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第161回『上着 クリーニング 泣き虫』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第161回『上着 クリーニング 泣き虫』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は58分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=MXDiu5ARJcg
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
その殺し屋は泣き虫だった。
殺し屋としての腕は一流だった。
豊富な殺害方法、冷静かつ柔軟な判断力、アスリートや格闘家なみの身体能力、依頼人への義理、そしてそれらに裏付けられた依頼内容の完璧な履行。
表向きは父から受け継いださびれた駄菓子屋の主人をやっていた。
その偽装をより確かなものにするためにも男は地元の行事や自治会にも積極的に参加して、地域の住民の一人として良識のある市民を演じていた。
しかし彼の流す涙は本物だった。
彼はうれしい時も悲しい時も、心が揺さぶられたときはいつだってすぐに泣いた。
みんなで協力して行った行事が無事に成功して打ち上げをしているときも、みんなが楽しくお酒を呑む中彼は感極まって泣いてしまい、一同の笑いと涙を誘った。
地域猫が仔猫を産んだときも泣いた。
そして矛盾しているように聞こえるかもしれないが、彼をターゲットを殺すときもいつも泣いていた。
殺す理由は聞かないのがこの世界の鉄則なので、ターゲットが善人なのか悪人なのかわからない。
この仕事に疑問を持っているわけでもない。
ただただこの世界から人が一人消えてしまうことが悲しいのだ。
思えば彼は車に轢かれた猫を見たときも泣いたし、クモの巣に虫が引っかかっているのを見たときも泣いた。
ある朝彼の家のインターホンが鳴った。
警察だった。
一連の殺人の重要参考人として彼の名が挙がったのだ。
男が警察に連れられて家から出てきたとき、周りには地域の住民が囲っていた。
みな彼が警察に連れていかれることに納得が行かない様子だった。
困った警察は事情を説明した。
調べによると彼は上着をクリーニングに出す回数が多いのだ。
それは犯行時についた血や匂いを完全に取り除くためなのではないかという疑いを警察は持った。
それを聞いたとき、住民たちは一斉に大笑いをした。
「そんな理由で殺人を疑われるなんて。」
「その人はね、泣き虫なんだよ。夕焼けを見ても泣いちゃうぐらいにね。」
「だからクリーニングだって、涙で濡れた服を出せば回数だって多くなるさ。」
途端に辺りは警察への非難の嵐となった。
ひるんでいる警察を見て住民はここぞとばかりにさらにたたみかけた。
「その人はね、泣き虫なんだよ。星空を見ても泣いちゃうぐらいにね。」
「だから古着の資源ごみだって、涙で濡れた服を捨てれば量だって多くなるさ。」
それを聞いて警察は目を光らせた。
「よし、彼がゴミに出した服を調べよう。」
男は泣いた。
~・~・~・~・~
~感想~
泣き虫で子供の話にするのはいやだなと思ってので、真逆に考えて殺し屋の話にしました。
オチがあまり決まらないまま書き始め、しかも終盤になってクリーニングをコインランドリーの類と勘違いしていたことに気付き、オチの修正に苦労しました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第161回『上着 クリーニング 泣き虫』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は58分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=MXDiu5ARJcg
↓使用させていただいたサイト↓
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~・~・~・~・~
その殺し屋は泣き虫だった。
殺し屋としての腕は一流だった。
豊富な殺害方法、冷静かつ柔軟な判断力、アスリートや格闘家なみの身体能力、依頼人への義理、そしてそれらに裏付けられた依頼内容の完璧な履行。
表向きは父から受け継いださびれた駄菓子屋の主人をやっていた。
その偽装をより確かなものにするためにも男は地元の行事や自治会にも積極的に参加して、地域の住民の一人として良識のある市民を演じていた。
しかし彼の流す涙は本物だった。
彼はうれしい時も悲しい時も、心が揺さぶられたときはいつだってすぐに泣いた。
みんなで協力して行った行事が無事に成功して打ち上げをしているときも、みんなが楽しくお酒を呑む中彼は感極まって泣いてしまい、一同の笑いと涙を誘った。
地域猫が仔猫を産んだときも泣いた。
そして矛盾しているように聞こえるかもしれないが、彼をターゲットを殺すときもいつも泣いていた。
殺す理由は聞かないのがこの世界の鉄則なので、ターゲットが善人なのか悪人なのかわからない。
この仕事に疑問を持っているわけでもない。
ただただこの世界から人が一人消えてしまうことが悲しいのだ。
思えば彼は車に轢かれた猫を見たときも泣いたし、クモの巣に虫が引っかかっているのを見たときも泣いた。
ある朝彼の家のインターホンが鳴った。
警察だった。
一連の殺人の重要参考人として彼の名が挙がったのだ。
男が警察に連れられて家から出てきたとき、周りには地域の住民が囲っていた。
みな彼が警察に連れていかれることに納得が行かない様子だった。
困った警察は事情を説明した。
調べによると彼は上着をクリーニングに出す回数が多いのだ。
それは犯行時についた血や匂いを完全に取り除くためなのではないかという疑いを警察は持った。
それを聞いたとき、住民たちは一斉に大笑いをした。
「そんな理由で殺人を疑われるなんて。」
「その人はね、泣き虫なんだよ。夕焼けを見ても泣いちゃうぐらいにね。」
「だからクリーニングだって、涙で濡れた服を出せば回数だって多くなるさ。」
途端に辺りは警察への非難の嵐となった。
ひるんでいる警察を見て住民はここぞとばかりにさらにたたみかけた。
「その人はね、泣き虫なんだよ。星空を見ても泣いちゃうぐらいにね。」
「だから古着の資源ごみだって、涙で濡れた服を捨てれば量だって多くなるさ。」
それを聞いて警察は目を光らせた。
「よし、彼がゴミに出した服を調べよう。」
男は泣いた。
~・~・~・~・~
~感想~
泣き虫で子供の話にするのはいやだなと思ってので、真逆に考えて殺し屋の話にしました。
オチがあまり決まらないまま書き始め、しかも終盤になってクリーニングをコインランドリーの類と勘違いしていたことに気付き、オチの修正に苦労しました。
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