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波乱含みの修学旅行 ⑰
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私は部屋を出た。
コンコンッ
「なんだ、な…」言葉を発する担任を前に私は自分の口の前に人差し指を置き、話さないで欲しいと意思表示をした。
そのまま担任の横を通り、部屋に入って行った。
中には先程の担任達がおり、また来た私に驚いている様子だった。
「どうした」と言う言葉に私は口を開かず、首を横に振り、ホテルに置いてあるメモ帳を取り、
「隣にいる藤原さんに聞かれたくないから黙って私の部屋に来てもらえませんか?」
と書いて担任達に見せた。
そんなメモを見せてきた私に、驚きと何かあるなと察して3人の担任は私と共に部屋を出た。
担任の部屋は5階、私の部屋は3階。
エレベーターに乗って、黙ったまま私の部屋についてきて、中に入った。
「もう話しても良いだろ、中村」とようやく話せると思った担任が口を開いた。
私の苦手な多人数対1人と言う状況だが、今の私にはそれを乗り越えないといけない問題だった。
「で、何を聞かれたくないんだ?」
「…」
でも私は黙ってしまった。それどころか、
「…っく、ひっ…、うっ…」と泣いてしまった。
担任達は顔を見合わせ、ため息をついている。
1人は頭をかきながら、もう1人はタバコに火をつけようとする素振りも見せている。
ダメだ、泣いていたら…と必死で止めようと、部屋にあるティッシュで目を抑え、呼吸を整えた。
「さっき…」と話し始める私に担任達は「あぁ」と聞く姿勢になっていった。
「さっき…なにがあったんだ」
「藤原さんから電話があって…本気でイジメると言われました…」
「な!」「あいつ、やっぱり!」と担任が口々に怒りを見せた。
私達の担任が部屋を出ようと立ち上がるのを見て、堪らず「やめて!」と声をあげた。
いま、藤原さんの下に行かれたら、大事になる。
いや、今でも大事だが、修学旅行終わって日常の生活に戻った時に、学校全体を巻き込む問題になってしまう。
それだけは避けたい。と私は担任達に懇願した。
「しかし…」と困惑している担任達。
3人はどうしたら…と私そっちのけで今後を話し合っている。
1人残された私は、言ってよかったのか…と自問自答してしまった。多分、修学旅行終わったら担任から親に話が来るのではないか、こんな話をした藤原さん以外からイジメられるのではないか…と色々考えたらまた泣いてしまった。
「中村、お前はどうしたい?」と3人が答えを出したのか私に問う。
「何を…ですか?」
「もう修学旅行辞めるか?」
修学旅行を辞める…それは高校最後の思い出が作れなくなる、いや、それより翔太君と離れるのは嫌だし、何よりいま私が帰ったら藤原さんと翔太君が2人きりになる、と考えたら首を縦に振りたくなかった。
「嫌です…最後までいたいです…」とお願いした。
はぁ…とため息をつく担任達に申し訳なさはあるが、それは譲れなかった…。
「じゃあ明日は、藤原とは行動を別にしろ。いいな。それと同じ班の奴には事情を説明するが、それも納得してくれるか?」と同意を求めてきたのを、私は首を縦に振り、了承した。
「とにかく、今は寝ろ。また何かあったらすぐ言え」といい、担任達は私達の部屋を後にした。
私は、誰もいなくなった部屋で、明日から始まる二日目に不安を残し、休む事にした。
コンコンッ
「なんだ、な…」言葉を発する担任を前に私は自分の口の前に人差し指を置き、話さないで欲しいと意思表示をした。
そのまま担任の横を通り、部屋に入って行った。
中には先程の担任達がおり、また来た私に驚いている様子だった。
「どうした」と言う言葉に私は口を開かず、首を横に振り、ホテルに置いてあるメモ帳を取り、
「隣にいる藤原さんに聞かれたくないから黙って私の部屋に来てもらえませんか?」
と書いて担任達に見せた。
そんなメモを見せてきた私に、驚きと何かあるなと察して3人の担任は私と共に部屋を出た。
担任の部屋は5階、私の部屋は3階。
エレベーターに乗って、黙ったまま私の部屋についてきて、中に入った。
「もう話しても良いだろ、中村」とようやく話せると思った担任が口を開いた。
私の苦手な多人数対1人と言う状況だが、今の私にはそれを乗り越えないといけない問題だった。
「で、何を聞かれたくないんだ?」
「…」
でも私は黙ってしまった。それどころか、
「…っく、ひっ…、うっ…」と泣いてしまった。
担任達は顔を見合わせ、ため息をついている。
1人は頭をかきながら、もう1人はタバコに火をつけようとする素振りも見せている。
ダメだ、泣いていたら…と必死で止めようと、部屋にあるティッシュで目を抑え、呼吸を整えた。
「さっき…」と話し始める私に担任達は「あぁ」と聞く姿勢になっていった。
「さっき…なにがあったんだ」
「藤原さんから電話があって…本気でイジメると言われました…」
「な!」「あいつ、やっぱり!」と担任が口々に怒りを見せた。
私達の担任が部屋を出ようと立ち上がるのを見て、堪らず「やめて!」と声をあげた。
いま、藤原さんの下に行かれたら、大事になる。
いや、今でも大事だが、修学旅行終わって日常の生活に戻った時に、学校全体を巻き込む問題になってしまう。
それだけは避けたい。と私は担任達に懇願した。
「しかし…」と困惑している担任達。
3人はどうしたら…と私そっちのけで今後を話し合っている。
1人残された私は、言ってよかったのか…と自問自答してしまった。多分、修学旅行終わったら担任から親に話が来るのではないか、こんな話をした藤原さん以外からイジメられるのではないか…と色々考えたらまた泣いてしまった。
「中村、お前はどうしたい?」と3人が答えを出したのか私に問う。
「何を…ですか?」
「もう修学旅行辞めるか?」
修学旅行を辞める…それは高校最後の思い出が作れなくなる、いや、それより翔太君と離れるのは嫌だし、何よりいま私が帰ったら藤原さんと翔太君が2人きりになる、と考えたら首を縦に振りたくなかった。
「嫌です…最後までいたいです…」とお願いした。
はぁ…とため息をつく担任達に申し訳なさはあるが、それは譲れなかった…。
「じゃあ明日は、藤原とは行動を別にしろ。いいな。それと同じ班の奴には事情を説明するが、それも納得してくれるか?」と同意を求めてきたのを、私は首を縦に振り、了承した。
「とにかく、今は寝ろ。また何かあったらすぐ言え」といい、担任達は私達の部屋を後にした。
私は、誰もいなくなった部屋で、明日から始まる二日目に不安を残し、休む事にした。
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