94 / 120
立場が逆
しおりを挟む
「なんだ?どうかしたか?」
「いえ…なんでもありません。お願いします」
扉をゆっくり開く。
だが、そこにはアランさんは居なかった。
ホッと胸を撫で下ろす私にクロウさんは側にいてくれた。
でも…少し近いと言うか私の肩がぶつかっていた。
何かあった時には安心だが、ぶつかる右肩が気になってしまった。
「いくぞ」
私はいるかもしれないアランさんとぶつかる肩、両方を気にしながら歩いていく。
でも、やっぱり気になってしょうがないから言ってしまった。
「あの…近くに居てくれるのはありがたいですが、
ぶつかって歩くのは気になります…。
もう少し…」
「じゃあお互い廊下の両端を歩くか?」
「別にそこまでしろとは…なんでそんな極端なんです?1人分くらい開けてくれたら…」
クロウさんは私から少し離れてくれた。
そして、こう告げてきた。
「明日は先程くらいな距離じゃないと変に思われるぞ?」
「…大丈夫です。明日だけですから」
「そうか…」
私とは逆の方を向き、ふぅ…と息を吐いていた。
もしかして、明日以降もさっきくらいの距離感で居たいのかと思ったが、やはり不安がある。
それにいま部屋に戻る際も歩みが少し遅めだ。
合わしていると言うよりゆっくり歩き、少しでも長く私といることを望んでいるみたいだ。
でも、私の気持ちは早く部屋に着き、鍵を掛け、安心する方に向いていた。
だからクロウさんより歩く速度を速めていった。
「おい、早いぞ?」
「少し前まで私の先をスタスタ歩いていたのに、何故今は歩みがゆっくりなんですか?
それに、早く休めって言ったから早く着いてゆっくりしたいです」
「まぁ、そう言ったが…」
「じゃあ行きましょうよ、早く。いつもみたいに」
私はいつもとは逆。
先に私が歩く形になった。
でも、クロウさんが小さく呟く…。
「ちょっ…れよ…」
先を歩いていた私は全部は聞き取れなかったが、そこは気にしなかった。
そして、私はようやく自分の部屋にたどり着き、
クロウさんに頭を下げお礼を言うと、部屋に入ろうとした。
「あやか…明日は頼む…」
扉のノブを握りながら私は振り返る事なく、こくりと頷き部屋へと進んだ。
「いえ…なんでもありません。お願いします」
扉をゆっくり開く。
だが、そこにはアランさんは居なかった。
ホッと胸を撫で下ろす私にクロウさんは側にいてくれた。
でも…少し近いと言うか私の肩がぶつかっていた。
何かあった時には安心だが、ぶつかる右肩が気になってしまった。
「いくぞ」
私はいるかもしれないアランさんとぶつかる肩、両方を気にしながら歩いていく。
でも、やっぱり気になってしょうがないから言ってしまった。
「あの…近くに居てくれるのはありがたいですが、
ぶつかって歩くのは気になります…。
もう少し…」
「じゃあお互い廊下の両端を歩くか?」
「別にそこまでしろとは…なんでそんな極端なんです?1人分くらい開けてくれたら…」
クロウさんは私から少し離れてくれた。
そして、こう告げてきた。
「明日は先程くらいな距離じゃないと変に思われるぞ?」
「…大丈夫です。明日だけですから」
「そうか…」
私とは逆の方を向き、ふぅ…と息を吐いていた。
もしかして、明日以降もさっきくらいの距離感で居たいのかと思ったが、やはり不安がある。
それにいま部屋に戻る際も歩みが少し遅めだ。
合わしていると言うよりゆっくり歩き、少しでも長く私といることを望んでいるみたいだ。
でも、私の気持ちは早く部屋に着き、鍵を掛け、安心する方に向いていた。
だからクロウさんより歩く速度を速めていった。
「おい、早いぞ?」
「少し前まで私の先をスタスタ歩いていたのに、何故今は歩みがゆっくりなんですか?
それに、早く休めって言ったから早く着いてゆっくりしたいです」
「まぁ、そう言ったが…」
「じゃあ行きましょうよ、早く。いつもみたいに」
私はいつもとは逆。
先に私が歩く形になった。
でも、クロウさんが小さく呟く…。
「ちょっ…れよ…」
先を歩いていた私は全部は聞き取れなかったが、そこは気にしなかった。
そして、私はようやく自分の部屋にたどり着き、
クロウさんに頭を下げお礼を言うと、部屋に入ろうとした。
「あやか…明日は頼む…」
扉のノブを握りながら私は振り返る事なく、こくりと頷き部屋へと進んだ。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる