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話し合いの先に

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「おい!あやか、やめるんだ!」

クロウさんの呼び止める声を無視し、私は剣先をギュッと握りしめる。

(痛い…)

指先だけでなく左手で掴んでいるため腕全体が激痛に襲われる。
ポタリと落ちた血は私のドレスに何滴も落ち、太もも辺りが赤く染まっていく。

「やめろ、離せ!」

「話すなら離します。どうしますか…?」

「ちっ…わかった。手をどかせ」

私は剣先からゆっくりと手を離した。
すぐにクロウさんが私に歩みより、馬鹿な真似を!と叱ってくる。

「あなたの過去を知るのは今しか出来ないので」

「…」

「さぁ、早く話してください!」

「いい。そこからは俺が話す」

「えっ…」

今まで聞いてるだけだったクロウさんが初めて自分の過去を話し始めた。
その様子をアランさんは剣を構えたまま聞いていた。

「いいか…シャーロットは俺の求婚を受けてくれなかった。
自分は病を抱えている。だから一緒になるべきではないと。いても迷惑をかけるから他の相手を探して欲しいと俺に言った。
俺は病だろうが一緒に居たかった。
でも首を縦に振る事はずっと無かった」

「病気ってどんな?」

「しきりに胸が痛いと言っていた。でも医師には直せる状態では無く衰弱していった。
もう自分の命は尽きるのはわかっていたみたいだから屋敷の外に初めて連れていった帰り、シャーロットは俺の胸の中で死んだ…」

「そんな…」

「自分よりも俺を心配してくれるシャーロットが好きだった。
こんな俺でも嫌な顔せず何回も会ってくれた。
初めてだった…こんなに居心地が良かったのは…。
お前も嫌だろうけど、何回も接してくれる、だから俺は…」

クロウさんは私の手を握りだした。
その手は暖かく何か包まれているような感じを覚えた。

「クロウさん…」

「話は終わったかい?
あやか、立つんだ。約束は守ってもらわないとな。
さぁ、早く!?」

すぐにでも私を連れ出したいんだろう。
剣を私の目の前に出し、従わないと切るくらいな勢いだ。
でも…

「…嫌です。体しか欲しないあなたについて行く義理なんてないです」

「お前!話しただろうが!破る気か!」

「なんとでも言ってください、絶対にあなたの近くなんか行きません。
クロウさん、行きましょう」

私はクロウさんの手を引き、ベットから立ち上がった。
その手はクロウさんと繋いだまま。

「離せ、その手を。さもないと…」

「切りますか?どうぞ。そんな事したらあなた自身血だらけですよ。それにそんな体になった私をあなたは満足ですか?」

私の言葉に剣を持つ手はブルブルと震え、いまにも私に斬りかかろうとしている。

「ほっとけ、切れないはずだ。こいつは」

クロウさんの言葉通り、私達は横を通り扉を開け、出ようとする。
だが

「うるさいんだよ、お前は!?」

アランさんが私達を襲ってきた。
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