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命
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ふらりふらりとした足取りでこちらにやってくるジャックさんは今にも倒れそうな勢いだ。
「お前、まだおっ死んでなかったのか?」
「……離れろ」
「よくも兄貴を!?」
私に覆い被さった金髪は苦しそうに声を上げ、血を吐く。
だが、次第にその声も小さくなり、そしてガクっと絶命した。
「兄貴っ!?」
赤髪の声も虚しく絶命したのを見ると私を引き起こし再び首元にナイフを突きつけジャックさんに止まるよう声を張る。
「……いいから離れろ」
「うるせぇ、見えないのか、これが!?」
「傷つけたらどうなるか……かはっ」
寄るジャックさんだが、体は限界を迎え、口からは血を吐き苦しそうだ。
「……はっ。もうお前も長くないな」
ジャックさんの命がもう残り少ないと判断した赤髪は私を引き連れその場を離れて行こうとした。
だが、私はそれに抵抗した。
一瞬の隙をつき、首に突きつけられたナイフから逃れジャックさんの元へと駆け寄った。
「このくそ女がっ!」
怒った赤髪は駆け寄る私に近寄ると大きくナイフを振る。
「キャァ」
右上から左下へと大きな直線を描くように切り付られた。
しかし、それに耐え倒れそうなジャックさんの胸に飛び込んだ。
「……血だらけですよ」
「そんな事どうでもいいです!早く手当てを」
私に寄りかかるように体を預けるジャックさんはとうに限界を超え、今立っているのさえ危うい状態だ。
「二人まとめて死にやがれ!」
赤髪がナイフを突き刺そうと迫ってくる。
私は振り返り体を張りそれから守ろうとした。
しかし……
「なっ」
突き刺しにきた手をジャックさんは素手で掴みとる。
「くそっ、離せ!?」
何度も抜き取ろうとする赤髪に対し、ジャックさんは空いてる左手で首元を押さえつけ始めた。
「な、なに……っ」
もう立つのさえも厳しいのにグッと力をいれ落としにかかる。
「もうやめて、死んじゃう……」
「……」
「はな、……」
もう一度グッと力を込めると赤髪は声を失い、その場に落ちていった。
ドサっと音をたて落ちた赤髪は白目を向き、私達を見上げる格好をしている。
「……終わりました、よ」
そういうとジャックさんは体を預けた私からズリズリと下へと落ちていった。
「ジャックさん!?」
うつ伏す感じで倒れたジャックさんは少し笑っているような顔を見せ、『間に合った』と言う。
「もう喋らないでくださいっ」
私は刺された背中の傷から出る血を押さえようと必死にそこに手を添えた。
「汚れますよ……」
「黙っててっ!?」
(どうしよう……止まらない……)
流れる血は白いタンクトップを真っ赤に染め上げもう全身血だらけだ。
「……もう無理ですよ。あなたはここから逃げたほうが」
「ほっとけるわけないでしょ!」
「……私の事、怖いのでは?」
「目の前で死にそうな人がいて助けないなんておかしいっ!?助けるのに理由が要りますか!?」
私の言葉にジャックさんは言葉を失くし目を閉じた。
「お前、まだおっ死んでなかったのか?」
「……離れろ」
「よくも兄貴を!?」
私に覆い被さった金髪は苦しそうに声を上げ、血を吐く。
だが、次第にその声も小さくなり、そしてガクっと絶命した。
「兄貴っ!?」
赤髪の声も虚しく絶命したのを見ると私を引き起こし再び首元にナイフを突きつけジャックさんに止まるよう声を張る。
「……いいから離れろ」
「うるせぇ、見えないのか、これが!?」
「傷つけたらどうなるか……かはっ」
寄るジャックさんだが、体は限界を迎え、口からは血を吐き苦しそうだ。
「……はっ。もうお前も長くないな」
ジャックさんの命がもう残り少ないと判断した赤髪は私を引き連れその場を離れて行こうとした。
だが、私はそれに抵抗した。
一瞬の隙をつき、首に突きつけられたナイフから逃れジャックさんの元へと駆け寄った。
「このくそ女がっ!」
怒った赤髪は駆け寄る私に近寄ると大きくナイフを振る。
「キャァ」
右上から左下へと大きな直線を描くように切り付られた。
しかし、それに耐え倒れそうなジャックさんの胸に飛び込んだ。
「……血だらけですよ」
「そんな事どうでもいいです!早く手当てを」
私に寄りかかるように体を預けるジャックさんはとうに限界を超え、今立っているのさえ危うい状態だ。
「二人まとめて死にやがれ!」
赤髪がナイフを突き刺そうと迫ってくる。
私は振り返り体を張りそれから守ろうとした。
しかし……
「なっ」
突き刺しにきた手をジャックさんは素手で掴みとる。
「くそっ、離せ!?」
何度も抜き取ろうとする赤髪に対し、ジャックさんは空いてる左手で首元を押さえつけ始めた。
「な、なに……っ」
もう立つのさえも厳しいのにグッと力をいれ落としにかかる。
「もうやめて、死んじゃう……」
「……」
「はな、……」
もう一度グッと力を込めると赤髪は声を失い、その場に落ちていった。
ドサっと音をたて落ちた赤髪は白目を向き、私達を見上げる格好をしている。
「……終わりました、よ」
そういうとジャックさんは体を預けた私からズリズリと下へと落ちていった。
「ジャックさん!?」
うつ伏す感じで倒れたジャックさんは少し笑っているような顔を見せ、『間に合った』と言う。
「もう喋らないでくださいっ」
私は刺された背中の傷から出る血を押さえようと必死にそこに手を添えた。
「汚れますよ……」
「黙っててっ!?」
(どうしよう……止まらない……)
流れる血は白いタンクトップを真っ赤に染め上げもう全身血だらけだ。
「……もう無理ですよ。あなたはここから逃げたほうが」
「ほっとけるわけないでしょ!」
「……私の事、怖いのでは?」
「目の前で死にそうな人がいて助けないなんておかしいっ!?助けるのに理由が要りますか!?」
私の言葉にジャックさんは言葉を失くし目を閉じた。
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