151 / 174
第151回『社会人 渋滞 方言』
しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第151回『社会人 渋滞 方言』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約43分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=0GxfJacg2NE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
津山は肩を落としながら帰社した。
自分の机に座りパソコンに記入している姿はいかにも重々しかった。
「よう、津山。今朝俺渋滞にはまっちゃって遅刻しちまったよ。」
先輩が津山の肩を叩いて話しかけた。
おそらく自分の失敗談を話して彼を元気づけようという作戦なのだろう。
しかし津山は愛想笑いを浮かべるだけで、表情は暗いままだった。
津山は社会人になって2年目であり、営業部に所属した。
元々明るく活発な性格であり、営業にも向いているように思われた。
しかし結果はひどいものだった。
同期は少しずつ仕事を覚え契約を取ってくる中、津山の成績は毎月最下位だった。
見かねた部長は津山に声をかけた。
「苦労しているようだな。」
津山は力なくうなずいた。
「でもこんなのは一時的で誰にでもあることだ。今はちょっと歯車がかみ合わないだけで、そういう奴ほどはまればガーンと伸びる。」部長は言った。「ひょっとしてお前、方言のことで悩んでるだろう?」
これは図星だった。
津山は学生時代までずっと地元で過ごし、方言の中で暮らしてきた。
だから彼には方言が抜けなかった。
しかしいざ会社に入ってみると、配属先は東京本社であり、それも営業だった。
訪問先で営業中に言葉が通じず首をひねられることは数知れなかった。
それが繰り返されることにより、いつしか津山は方言がコンプレックスとなり、口を開くのが怖くなってしまったのだ。
「さっきも言った通り、今は少し営業の歯車がかみ合わないだけだ。そういう時期はあるんだ。方言は関係ないぞ。むしろ俺はお前の方言は長所だと思ってる。」
津山は初めて顔を上げた。
その顔には方言が長所だと初めて言われた新鮮な喜びがあった。
1週間後津山は仕事を辞めた。
2年後部長が新聞を開いていると、驚きの声を上げた。
外国語ではなく、方言専用の翻訳アプリが開発され、それが地方の活性化につながっているという。
開発した会社の社長はあの津山だった。
部下もその記事を読んでいたので話しかけた。
「部長。あのとき言った方言は長所というのはこういう意味だったんですね。」
部長は苦笑した。
「いやあ違うよ。それが会話のきっかけになったり、愛嬌になればいいなという程度のものさ。深い意味なんてなかったよ。あいつはいい営業に成長すると思ってたのに、もったいないことしちゃったかな。」
「それは放言でしたね。」
しかし部長の顔は満足げであり、部下も昔の同僚が活躍の場を見つけられたのは嬉しい様子だった。
~・~・~・~・~
~感想~
放言の抜けない新社会人とだけ決めて、話やオチも決めないまま書き始めました。
最近ネットで翻訳アプリを使っている外国人というのを見たので、そこから方言の翻訳アプリW発想したのだと思います。
放言でしたというダジャレで締めるつもりだったのですが、急遽登場した部下という人物に言わせても唐突感がありまくりなので、地の文で締めることにしました。
あと方言がまったくわからないので、主人公にしゃべらせないで話を進めるのは苦労しました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第151回『社会人 渋滞 方言』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約43分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=0GxfJacg2NE
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
津山は肩を落としながら帰社した。
自分の机に座りパソコンに記入している姿はいかにも重々しかった。
「よう、津山。今朝俺渋滞にはまっちゃって遅刻しちまったよ。」
先輩が津山の肩を叩いて話しかけた。
おそらく自分の失敗談を話して彼を元気づけようという作戦なのだろう。
しかし津山は愛想笑いを浮かべるだけで、表情は暗いままだった。
津山は社会人になって2年目であり、営業部に所属した。
元々明るく活発な性格であり、営業にも向いているように思われた。
しかし結果はひどいものだった。
同期は少しずつ仕事を覚え契約を取ってくる中、津山の成績は毎月最下位だった。
見かねた部長は津山に声をかけた。
「苦労しているようだな。」
津山は力なくうなずいた。
「でもこんなのは一時的で誰にでもあることだ。今はちょっと歯車がかみ合わないだけで、そういう奴ほどはまればガーンと伸びる。」部長は言った。「ひょっとしてお前、方言のことで悩んでるだろう?」
これは図星だった。
津山は学生時代までずっと地元で過ごし、方言の中で暮らしてきた。
だから彼には方言が抜けなかった。
しかしいざ会社に入ってみると、配属先は東京本社であり、それも営業だった。
訪問先で営業中に言葉が通じず首をひねられることは数知れなかった。
それが繰り返されることにより、いつしか津山は方言がコンプレックスとなり、口を開くのが怖くなってしまったのだ。
「さっきも言った通り、今は少し営業の歯車がかみ合わないだけだ。そういう時期はあるんだ。方言は関係ないぞ。むしろ俺はお前の方言は長所だと思ってる。」
津山は初めて顔を上げた。
その顔には方言が長所だと初めて言われた新鮮な喜びがあった。
1週間後津山は仕事を辞めた。
2年後部長が新聞を開いていると、驚きの声を上げた。
外国語ではなく、方言専用の翻訳アプリが開発され、それが地方の活性化につながっているという。
開発した会社の社長はあの津山だった。
部下もその記事を読んでいたので話しかけた。
「部長。あのとき言った方言は長所というのはこういう意味だったんですね。」
部長は苦笑した。
「いやあ違うよ。それが会話のきっかけになったり、愛嬌になればいいなという程度のものさ。深い意味なんてなかったよ。あいつはいい営業に成長すると思ってたのに、もったいないことしちゃったかな。」
「それは放言でしたね。」
しかし部長の顔は満足げであり、部下も昔の同僚が活躍の場を見つけられたのは嬉しい様子だった。
~・~・~・~・~
~感想~
放言の抜けない新社会人とだけ決めて、話やオチも決めないまま書き始めました。
最近ネットで翻訳アプリを使っている外国人というのを見たので、そこから方言の翻訳アプリW発想したのだと思います。
放言でしたというダジャレで締めるつもりだったのですが、急遽登場した部下という人物に言わせても唐突感がありまくりなので、地の文で締めることにしました。
あと方言がまったくわからないので、主人公にしゃべらせないで話を進めるのは苦労しました。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる