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第94回『びっくり箱 ベストアルバム 過半数』

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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第94回『びっくり箱 ベストアルバム 過半数』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間6分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=a8zRKgVlfOo

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

私は机に座り、一枚のブックレットとにらめっこをしながら考え込んでいた。
そのブックレットとはミセス・ガールというロックバンドのもので、世間的には大ヒットしているわけではないがディスコグラフィーを見る限りその活動は10年以上にも及ぶ。
私はこのバンドのことを前々から気にはなっていたが、彼らのアルバムを一枚も聴いたことがなかった。
この度が発売されたので試しに購入したところ、収録された曲はどれも良いもので私はこのCDを毎日延々と聴くほどドハマリした。
収録された20曲全てが最高で、捨て曲なんて一つもなかった。
ヘッドホンを付けるたびに今日はどの曲を聴こうかとワクワクした。
だから、このバンドの曲をもっと聴きたいと思うのは必然の流れだった。
に付属していたブックレットにはこのバンドのリリース情報などが掲載されていた。

彼らは通算10枚のアルバムを出していた。
しかし私のお小遣いでは全てを買うどころか、一枚を買うのがやっとだ。
となると、問題はどれを買うかであr、うひゃひゃひゃひゃ。
手元のブックレットとお財布に気を取られているうちにいつのまにか飼い犬のシロ助が机の下にもぐりこんでいて、私の足をなめだした。
「こらシロ助、いたずらしちゃだめでしょ。」
私はふさふさの胴体を持ち上げ、シロ助を隅にやった。
こちらは少ないお小遣いの使い道というきわめて慎重かつ繊細な判断が要求される作業を行っているのだ。
犬にその思考を邪魔されるわけにはいかない。

どのアルバムを買うか、一つヒントになりそうな事柄はあった。
の歌詞カードにはこの曲がどのアルバムに収録されていたものなのかという情報が書かれてある。
それをざっと眺めてみると驚くべきことに気付いた。
なんと収録曲20曲のうち11曲が、一枚のアルバムからのものなのである。
そして残りのアルバムからは1曲ずつピックアップされていた。
つまりが一枚のアルバムからなのである。
私は悩んだ。
に1曲しか選ばれないということは、他のアルバムは駄作ということなのだろうか。
だとすれば買うのは11曲も選ばれたアルバムがよさそうである。
しかしこのアルバムに収録されている知らない曲は残り3曲しかない。
たった3曲のために3000円も支払うのは、うっひゃっひゃっひゃっひゃっ。
まただ。
またシロ助に足をなめられた。
こいつには勉強しているときも漫画を読んでいるときも、いつも邪魔されてきた。
さて、アルバムの話に戻ろう。
残る9枚のアルバムはには1曲しか選曲されなかったものばかり。
それぞれのアルバムには本当に1曲しかピックアップするべき曲がなかったのだろうか。
これらを買うのはなんだかを開けるような気分だ。
それも9枚すべてが同じ確率で。

私はもう少し購入のヒントが欲しいと思い、それぞれに収録された曲名のチェックを始めた。
別に曲名を見たところでそれがいい曲かどうかの判断なんて全くできないのだが、私には少しでも判断の材料が欲しかったのだ。
デスクライトの下で私は細かい文字を追い、そのタイトルからどんな曲なのか1曲ずつ想像していっ、うひゃひゃ。
またシロ助がなめに来た。
再びシロ助を抱えようとしたときに、ふと思った。
どうせ曲名を見たところでそのアルバムの良否なんてわからないのだ。
今までの経験から言ってジャケ買いもあてにはならなかった。
ならば、ここは一つさんざんかわいがってきたシロ助を信じてもよいのではないだろうか。
買うのはシロ助がなめてきたときに私が見ていたアルバム、つまりミセス・ガール5番目のアルバム、『ツー・ガール、スリー・ガール』だ。
私はお小遣いを握りしめレコードショップへと走った。

結果は大正解である。
いつも私や家族の足にまとわりついてくるばかりでなかなかおもちゃで遊ぼうとしないシロ助も、このアルバムを投げるとしっぽを振って取ってくるのでとてもいい運動になっている。
買ってまだ1週間も経ってないのに盤面は牙の跡とよだれでいっぱいだ。
私のほほの涙の跡はもう消えた。

~・~・~・~・~

~感想~
最初にトイレに行っていたので書き始めるまで時間がかかってしまいました。

昨日のお題の歌詞カードがまだ頭に残っていたので、ベストアルバムは素直な使い方をしようと思いました。
悩んだ末買ったアルバムが駄作という流れを決めた後は、フリスビーのオチにするためにどう犬をからませようかと考えた末、悩んでいる最中ちょくちょく犬に足をなめられるという構成にしました。

びっくり箱の使い方は、これでは意味が違うと思うのでまずかったと思ってます。
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