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第39回『天使のキス 気体 グラス』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第39回『天使のキス 気体 グラス』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間7分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=GcxgQ5zyp7Q
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「天使のキス? なにこれ。」
お風呂から出てくると、テーブルに見慣れないお酒の缶があった。
台所にいる妻から何か言った声がしたが、油を揚げる音で聞き取れなかった。
表面に付いた水滴をぬぐいながらラベルを見ると、それがカクテルだとわかった。
おしゃれなレストランに行くとメニューに天使の~だとか南国からやってきた~というようなネーミングの料理があったりするから、これもその一種だろう。
こういうものは概して名前に意味はないことはわかっていた。
別にそれがおいしくないとは思わない。
ただネーミングからイメージする味に近いかというとそうでもなく、ごく普通の料理であることが大半だ。
パッケージは若い女性をターゲットにしたのか文字をピンクであしらったりネオンのようなハートマークをつけたりと全体的にかわいらしくデザインされていたが、キスをする天使の絵はどこにもなかった。
絵によって味に先入観を持ってほしくないというメーカーの気持ちの表れであって、これも結局名前のわりに普通のカクテルなのだろうと思った。
すると妻が天ぷらを乗せた大皿を持ってきた。
「テレビでやってたけど、それ、油っこいものとすごく合うみたいよ。」
今日が天ぷらだから買ってきたのかこれを買ったから天ぷらにしたのかわからなかったが、僕はとりあえず天ぷらを一口食べた。
口の中で揚げたての天ぷらと格闘しながら缶のフタを開けると、プシュッという音とともに気体が抜け甘いにおいが広がった。
こんな甘そうなカクテルが揚げ物に本当に合うのだろうかと思いながら、カクテルをグラスへと注いだ。
グラスはみるみるうちに薄い桃色を帯び、無数の気泡がシュワシュワと音を立てた。
天使のキスというカクテルを鑑賞する時間がもう少し欲しいかのように僕はもう一口天ぷらを食べた。
おいしさをかみしめるたびにやはり天ぷらには日本酒の方がいいんじゃないかと思ったが、妻がせっかく買ってきてくれたお酒にぜいたくは言ってられない。
お箸を置くと、僕は天使のキスを飲んでみた。
「!」
結論から言おう。
衝撃的なおいしさだった。
口に含むとアルコールが油っぽさを洗い去りさわやかな甘さとやさしい芳香が舌の上で広がった。
脂っこいものとよく合うという宣伝文句に嘘はなかった。
よく合うどころか揚げ物の味も大いに引き立ててくれるようだ。
たった一口でなんという多幸感を与えてくれるのだろう。
僕は自分の体がゆっくりと舞い上がり天へと召される幻覚を見た。
体中の力が抜け、心は赤ん坊のように無になっていく。
視界は次第に白く靄がかかっていき、辺りには鐘の音が響き渡る。
空からは無垢な笑い声とともに天使が次々と下りてきて僕の両腕をつかんだ。
このまま俺は死ぬのか──。
ところが天使は僕の体をつかみそこねた。
正確に言うとつかむための腕がなかった。
なぜなら天使のキスを飲んで昇天する僕を迎えに来てくれた天使は先ほど天ぷらにして食べたキスだったからだ。
命拾いしたぜ。
~・~・~・~・~
~感想~
天使のキスを商品名として無理やり消化させたと見せかけてもう一回、それもしょうもない形で使ってみる、というのをやってみました。
キスの天使に召されるオチをどう描けばいいのかわからずここで時間を食ってしまいました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第39回『天使のキス 気体 グラス』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間7分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=GcxgQ5zyp7Q
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「天使のキス? なにこれ。」
お風呂から出てくると、テーブルに見慣れないお酒の缶があった。
台所にいる妻から何か言った声がしたが、油を揚げる音で聞き取れなかった。
表面に付いた水滴をぬぐいながらラベルを見ると、それがカクテルだとわかった。
おしゃれなレストランに行くとメニューに天使の~だとか南国からやってきた~というようなネーミングの料理があったりするから、これもその一種だろう。
こういうものは概して名前に意味はないことはわかっていた。
別にそれがおいしくないとは思わない。
ただネーミングからイメージする味に近いかというとそうでもなく、ごく普通の料理であることが大半だ。
パッケージは若い女性をターゲットにしたのか文字をピンクであしらったりネオンのようなハートマークをつけたりと全体的にかわいらしくデザインされていたが、キスをする天使の絵はどこにもなかった。
絵によって味に先入観を持ってほしくないというメーカーの気持ちの表れであって、これも結局名前のわりに普通のカクテルなのだろうと思った。
すると妻が天ぷらを乗せた大皿を持ってきた。
「テレビでやってたけど、それ、油っこいものとすごく合うみたいよ。」
今日が天ぷらだから買ってきたのかこれを買ったから天ぷらにしたのかわからなかったが、僕はとりあえず天ぷらを一口食べた。
口の中で揚げたての天ぷらと格闘しながら缶のフタを開けると、プシュッという音とともに気体が抜け甘いにおいが広がった。
こんな甘そうなカクテルが揚げ物に本当に合うのだろうかと思いながら、カクテルをグラスへと注いだ。
グラスはみるみるうちに薄い桃色を帯び、無数の気泡がシュワシュワと音を立てた。
天使のキスというカクテルを鑑賞する時間がもう少し欲しいかのように僕はもう一口天ぷらを食べた。
おいしさをかみしめるたびにやはり天ぷらには日本酒の方がいいんじゃないかと思ったが、妻がせっかく買ってきてくれたお酒にぜいたくは言ってられない。
お箸を置くと、僕は天使のキスを飲んでみた。
「!」
結論から言おう。
衝撃的なおいしさだった。
口に含むとアルコールが油っぽさを洗い去りさわやかな甘さとやさしい芳香が舌の上で広がった。
脂っこいものとよく合うという宣伝文句に嘘はなかった。
よく合うどころか揚げ物の味も大いに引き立ててくれるようだ。
たった一口でなんという多幸感を与えてくれるのだろう。
僕は自分の体がゆっくりと舞い上がり天へと召される幻覚を見た。
体中の力が抜け、心は赤ん坊のように無になっていく。
視界は次第に白く靄がかかっていき、辺りには鐘の音が響き渡る。
空からは無垢な笑い声とともに天使が次々と下りてきて僕の両腕をつかんだ。
このまま俺は死ぬのか──。
ところが天使は僕の体をつかみそこねた。
正確に言うとつかむための腕がなかった。
なぜなら天使のキスを飲んで昇天する僕を迎えに来てくれた天使は先ほど天ぷらにして食べたキスだったからだ。
命拾いしたぜ。
~・~・~・~・~
~感想~
天使のキスを商品名として無理やり消化させたと見せかけてもう一回、それもしょうもない形で使ってみる、というのをやってみました。
キスの天使に召されるオチをどう描けばいいのかわからずここで時間を食ってしまいました。
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