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入社式
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満開の桜も少し散り始めた、4月1日。
如月美咲は新社会人として入社式会場に居た。
真新しいスーツを身に纏い会場を見渡す。
同期になるであろう新入社員は、美咲を含め10人。
そして、美咲以外は全員が男性だった。
美咲が入社する会社は、ドイツ車を扱うカーディーラー。
(やっぱり、女性は私だけ・・か。)
そこへ受付をしていた女性が室内に入ってきた。
「後5分程で入社式が始まります。こちらから順番に着席してください。」
並べられたパイプ椅子に次々と座っていく。
「じゃあ、最後に如月さんはこちらに。」
一番最後に案内された。
隣を見ると先程「入社式が面倒だ」と言っていた男性が座っていた。
(あぁ、緊張するー。ここで、今日から働くんだ!頑張らないとっ!)
一人意気込んでいると隣の男性が話しかけて来た。
「俺、中垣 雅人宜しくね。あんた、営業だろ?同じ営業所になるといいな?」
「如月美咲です。よろしく。うん、営業だよ。中垣君はメカニック?」
「そうだよ。」
そんな他愛もない話をしていると、室内に数名の男性が入ってきた。
その中の一人は見知った顔だった。
面接官として顔を合わせていたからだ。
「これより、入社式を始めます。」
まず社長からの挨拶と各営業所の所長の言葉があった。
最後に、面接官だった総務部長が今後の予定を案内してくれた。
大企業ではないので入社式と言っても短いものだ。
式が終わると少しの休憩がはさまれ、オリエンテーションが始まる。
社長や各営業所の所長は席を外し、残ったのは総務部長と受付をしていた女性だけだった。
印刷物を渡されると、勤務する営業所が書かれていた。
本社営業所の配属だった。
「あ、やっぱ一緒の営業所だな?」
隣の中垣君が印刷物をヒラヒラさせながら見せてきた。
「ほんとだ!改めて宜しくね、中垣君。」
オリエンテーションでは、各自の自己紹介の後注意事項等の説明があった。
会社が用意してくれた昼食を取ると、午後からは配属先の営業所に皆がバラバラになった。
結局、本社には5人が配属となっていた。美咲以外は全員がメカニックだ。
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
社員用入口から営業所に入ると、直ぐ右手には総務・経理部があり左手に社長室がある。
そのまま進むと、少し広い事務所があった。
「じゃあ、中垣さん達はこっちね。」
と整備工場へ案内される。
一人残された美咲に声を掛けてきたのは本社の所長だった。
「如月さんはこっち。新車営業部は今4~5人の班に分かれてるんだ。」
事務所を見渡すと、確かにデスクが班の様に分かれて置かれていた。
「如月さんは久堂の班に入ってもらうから。机はここ使って。」
電話しか置かれていないデスクに案内される。
「もう少ししたら班長の久堂が戻ってくるからちょっとここで待ってて。」
新しいデスクに荷物を置くと椅子に座り改めて回りを見る。
壁にはホワイトボードがあり、各自の行き先と帰社予定の時間が書いてある。
そのホワイトボードの一番下に自分の名前を見つけた。
(いよいよ社会人なんだっ!)
新社会人として改めて実感が湧いてきた。
「ただいまぁ~。」
「おう、お疲れさん。」
「お疲れ様です。」
内勤の人達が声を掛ける。
咄嗟に振り向くとスーツ姿の男性が大き目のカバンを持って立っていた。
美咲を見るなり人懐っこい笑顔を浮かべた。
「君が今日から入った新入社員?」
「はいっ!如月美咲です。宜しくお願いします。」
如月美咲は新社会人として入社式会場に居た。
真新しいスーツを身に纏い会場を見渡す。
同期になるであろう新入社員は、美咲を含め10人。
そして、美咲以外は全員が男性だった。
美咲が入社する会社は、ドイツ車を扱うカーディーラー。
(やっぱり、女性は私だけ・・か。)
そこへ受付をしていた女性が室内に入ってきた。
「後5分程で入社式が始まります。こちらから順番に着席してください。」
並べられたパイプ椅子に次々と座っていく。
「じゃあ、最後に如月さんはこちらに。」
一番最後に案内された。
隣を見ると先程「入社式が面倒だ」と言っていた男性が座っていた。
(あぁ、緊張するー。ここで、今日から働くんだ!頑張らないとっ!)
一人意気込んでいると隣の男性が話しかけて来た。
「俺、中垣 雅人宜しくね。あんた、営業だろ?同じ営業所になるといいな?」
「如月美咲です。よろしく。うん、営業だよ。中垣君はメカニック?」
「そうだよ。」
そんな他愛もない話をしていると、室内に数名の男性が入ってきた。
その中の一人は見知った顔だった。
面接官として顔を合わせていたからだ。
「これより、入社式を始めます。」
まず社長からの挨拶と各営業所の所長の言葉があった。
最後に、面接官だった総務部長が今後の予定を案内してくれた。
大企業ではないので入社式と言っても短いものだ。
式が終わると少しの休憩がはさまれ、オリエンテーションが始まる。
社長や各営業所の所長は席を外し、残ったのは総務部長と受付をしていた女性だけだった。
印刷物を渡されると、勤務する営業所が書かれていた。
本社営業所の配属だった。
「あ、やっぱ一緒の営業所だな?」
隣の中垣君が印刷物をヒラヒラさせながら見せてきた。
「ほんとだ!改めて宜しくね、中垣君。」
オリエンテーションでは、各自の自己紹介の後注意事項等の説明があった。
会社が用意してくれた昼食を取ると、午後からは配属先の営業所に皆がバラバラになった。
結局、本社には5人が配属となっていた。美咲以外は全員がメカニックだ。
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
社員用入口から営業所に入ると、直ぐ右手には総務・経理部があり左手に社長室がある。
そのまま進むと、少し広い事務所があった。
「じゃあ、中垣さん達はこっちね。」
と整備工場へ案内される。
一人残された美咲に声を掛けてきたのは本社の所長だった。
「如月さんはこっち。新車営業部は今4~5人の班に分かれてるんだ。」
事務所を見渡すと、確かにデスクが班の様に分かれて置かれていた。
「如月さんは久堂の班に入ってもらうから。机はここ使って。」
電話しか置かれていないデスクに案内される。
「もう少ししたら班長の久堂が戻ってくるからちょっとここで待ってて。」
新しいデスクに荷物を置くと椅子に座り改めて回りを見る。
壁にはホワイトボードがあり、各自の行き先と帰社予定の時間が書いてある。
そのホワイトボードの一番下に自分の名前を見つけた。
(いよいよ社会人なんだっ!)
新社会人として改めて実感が湧いてきた。
「ただいまぁ~。」
「おう、お疲れさん。」
「お疲れ様です。」
内勤の人達が声を掛ける。
咄嗟に振り向くとスーツ姿の男性が大き目のカバンを持って立っていた。
美咲を見るなり人懐っこい笑顔を浮かべた。
「君が今日から入った新入社員?」
「はいっ!如月美咲です。宜しくお願いします。」
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