しかし、皆を引っ張っていく雰囲気がある。
皆でホテルを出ると、海岸線沿いの道を歩く。
沢山のお店があり店先を見ながら一番後を歩いていると中垣が話し掛けてきた。
「如月、何か食べたい物とかある?」
「うーん。好き嫌い無いし何でも良いよ?皆が食べたい物で。」
美咲の言葉を聞いて中垣はため息を吐いた。
「お前ってさ、何でそんなに欲が無いの?」
「えっ?そうかな?」
「そうだよ。もっと我儘になってもいいと思うよ?」
「・・・・・。うん。」
「まぁ、そういう所が如月らしくもあるけどな?」
「中垣君・・?」
珍しく優しい笑顔を美咲に向けた。普段は、ダルそうにしている中垣だか美咲と居る時は柔らかな表情になっていた。それに気付いていたのは事務をしている高村だった。
「中垣君?美咲はなかなか難しいと思うよ?なんせ、天然だから。」
「高村さん。・・良いんですよ今はこれで。」
「そうなの?」
二人でそんな会話がされているとは思いもしなかった。
結局道沿いにある、カフェに皆で入ることになった。
メニューは勿論英語。
美咲はメニューとにらめっこした。
「うーん。」
チラリと他の皆を見るとお互いに何がいいか言い合っていた。
美咲はまたメニューに目を移す。
(このサンドイッチセットにしようかな?)
そんな事を考えていると、隣に座った中垣がメニューを覗き込んだ。
「如月は何にするか決まった?」
「うん。このサンドイッチセットにしようと思って。」
「そっか。」
中垣は何故か機嫌が良さそうだった。皆で、注文をして食事を楽しんだ。
食事の後は、ブラブラと買い物をしてホテルの近くまで来ると既に夕方だった。
「あ、私ちょっと砂浜に行きたいから皆は先に帰ってて?」
美咲は声をかけると、砂浜に歩いて行ってしまう。それを見ていた高村が中垣をつついた。
「ほーら、チャンス!!行ってきな?」
「何いってんだよ?そんなんじゃないから!・・ったく。一人じゃ危ないから俺行ってくる。」
悪態をつきながら美咲の後を追った。そんな中垣の後ろ姿を見て高村は苦笑いした。
「ほんと、どっちもどっちだけどね?」
道路を一本挟んだ海沿いにホテルがあった。
バスを降りると海の匂いがした。
通常はチェックインは15時か16時なのだが今回は人数が多い事等を加味して特別に正午にチェックイン出来た。
手続きを終えた総務部長が皆の所に戻ってくる。
部屋割りは既に渡されていた書類に書かれていた。美咲は中古車部門で事務をしている女性と一緒だった。
「如月さん、じゃあ行こっか?」
「あ、はい。」
二人で部屋のある8階でエレベーターを降りる。
室内に入ると窓からは海が見えた。
ベランダに出るとサァっと風が頬を撫でていく。
眼下には美しい砂浜が広がっていた。
「うわぁ~!!綺麗ですね!眺めもいいし!」
「ホントだね?如月さんは海外は初めて?」
「はい。日本は冬ですけどここは温かいですね?」
「そうだね?でも、ハワイは今雨季だから突然スコールが来たりするけどね。」
「そうなんですか?良く知ってますね?」
「うん。ハワイには結構来てるからね~。」
その時、部屋の内線が鳴る。
「はい。」
『あ、如月?』
「中垣君?どうしたの?」
『今日はこれからどうするの?決まってないならこっち来いよ?皆居るし。』
「うん。わかった。じゃあ、あとで行くね?」
ベッドに腰掛けると窓からの景色を眺めた。
「如月さん?私ちょっと出てくるね?」
「あ、はい。」
同室の女性は早々に着替えを終えると出掛けていってしまった。
美咲も着替えて中垣の部屋に向かう。
室内に入ると、既にメカニックの面々と整備部門の事務をしている女性達が居た。
「来たな?」
中垣が笑顔で迎えてくれた。部屋に居たメカニック達は美咲にいつも色々と車の事を教えてくれるメンバー達だった。
「これから、どうするの中垣君?」
「昼飯でも食べに行こうか?」
「いいねー!」
「俺も、腹減った。」
口々に意見が出た。
「わかったよ!とりあえず出掛けるか?」
「さんせーい!」
中垣はこのメンバーの中では一番若い。しかし、皆を引っ張っていく雰囲気がある。
皆でホテルを出ると、海岸線沿いの道を歩く。
沢山のお店があり店先を見ながら一番後を歩いていると中垣が話し掛けてきた。
「如月、何か食べたい物とかある?」
「うーん。好き嫌い無いし何でも良いよ?皆が食べたい物で。」
美咲の言葉を聞いて中垣はため息を吐いた。
「お前ってさ、何でそんなに欲が無いの?」
「えっ?そうかな?」
「そうだよ。もっと我儘になってもいいと思うよ?」
「・・・・・。うん。」
「まぁ、そういう所が如月らしくもあるけどな?」
「中垣君・・?」
珍しく優しい笑顔を美咲に向けた。普段は、ダルそうにしている中垣だか美咲と居る時は柔らかな表情になっていた。それに気付いていたのは事務をしている高村だった。
「中垣君?美咲はなかなか難しいと思うよ?なんせ、天然だから。」
「高村さん。・・良いんですよ今はこれで。」
「そうなの?」
二人でそんな会話がされているとは思いもしなかった。
結局道沿いにある、カフェに皆で入ることになった。
メニューは勿論英語。
美咲はメニューとにらめっこした。
「うーん。」
チラリと他の皆を見るとお互いに何がいいか言い合っていた。
美咲はまたメニューに目を移す。
(このサンドイッチセットにしようかな?)
そんな事を考えていると、隣に座った中垣がメニューを覗き込んだ。
「如月は何にするか決まった?」
「うん。このサンドイッチセットにしようと思って。」
「そっか。」
中垣は何故か機嫌が良さそうだった。皆で、注文をして食事を楽しんだ。
食事の後は、ブラブラと買い物をしてホテルの近くまで来ると既に夕方だった。
「あ、私ちょっと砂浜に行きたいから皆は先に帰ってて?」
美咲は声をかけると、砂浜に歩いて行ってしまう。それを見ていた高村が中垣をつついた。
「ほーら、チャンス!!行ってきな?」
「何いってんだよ?そんなんじゃないから!・・ったく。一人じゃ危ないから俺行ってくる。」
悪態をつきながら美咲の後を追った。そんな中垣の後ろ姿を見て高村は苦笑いした。
「ほんと、どっちもどっちだけどね?」
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