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第100回『カニ フルカラー 蛇腹』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第100回『カニ フルカラー 蛇腹』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約時間分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=M9LOvX6ZeHs
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「へー。上手に撮れてるねー。」
会社の後輩から、休日に行ったキャンプの写真を見せてもらっていた。
山を覆う森の緑、キラキラとまぶしい川面の光、岩の上を歩く小さなサワガニ、闇夜に揺らめく焚火、そしてその中で自然を満喫している後輩とその彼女。
「上手って適当にカメラまかせで撮っただけですよ。」
「デジタル一眼?」
「スマホっすよ。ていうか聞きますね、カメラのこと。」
後輩はキャンプについて聞いてほしいようだったが、それも当然だ。
彼はキャンプを趣味にしていて、キャンプの極意とか次はどこへ行くつもりだとかを頻繁に話しているからだ。
「ああ、ごめんごめん。もちろんキャンプも楽しそうだね。こんないいとこ行ったんだ?」
「いいですよ。先輩、カメラが趣味でしたもんね。」
そのあと後輩はキャンプの話を昼休みいっぱいに話した。
その口ぶりは本当に楽しそうだったので、私は思わずつぶやいた。
「私も今度の休みに家族を連れて行ってみようかなあ。」
すると後輩は目を輝かせて身を乗り出してきた。
「いいじゃないですか。行った方がいいですよ。絶対楽しいから。」
次の日には後輩は初心者でも楽しみやすいキャンプ場の候補を挙げてくれた。
また、キャンプセットをいろいろ貸してくれると言ってくれたので、お言葉に甘えてバーベキューセットだけ借りることにした。
「おはよう。」
「あ、おはようございます。」
今朝は後輩の方が先に出社していた。
「先輩、声、ちょっとお疲れですか?」
「あれ、そう聞こえる? 昨日キャンプに行ったからかな?」
「どうでした、楽しかったでしょう?」
「うん、子どもも初めてのキャンプでとても興奮してたよ。家内もいい気分転換になったみたいで、いいキャンプ場を紹介してくれて本当にありがとう。」
「写真も撮ったんですか?」
カメラが趣味の私に後輩はごく当然の話を切り出してきてくれた。
本当はキャンプそのものの話をしたいのに、私に気を遣ってくれたのは間違いない。
私は申し訳なく思いながら、カバンから取り出したのは写真の束だった。
プリントされてあったというのが予想外だったらしく、写真はモニターで見るという習慣が根付いている後輩は驚いていた。
さらに後輩を驚かせたのは、その写真が全て白黒だったということだ。
「あー、先輩、こういう写真が好きだったんですか。かっこいいっすねー。」
後輩は手に取って写真を一枚一枚まじまじと見ていた。
私が持っているのは祖父から譲ってもらった蛇腹式の古いカメラだった。
現代のカメラと比べたらピントは甘く、思ったような構図も取れない、不便きわまりないものだとはわかっている。
しかしこれにモノクロフィルムを入れて撮ると‘とても味わい深い写真が撮れて、私はそれがたまらなく好きだった。
「うん。でも家族には不評だった。せっかくのキャンプに来たのに、モノクロじゃ色がわからないじゃんって。」
私は頭を掻いた。
妻に言われて義務感のようにスマホで思い出の写真を撮り、これらはその合間合間に撮ったものだったからだ。
すると後輩は写真を机に広げて指を指した。
「なに言ってんすか。これ、フルカラーじゃないっすか。」
そんなはずはないと思って写真をのぞきこむと、後輩が指を指していたのはどれも私の家族だった。
「ほら、満面の喜色ですよ。」
~・~・~・~・~
~感想~
喜色満面というオチは比較的早く思いついたのですが、そこに向かってどう描けばいいか悩みました。
具体的には誰が、誰に、どういう流れで言うか、です。
結果的に、キャンプの描写はまるまる削って会社の二人だけで話が進むという構成にしました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第100回『カニ フルカラー 蛇腹』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約時間分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=M9LOvX6ZeHs
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「へー。上手に撮れてるねー。」
会社の後輩から、休日に行ったキャンプの写真を見せてもらっていた。
山を覆う森の緑、キラキラとまぶしい川面の光、岩の上を歩く小さなサワガニ、闇夜に揺らめく焚火、そしてその中で自然を満喫している後輩とその彼女。
「上手って適当にカメラまかせで撮っただけですよ。」
「デジタル一眼?」
「スマホっすよ。ていうか聞きますね、カメラのこと。」
後輩はキャンプについて聞いてほしいようだったが、それも当然だ。
彼はキャンプを趣味にしていて、キャンプの極意とか次はどこへ行くつもりだとかを頻繁に話しているからだ。
「ああ、ごめんごめん。もちろんキャンプも楽しそうだね。こんないいとこ行ったんだ?」
「いいですよ。先輩、カメラが趣味でしたもんね。」
そのあと後輩はキャンプの話を昼休みいっぱいに話した。
その口ぶりは本当に楽しそうだったので、私は思わずつぶやいた。
「私も今度の休みに家族を連れて行ってみようかなあ。」
すると後輩は目を輝かせて身を乗り出してきた。
「いいじゃないですか。行った方がいいですよ。絶対楽しいから。」
次の日には後輩は初心者でも楽しみやすいキャンプ場の候補を挙げてくれた。
また、キャンプセットをいろいろ貸してくれると言ってくれたので、お言葉に甘えてバーベキューセットだけ借りることにした。
「おはよう。」
「あ、おはようございます。」
今朝は後輩の方が先に出社していた。
「先輩、声、ちょっとお疲れですか?」
「あれ、そう聞こえる? 昨日キャンプに行ったからかな?」
「どうでした、楽しかったでしょう?」
「うん、子どもも初めてのキャンプでとても興奮してたよ。家内もいい気分転換になったみたいで、いいキャンプ場を紹介してくれて本当にありがとう。」
「写真も撮ったんですか?」
カメラが趣味の私に後輩はごく当然の話を切り出してきてくれた。
本当はキャンプそのものの話をしたいのに、私に気を遣ってくれたのは間違いない。
私は申し訳なく思いながら、カバンから取り出したのは写真の束だった。
プリントされてあったというのが予想外だったらしく、写真はモニターで見るという習慣が根付いている後輩は驚いていた。
さらに後輩を驚かせたのは、その写真が全て白黒だったということだ。
「あー、先輩、こういう写真が好きだったんですか。かっこいいっすねー。」
後輩は手に取って写真を一枚一枚まじまじと見ていた。
私が持っているのは祖父から譲ってもらった蛇腹式の古いカメラだった。
現代のカメラと比べたらピントは甘く、思ったような構図も取れない、不便きわまりないものだとはわかっている。
しかしこれにモノクロフィルムを入れて撮ると‘とても味わい深い写真が撮れて、私はそれがたまらなく好きだった。
「うん。でも家族には不評だった。せっかくのキャンプに来たのに、モノクロじゃ色がわからないじゃんって。」
私は頭を掻いた。
妻に言われて義務感のようにスマホで思い出の写真を撮り、これらはその合間合間に撮ったものだったからだ。
すると後輩は写真を机に広げて指を指した。
「なに言ってんすか。これ、フルカラーじゃないっすか。」
そんなはずはないと思って写真をのぞきこむと、後輩が指を指していたのはどれも私の家族だった。
「ほら、満面の喜色ですよ。」
~・~・~・~・~
~感想~
喜色満面というオチは比較的早く思いついたのですが、そこに向かってどう描けばいいか悩みました。
具体的には誰が、誰に、どういう流れで言うか、です。
結果的に、キャンプの描写はまるまる削って会社の二人だけで話が進むという構成にしました。
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