22 / 75
デート④
しおりを挟む
「はい、えりちゃん」
「ありがとう、あ、お金…」
「いいって~、えりちゃんからお金なんて貰えないよ。気にしない気にしない。…あれ、すずしょーは?」
「た、多分トイレだと思う」
今は佐藤君と話すより翔太君から来た2人でのご飯が気になり、それどころじゃなかった。
勢いで誘いをOKしたので、佐藤君にバレない様に振る舞うことも必要だなと心掛けた。
「ところで、俺がいない間、すずしょーから言い寄られてない?もしあったらしばかないといかんしね」
ビクッと体が反応してしまった。
前回の連絡先の件といい、変に反応すると勘が鋭いから今のはマズいかも…と思った。
恐る恐る目線を向けると、目が合う。
「えりちゃん、まさか…」
「しゃっくりだよ、急に出たからビクッてなっちゃった…」
「…」
ダメだ…バレてそう…。こんな状態で翔太君が来ないで欲しいと思ってしまう。
そこにタイミング悪く翔太君がやってくる。
佐藤君は睨む様に翔太君を見るし、翔太君はそれを不思議そうに首を傾げ、私はお互いをキョロキョロと目を動かしながら様子を伺う。
ショーなんかよりこの空気をなんとかしたいと切に願ってしまう。
何か変えるきっかけが欲しい…。
ーー以上でイルカショーを終わりますーー
ーーありがとうございました!!ーー
周りがゾロゾロとショーの会場から出て行く。
ここしかない!と思い
「あ…終わっちゃったね、行こう。トイレも行ってもいい…?」
「どうぞ」翔太君が答えてくれたけど、いま2人にして良かったのか不安だった。
何事もなければ良いけど、と思い2人から離れた。
トイレから戻って辺りを見渡しても2人は居なかった。
まさか…まだショーの場所に…?
急いで戻ると2人だけがまだ残っていた。
「ごめん、遅くて…なんで、まだ残ってるの?」
「…」
「…」
どちらも喋らない、気まず過ぎる…。やっぱり2人でご飯行くのがバレてるんだなと思い、謝ろうとしたら
「なぁ、すずしょー、お前、えりちゃんとメールしてるだろ?」
「いいや、してないよ、何故?連絡先渡したのは確かだけど、僕は中村さんの番号は知らないよ」
「ふ~ん。まぁ、いいや。すずしょー、今日これ終わったら付き合えよ、話がある」
「え?」思わず私が声を出してしまった。
私が反応して、どうする…これじゃあ完全にバレるじゃん。
スッと立つ2人。
それを見上げる私は、もう帰りたい気持ちになってしまった。
その後は淡々と水族館を見て回るだけで会話もそこそこ。
必死に振るが、そうだね。とか、うん。とか、そんなのばかりだった。
なんだか辛くなってきて「私、もっと色々話したいのにな…」と言うと、ようやく佐藤君が話してくれた。「じゃあ、えりちゃんも来る?飯食いに」
「えっと、3人で、って事?」
「そう」
「2人で話すんじゃないの?お邪魔じゃない?」
「いいよ、居ても」
また不穏な空気になり、その場で立ち止まってしまう。
何か話題が無いか必死に頭を巡らせると、2人が頑なに教えてくれなかったら『あれ』について聞いてみたくなった。
「ねぇ、会った時に言っていた『あれ』ってなに?」
2人は一瞬ピクッとなり、私を見る。
「…えりちゃんを口説いたり、迫らない事」
「…中村さんを口説いたり、迫らない事」
同じ答えが、息ピッタリで返ってきた。
それがなんだか、おかしくて笑ってしまった。
私の笑う姿を見たら
「笑うとヤバい、より可愛くなる…一時休戦しねぇか?すずしょー」
「そうだね、楽しませるのが僕らの使命だから」
仲直り?したのか分からないけど普通に戻ってホッとした。
私達は少し早いけど水族館を後にし、ご飯を食べに行く事にした。
「ありがとう、あ、お金…」
「いいって~、えりちゃんからお金なんて貰えないよ。気にしない気にしない。…あれ、すずしょーは?」
「た、多分トイレだと思う」
今は佐藤君と話すより翔太君から来た2人でのご飯が気になり、それどころじゃなかった。
勢いで誘いをOKしたので、佐藤君にバレない様に振る舞うことも必要だなと心掛けた。
「ところで、俺がいない間、すずしょーから言い寄られてない?もしあったらしばかないといかんしね」
ビクッと体が反応してしまった。
前回の連絡先の件といい、変に反応すると勘が鋭いから今のはマズいかも…と思った。
恐る恐る目線を向けると、目が合う。
「えりちゃん、まさか…」
「しゃっくりだよ、急に出たからビクッてなっちゃった…」
「…」
ダメだ…バレてそう…。こんな状態で翔太君が来ないで欲しいと思ってしまう。
そこにタイミング悪く翔太君がやってくる。
佐藤君は睨む様に翔太君を見るし、翔太君はそれを不思議そうに首を傾げ、私はお互いをキョロキョロと目を動かしながら様子を伺う。
ショーなんかよりこの空気をなんとかしたいと切に願ってしまう。
何か変えるきっかけが欲しい…。
ーー以上でイルカショーを終わりますーー
ーーありがとうございました!!ーー
周りがゾロゾロとショーの会場から出て行く。
ここしかない!と思い
「あ…終わっちゃったね、行こう。トイレも行ってもいい…?」
「どうぞ」翔太君が答えてくれたけど、いま2人にして良かったのか不安だった。
何事もなければ良いけど、と思い2人から離れた。
トイレから戻って辺りを見渡しても2人は居なかった。
まさか…まだショーの場所に…?
急いで戻ると2人だけがまだ残っていた。
「ごめん、遅くて…なんで、まだ残ってるの?」
「…」
「…」
どちらも喋らない、気まず過ぎる…。やっぱり2人でご飯行くのがバレてるんだなと思い、謝ろうとしたら
「なぁ、すずしょー、お前、えりちゃんとメールしてるだろ?」
「いいや、してないよ、何故?連絡先渡したのは確かだけど、僕は中村さんの番号は知らないよ」
「ふ~ん。まぁ、いいや。すずしょー、今日これ終わったら付き合えよ、話がある」
「え?」思わず私が声を出してしまった。
私が反応して、どうする…これじゃあ完全にバレるじゃん。
スッと立つ2人。
それを見上げる私は、もう帰りたい気持ちになってしまった。
その後は淡々と水族館を見て回るだけで会話もそこそこ。
必死に振るが、そうだね。とか、うん。とか、そんなのばかりだった。
なんだか辛くなってきて「私、もっと色々話したいのにな…」と言うと、ようやく佐藤君が話してくれた。「じゃあ、えりちゃんも来る?飯食いに」
「えっと、3人で、って事?」
「そう」
「2人で話すんじゃないの?お邪魔じゃない?」
「いいよ、居ても」
また不穏な空気になり、その場で立ち止まってしまう。
何か話題が無いか必死に頭を巡らせると、2人が頑なに教えてくれなかったら『あれ』について聞いてみたくなった。
「ねぇ、会った時に言っていた『あれ』ってなに?」
2人は一瞬ピクッとなり、私を見る。
「…えりちゃんを口説いたり、迫らない事」
「…中村さんを口説いたり、迫らない事」
同じ答えが、息ピッタリで返ってきた。
それがなんだか、おかしくて笑ってしまった。
私の笑う姿を見たら
「笑うとヤバい、より可愛くなる…一時休戦しねぇか?すずしょー」
「そうだね、楽しませるのが僕らの使命だから」
仲直り?したのか分からないけど普通に戻ってホッとした。
私達は少し早いけど水族館を後にし、ご飯を食べに行く事にした。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる