現実は非モテでも、転生先ではモテモテで求婚されまくりで迷惑です

泊まり…？

対峙してみて分かったが、改めて見ると私よりかなり小さい。
顔一つ分くらい。
少し見下ろす感じに見る感じは威圧していないかと不安にもなった。

「あなた、メイドだって？」

「あっ、はい。セレスさんの…」

「ふ～ん…。メイドってそんな格好していつも仕えているの？それに…さん付けっておかしくない？普通、『様』じゃない？」

「えっと…すみません…言葉を間違えました…」

頭を下げ、非を認めたが、さらにリリィさんは私に突っかかってきた。

「それに、頭に巻くのって…そんな物で？」

「リリィ！もういいだろ！？早く中に行こう」

「そうね！行こう。セレス！」

馬から降り、早く建物に入る様に促すセレスさんにリリィさんは態度をコロっと変え、先程とは全然違う態度でセレスさんと接している。
しかも見せつけるかの様にセレスさんの腕に引っ付き建物の中へと誘導していった。

「はぁ…女って怖いな…」

『ははっ、あんたも同じじゃないか？なにいってる」

「そう言う意味じゃない…」

クロウリーに馬鹿にされたが、ムキになるのも疲れるので、2人の後を追いかけていった。

中に入るとすぐに中庭がありその近くには馬房があり、2人はそこに居た。
遠目だが、リリィさんはセレスさんが大好きだと言うのがすぐ分かるが、セレスさんは少し引いている様にも見えた。
あれだけ好きだ、と言っていたのに…本心は実はあまり…では？と思い始めた。

「あ、あやかさん。クロウリーはここに」

「はい」

私が2人を見ていたのを気付いたのかセレスさんが私に声を掛けてきた。
傍らではリリィさんの鋭い目がある。

「セレス、急に来たけど、ちゃんと用意はしてあるからゆっくり泊まっていってね」

「あ、あぁ…それよりあやかさんの部屋とか用意できる？」

「なんで？メイドさん用の部屋なんて私のとこの人達分しかないけど？今更開けるなんて無理よ？」

「じゃあ…僕の為に用意した部屋ならいいよね？」

「まさか、メイドと一緒の部屋で寝る気？
あり得ない…。じゃあ…セレス、今日は私の部屋で泊まって。それならいいわ」

「それは…」

「今まで一度もそうしてくれなかったのは、もしかして…」

「違う！分かったよ。そうするよ…」

なんだか居心地が悪いなと思い、私は泊まるなんかより早く帰りたくなった。