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波乱含みの修学旅行⑪

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ビクッ

「あ、ごめん」
「ううん、こちらこそ…」

シーンとしてしまう。
突然の事だったから思わず手を引っ込めてしまった。
繋いでも良かったのに…咄嗟の反応で避けてしまったから翔太君も、ビックリしただろうな。
それに、せっかくのチャンスだったのに自分からその機会を拒否してしまった。

「戻ろっか」
「…」
「中村さん?」
「あ、写真…送るね」
私は携帯で撮った写真を翔太君に送ろうとした。
撮った写真を見て、2人で撮れたんだと改めて実感し、こんな写真が増えたら良いなと思った。

「こんな写真、沢山集まったらいいな…」

翔太君も同じ気持ちなんだ、と知ると今邪魔されないこの時も何か残したいと思った。
「あの、何処かで写真撮りたいな…」
「もちろん!」満面の笑みで返してくれ、私達は写真が撮れそうな場所に移動した。


「ここ、良さそうだね」
辺りがライトアップされた庭園があり、近くには寺院もあり、風情があるなと分かる場所だった。
「そうだね、ここにしよう」
なんだか、急に緊張してしまう…
隣にいる翔太君と写真を撮る、昼間もしたはずなのに…。
翔太君がカメラを構えている隣でフレームに収まる、けど、なんだかぎこちない笑顔しか作れない。
そんな私を察したのか、「中村さん」と私を呼び、隣を向く。
「ぷっ、あはは、何、その顔」
「良かった、笑ってくれて」
あっ…緊張を解いてくれたんだ。

「じゃあ撮ろっか」

パシャ

また一枚、私は翔太君との思い出が増えた。
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