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第45回『人気投票 流行語大賞 心置きなく』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第45回『人気投票 流行語大賞 心置きなく』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間4分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=kM1F7R5YqJo
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
私と妻は固唾を飲んでテレビのニュース番組を見守っていた。
なぜならば今日は流行語大賞にノミネートされた言葉の発表日だからである。
私も妻もスマホを片手に今か今かと待っている。
別に毎年流行語の発表を楽しみにしているわけではない。
むしろ私も妻も流行り廃りを冷めた目で見ていた。
いわゆる人気投票では勝ち馬には乗りたくないひねくれものなのである。
そこで先日私と妻はある賭けをすることにした。
自分のsnsをノミネートされた語で検索してみて、検索にヒットした回数が少なかった方がより流行にかぶれていないということで勝ちというルールだ。
ノミネートされるのは30語。
今年一年分30語すべてを検索する。
むろんこんなのはただの遊びだ。
買っても私はビールを、妻はデパ地下のスイーツを食べられるだけだ。
とは言っても安月給の身にとってビールが飲める機会は貴重だ。
私は絶対に勝ちたいと思っていた。
「続いては流行語大賞のニュースです。」
来た!
アナウンサーがそう読むと画面にノミネートされた語の一覧が表示された。
お互いに画面を写真に撮ると、上から順番に一斉に検索を始めた。
最初の語はスポーツ関連の言葉だった。
これは会社の同僚と話したことがあるのでヒットしてしまったが、次のテレビドラマの名ゼリフは0件だった。
これはむしろ妻の方が打っているだろう。
現に妻は頭を抱えて悔しがっていた。
続いての流行語は食べ物で、以前妻が食べたいと言っていたからこれも妻は何度となく打っているはずである。
そもそも私は会社以外ではあまりsnsをやらないのだ。
このまま行けば勝てそうだ──私の頭の中にはすでにコップに入れられたビールが白い泡を立てていた。
結果発表である。
「僕は12回だったよ。君は?」
妻はうなだれていた。
やはり私の勝ちのようだ。
「……。271回。」
「に、にひゃくななじゅうっ? そんなに!?」
私は思わず声を裏返らせて繰り返してしまった。
なぜ妻はそんなに流行語を打ってしまったのだろう。
視聴していたドラマのセリフがあったから?
流行った食べ物を何度もsnsに上げたから?
しかしその2つだけで200回以上も打つとは考えにくい。
私は改めて今年一年の重大ニュースを思い出しながらノミネートされた30語の一覧を見返した。
そういえば今年は大物政治家の浮気が報道されて一時期はワイドショーで毎日のようにウワキという言葉が踊り、今年のノミネートの中にもウワキが入っていた。
だが妻は普段あまり政治の話はしない人だ。
面白おかしくsnsで話題にしていたのか?
それとも……。
妻はゆっくりと立ち上がり、「あ~、私の負けだね~。今ビール持ってくるね~。」と、感情のこもってない声とともにふらふらと台所に向かった。
今私の前にはビールがある。
さきほど思い描いたままのビールだ。
コップの中で金色に輝き、入れたばかりだということをアピールするかのようにしゅわしゅわと音を立てている。
だが私のさらに前に座っている妻は目が泳ぎ、冬だというのに汗をだらだらと流していた。
ビールは私の大好物だ。
だがどうしよう。
心置きなく飲めない。
~・~・~・~・~
~感想~
流行語大賞がどうも年末の特定の賞をいうみたいでなんだか使いづらかったです。
オチは当初、夫が俺の中ではお前が流行っていて廃れることなんてないぜと言うものだったんですが、途中で思い直しブラックジョークにしました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第45回『人気投票 流行語大賞 心置きなく』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間4分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=kM1F7R5YqJo
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
私と妻は固唾を飲んでテレビのニュース番組を見守っていた。
なぜならば今日は流行語大賞にノミネートされた言葉の発表日だからである。
私も妻もスマホを片手に今か今かと待っている。
別に毎年流行語の発表を楽しみにしているわけではない。
むしろ私も妻も流行り廃りを冷めた目で見ていた。
いわゆる人気投票では勝ち馬には乗りたくないひねくれものなのである。
そこで先日私と妻はある賭けをすることにした。
自分のsnsをノミネートされた語で検索してみて、検索にヒットした回数が少なかった方がより流行にかぶれていないということで勝ちというルールだ。
ノミネートされるのは30語。
今年一年分30語すべてを検索する。
むろんこんなのはただの遊びだ。
買っても私はビールを、妻はデパ地下のスイーツを食べられるだけだ。
とは言っても安月給の身にとってビールが飲める機会は貴重だ。
私は絶対に勝ちたいと思っていた。
「続いては流行語大賞のニュースです。」
来た!
アナウンサーがそう読むと画面にノミネートされた語の一覧が表示された。
お互いに画面を写真に撮ると、上から順番に一斉に検索を始めた。
最初の語はスポーツ関連の言葉だった。
これは会社の同僚と話したことがあるのでヒットしてしまったが、次のテレビドラマの名ゼリフは0件だった。
これはむしろ妻の方が打っているだろう。
現に妻は頭を抱えて悔しがっていた。
続いての流行語は食べ物で、以前妻が食べたいと言っていたからこれも妻は何度となく打っているはずである。
そもそも私は会社以外ではあまりsnsをやらないのだ。
このまま行けば勝てそうだ──私の頭の中にはすでにコップに入れられたビールが白い泡を立てていた。
結果発表である。
「僕は12回だったよ。君は?」
妻はうなだれていた。
やはり私の勝ちのようだ。
「……。271回。」
「に、にひゃくななじゅうっ? そんなに!?」
私は思わず声を裏返らせて繰り返してしまった。
なぜ妻はそんなに流行語を打ってしまったのだろう。
視聴していたドラマのセリフがあったから?
流行った食べ物を何度もsnsに上げたから?
しかしその2つだけで200回以上も打つとは考えにくい。
私は改めて今年一年の重大ニュースを思い出しながらノミネートされた30語の一覧を見返した。
そういえば今年は大物政治家の浮気が報道されて一時期はワイドショーで毎日のようにウワキという言葉が踊り、今年のノミネートの中にもウワキが入っていた。
だが妻は普段あまり政治の話はしない人だ。
面白おかしくsnsで話題にしていたのか?
それとも……。
妻はゆっくりと立ち上がり、「あ~、私の負けだね~。今ビール持ってくるね~。」と、感情のこもってない声とともにふらふらと台所に向かった。
今私の前にはビールがある。
さきほど思い描いたままのビールだ。
コップの中で金色に輝き、入れたばかりだということをアピールするかのようにしゅわしゅわと音を立てている。
だが私のさらに前に座っている妻は目が泳ぎ、冬だというのに汗をだらだらと流していた。
ビールは私の大好物だ。
だがどうしよう。
心置きなく飲めない。
~・~・~・~・~
~感想~
流行語大賞がどうも年末の特定の賞をいうみたいでなんだか使いづらかったです。
オチは当初、夫が俺の中ではお前が流行っていて廃れることなんてないぜと言うものだったんですが、途中で思い直しブラックジョークにしました。
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