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ただの血、されど血

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パタンと扉を私は閉めた。
そして、すぐに鍵を閉めた。

(これで、大丈夫…)

そう思ったら一気に力が抜け、扉に寄りかかりゆっくりとずり落ちる感じで床に座った。

はぁ~…と深く長い息を吐く。

そして、天井を見て声を出す。

「良かった…」

私の中で二つのことに対し、今の言葉が出た。
一つはアランさんに会わず無事に部屋に来れた事。
もう一つはいくら口では手を出さないとは言っていたが、もしかしたら…と思っていた事だ。

また深く息を吐き、下を向いたら床に血が少し落ちていた。

「…アランさんのだ」

そう思ったら、急に心臓の動きが早くなりギュッと胸辺りの服を握り締めた。

「ダメだ…早く休もう…苦しい」

心が壊れそうになり、すぐ立ち上がり、ベットへと足を進める。

「血…ただの血だよ…落ち着け、落ち着くんだ、私」

呪文の様に早口で喋り、頭を納得させようとした。
両手を頭につけ、必死に。

そして、ブンブンと勢いよく振る。

「もう!?」

大声を出しても拭い去れず、部屋にある事が嫌で堪らなかった。

休むつもりだったが、テーブルに向かい、置いてあったナプキンを使い、床にある血を拭き始めた。

本当は触りたくなんか無い…。
でもあるのに気付いてしまい無くならないと気が休まらない感じがして、拭かずにはいられなかった。

何枚も何枚もナプキンを使い、何度も拭いた。
ほぼ無くなってきて、ようやく正気に戻った私は、すぐに手を洗いに洗面所に向かった。

ジャー…と水で手を洗いながら目の前にある鏡を見て
話しかけた。

「あやか、しっかりしろ。しっかり…」

鏡に映る私の目は少し窶れている感じがした。
しかも、クマがあるようにも見えた。

思わず鏡をバンッと叩いてしまっていた。

はぁはぁ…

「寝よう…もう」

床を拭いて血が付いたナプキンを片付ける事なんてせず、私はベットへと倒れ込んだ。
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