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2人ではいられない

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「ビックリしたね、結構近かった。大丈夫?」

「あ、はい…。もう大丈夫ですから、セレスさん」

目だけ上を向き、セレスさんの反応を見ようとするが、密着しており全く分からなかった…。
それよりも早く離れて欲しくて胸に手に置く。
しかしセレスさんは私の頭を覆っている赤と黒のチェック柄のストールを取り床に置いた。
そして、ゆっくりと私の頭を撫でてくる…。

「髪、綺麗だね…」

嬉しいような恥ずかしいような、でも今の私にはそれよりも今の状況を抜け出したかった。

「セレスさん、あの、離れて…」

聞こえない訳がない。
これだけ密着しているのだから…。
でもセレスさんは撫でるのを一切止める事はなかった。
それどころか、ゆっくりと顔に沿わせて手が頭から右頬の方にやってくる。

その瞬間
私の頭に以前アランさんにされた事がフラッシュバックしてきた。
目を見開き、嫌だ!と心が叫んだ。

ドンッ

強くセレスさんを押し出し距離を取る。
急に押され尻餅をつきお尻を痛がるセレスさんとは対照的に私は、はぁはぁ…と呼吸が乱れている。

肩を上下に動かし普通じゃない呼吸をしている私にセレスさんはゆっくりと口を開いた。

「ごめん…」

「せ、セレスさんも結局はそうしたいだけですか?」

「ち、違う!それは絶対違う!信じて!?」

首を横に振り否定するが、セレスさんに対して私の心は少し閉じていく。
こんな状態では一緒の部屋にいるのが怖いだけだ。

「やっぱり、私、馬房にいきます。セレスさんはここで休んでください」

「待って!それはダメだ。それにどちらかが風邪引いたりして国に戻ったら怪しまれる。
だから…」

「今でも怪しまれてますよ、きっと。
部屋にいないんですから。戻ったら戻ったでもう外には行けないかもしれませんね」

風邪を引くからと一緒の部屋で休む事を強く望むセレスさんに私は淡々と答えていた。

「大丈夫です。風邪引いたりしませんから」

セレスさんの要望を突っぱねる形で私は部屋を出て行った。

廊下を歩き、少しすると馬房が見えてきたが、外は土砂降り。
先程の雷もあり、一段と雨足が酷くなっているようにも見えた。
馬房までの距離はほんの数メートル。

私は土砂降りの中、馬房に走っていった。
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