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家を飛び出した私だったが、行く場所なんて無い。
それに街の住人には顔が割れているため街中をうろうろしていたら変な目で見られるに違いない。
だから私は街から外れた森へと歩み出した。

左腕の痛みと塗装などされてない砂利道を歩くのは辛かった。
段々と森が近づき、中からは鳥の鳴き声がする。
子供の時に森に近づくなと言われたが、今はそんな事言ってられなかった。

砂利道から草が覆う道をカサカサッと音を立てながら歩くが目的地などなく、いつしか入って来た場所すらわからなくなってしまっていた。

「……怖い」

鳥の鳴き声は更に増え、覆う木の葉が光を遮り、薄暗さを増していく。


カサ、カサ、カサ、カサッ


遠くの方で草を踏みしめながら歩く音が複数聞こえた。
その音に反応し、怖くなった私は木の影に隠れ、やり過ごそうとした。

「いやぁ、今日は大物だな。見ろよっ」

男性の声。それも一人じゃないみたいだ。

「それは俺の罠が良かったからだろう。なに一人占めしようとしてるんだ。俺にも寄越せ!」
「なんだよ。せっかく気分が良いのによ。こんな鳥なんて久しぶりだ」

どうやら狩りをして獲物を取ったみたいだが、私はその二人の姿を確認するのを躊躇った。
早く通り過ぎて欲しい……ただそれだけを願った。

そして私が隠れる木を通り過ぎていき、ホッと撫で下ろしていると、何かに気づいた声を耳にする。

「……おい、血が落ちてるぞ。何かいるんじゃないか?」
「いや、ここに罠なんて仕掛けてない」
「じゃあ、この血はなんだ」

二人は周りを注意深く見渡し始めたようで二手に分かれ辺りを捜索し始めた。

(こ、来ないで)

私はここで初めて木の影から男性達の様子を伺った。

一人は全身毛深く、金髪で白い半袖シャツに茶色のズボン。
もう一人はかなり大柄で、赤髪、黒い長袖のシャツ、黒のズボン姿だった。

毛深い男性は血の後を追ってるようで下を向きながら段々と私の方へと近寄ってきた。

「おい、ここら辺じゃないか?血がこの辺に多く落ちてる」

その声を聞き、血が落ちない様にと右手で傷口を押さえ耐えた。

「女だったらどうする……?」
「……久しく無いよな?」
「……あぁ、もしそうだったら、するしかないよな」
「ふっ、俺が先だからな」
「あぁ!?俺に決まってるだろ」
「先に見つけた方が先だ、文句は無いよな?」
「……望むところだ!」

見つかったら……犯される……。
ここにいてはダメだと思い、二人が木から目を離した隙に私は奥へと走り始めた。

私の逃げる音を聞き、二人は逃げる私の姿を捉えた。

「おい!?女だ!?」
「やったな!?」

歓喜の声を上げながら二人は私と捕まえようと走り出した。

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