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来たかった場所
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俺の承諾を受け、小野さんは検索を掛けていた画面を再び猫カフェへの順路へと変更していく。
隣を歩く俺は、とても嬉しそうに画面を見る姿を横で見つつ行きたがってる店の経路図を横目でチラリと見た。
「でもよ」
「はい?」
「あんた、良いのか、そんな格好で」
「と、言うと??」
「なんて言うか、制服だし毛とか付いて取れなくて困ったりしないのか?」
問いに画面からこちらへ向け、首を横に振る。
「付いても大丈夫です。持ってますから」
小野さんは一旦立ち止まると、俺にスマホを手渡し、トートバックの中を漁り出した。
そして、ゆっくりと中から出てきた物に俺はビックリした。
「なんで、そんなもん持ってるんだよ!」
取り出したのは服に付いた毛を取る為の毛足が短めの白いブラシだった。
「だって学校で見つけたらすぐ取れるようにしないと……」
「そうかもしれんが、用意良すぎんだろ。……って事は毎日持ち歩いてんのかよ」
「はい」
自身にとっては普通の事だと言わんばかりに答え、見せたブラシをまたトートバックへと仕舞っていく。
「ありがとうございます」
お礼と共に俺に手を差し出し、スマホを受け取る。
「あっ、もう少しですね」
目的地の店の方向を指差し、歩く速度を少し早めていく。
俺を追い越し歩く様は、念願だった場所に少しでも早く着きたい子供のような感じにも見えた。
「いらっしゃいませ」
雑居ビルが立ち並ぶ一角の二階にある猫カフェ。
入った瞬間から猫独特の匂いがし、二重扉になった店内のドア奥には自由気ままに過ごしている様子が見えた。
茶トラや白、黒…様々な猫がウロウロしている様子に俺は店員の話そっちのけでそちらばかりを見てしまった。
「……噛まないから大丈夫ですよ」
「あっ、いや……」
赤いエプロンを付けたショートカットで俺と同年代位の女性店員との会話に小野さんはクスクスと笑い、出された用紙を記入していく。
「笑うなよ」
「ごめんなさい」
一通りの説明を受け終えると二重扉を開け、店内へと入っていく。
まだ開店して間もない時間のため、誰もおらず俺らだけの貸切状態だ。
20畳くらいの広さの店内はベージュ色のソファーとテーブルが四つ。
キャットタワーや猫と遊ぶ為の道具など置かれ自由に使って楽しめる様になっていた。
だけど、何故かいくつもの段ボール箱が無造作に転がっており俺は首を傾げた。
「ダンボールはなんでだ?」
「猫はそこに入って寝たりしますよ、狭い所が落ち着くので、多分入って……」
小野さんは転がったダンボールの一つに近づく。
「……浩二さん」
「なんだよ」
右手の人差し指をちょんちょんと突つくような仕草を見せ、俺に中を改める様に促す。
「……寝てやがる」
「ねっ」
来たかった好きな空間で好きな動物を相手にする小野さんの顔はとてもイキイキしていた。
目はキラキラと輝き、ゆっくりと猫との距離感を詰めていく。
「……本当に好きなんだな」
「はいっ」
制服姿もあいまったのだろうか。
猫の近くに膝を跪き、撫でる姿は普通に可愛く、俺は猫なんかより小野さんの仕草ばかりを見ていた。
隣を歩く俺は、とても嬉しそうに画面を見る姿を横で見つつ行きたがってる店の経路図を横目でチラリと見た。
「でもよ」
「はい?」
「あんた、良いのか、そんな格好で」
「と、言うと??」
「なんて言うか、制服だし毛とか付いて取れなくて困ったりしないのか?」
問いに画面からこちらへ向け、首を横に振る。
「付いても大丈夫です。持ってますから」
小野さんは一旦立ち止まると、俺にスマホを手渡し、トートバックの中を漁り出した。
そして、ゆっくりと中から出てきた物に俺はビックリした。
「なんで、そんなもん持ってるんだよ!」
取り出したのは服に付いた毛を取る為の毛足が短めの白いブラシだった。
「だって学校で見つけたらすぐ取れるようにしないと……」
「そうかもしれんが、用意良すぎんだろ。……って事は毎日持ち歩いてんのかよ」
「はい」
自身にとっては普通の事だと言わんばかりに答え、見せたブラシをまたトートバックへと仕舞っていく。
「ありがとうございます」
お礼と共に俺に手を差し出し、スマホを受け取る。
「あっ、もう少しですね」
目的地の店の方向を指差し、歩く速度を少し早めていく。
俺を追い越し歩く様は、念願だった場所に少しでも早く着きたい子供のような感じにも見えた。
「いらっしゃいませ」
雑居ビルが立ち並ぶ一角の二階にある猫カフェ。
入った瞬間から猫独特の匂いがし、二重扉になった店内のドア奥には自由気ままに過ごしている様子が見えた。
茶トラや白、黒…様々な猫がウロウロしている様子に俺は店員の話そっちのけでそちらばかりを見てしまった。
「……噛まないから大丈夫ですよ」
「あっ、いや……」
赤いエプロンを付けたショートカットで俺と同年代位の女性店員との会話に小野さんはクスクスと笑い、出された用紙を記入していく。
「笑うなよ」
「ごめんなさい」
一通りの説明を受け終えると二重扉を開け、店内へと入っていく。
まだ開店して間もない時間のため、誰もおらず俺らだけの貸切状態だ。
20畳くらいの広さの店内はベージュ色のソファーとテーブルが四つ。
キャットタワーや猫と遊ぶ為の道具など置かれ自由に使って楽しめる様になっていた。
だけど、何故かいくつもの段ボール箱が無造作に転がっており俺は首を傾げた。
「ダンボールはなんでだ?」
「猫はそこに入って寝たりしますよ、狭い所が落ち着くので、多分入って……」
小野さんは転がったダンボールの一つに近づく。
「……浩二さん」
「なんだよ」
右手の人差し指をちょんちょんと突つくような仕草を見せ、俺に中を改める様に促す。
「……寝てやがる」
「ねっ」
来たかった好きな空間で好きな動物を相手にする小野さんの顔はとてもイキイキしていた。
目はキラキラと輝き、ゆっくりと猫との距離感を詰めていく。
「……本当に好きなんだな」
「はいっ」
制服姿もあいまったのだろうか。
猫の近くに膝を跪き、撫でる姿は普通に可愛く、俺は猫なんかより小野さんの仕草ばかりを見ていた。
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