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私の本音
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この世界にも季節と言う物があり、暑くもなく寒くもない日本で言えば春か秋かどちらかと言った感じだった。
腰掛け話をしたいと言うセレスさんは私にまずこう言った。
「あやかさん、もう頭は大丈夫だよ。ずっとしていたら窮屈じゃない?僕らはもう見慣れているけど」
「あっ…」
頭に巻いたストールを取り、また肩に掛ける。
ほどいた事で長い黒髪がサラリと風に揺れ、私の頬に触れる。
「綺麗だね、髪…」
「あ、ありがとうございます…髪を褒められるなんてなかったから、照れますね…」
「そう?最初からそう思っていたよ。
ところで…あやかさんは何処から来たの?この国へ」
「それは…」
ここではない遠い国、日本から来たなんて言っても分からないだろうと思った。
そんな事言っても信じてもらえないし、何よりこの国にずっと居るかなんて分からないからだ…。
私が話すのを待ってるセレスさんはずっとコッチを見ている。
でも何も話さないわけにはいかない。
「遠い国です。多分セレスさんには分からない名前なので」
「いいよ。教えてよ。あやかさんの事知りたい」
滝から流れる水が地面に落ち、風で巻き上げられた細かい水滴が顔や手に当たり、少し寒さを覚える。
この人は純粋なんだ。
そう感じ私は少しずつ私が来た国、日本について教えた。
話しながら日が少しずつ傾く。
「へぇー、そんな国があるんだね。なら一度行ってみたいな!」
「そんな…来れませんよ。私だって本当は…」
言い掛けた言葉を私は噤んだ…。
帰りたい。と言ったらこの人は悲しむんじゃないかなと思えたからだ。
「本当は?何?」
「えっーと…」
しどろもどろになり答えに困る私に後ろの方から声がした。
『言っていいわよ、意外に心は強い子だから』
アッシュ…?いや、違う。これはまさか、セレスティ?
馬を繋がないで話していたのに二頭は私達のすぐ側におり、気付くとセレスティが真後ろにいた。
「なんだ、セレスティ。あやかさん気に入ったの?」
セレスティは頭を下げ私の背中をスリスリとしてくる。
これは…言え、と言ってるんだろうか?と私は思い
「セレスさん、私、本当は日本に帰りたいんです…」
と本音をセレスさんに伝えた。
腰掛け話をしたいと言うセレスさんは私にまずこう言った。
「あやかさん、もう頭は大丈夫だよ。ずっとしていたら窮屈じゃない?僕らはもう見慣れているけど」
「あっ…」
頭に巻いたストールを取り、また肩に掛ける。
ほどいた事で長い黒髪がサラリと風に揺れ、私の頬に触れる。
「綺麗だね、髪…」
「あ、ありがとうございます…髪を褒められるなんてなかったから、照れますね…」
「そう?最初からそう思っていたよ。
ところで…あやかさんは何処から来たの?この国へ」
「それは…」
ここではない遠い国、日本から来たなんて言っても分からないだろうと思った。
そんな事言っても信じてもらえないし、何よりこの国にずっと居るかなんて分からないからだ…。
私が話すのを待ってるセレスさんはずっとコッチを見ている。
でも何も話さないわけにはいかない。
「遠い国です。多分セレスさんには分からない名前なので」
「いいよ。教えてよ。あやかさんの事知りたい」
滝から流れる水が地面に落ち、風で巻き上げられた細かい水滴が顔や手に当たり、少し寒さを覚える。
この人は純粋なんだ。
そう感じ私は少しずつ私が来た国、日本について教えた。
話しながら日が少しずつ傾く。
「へぇー、そんな国があるんだね。なら一度行ってみたいな!」
「そんな…来れませんよ。私だって本当は…」
言い掛けた言葉を私は噤んだ…。
帰りたい。と言ったらこの人は悲しむんじゃないかなと思えたからだ。
「本当は?何?」
「えっーと…」
しどろもどろになり答えに困る私に後ろの方から声がした。
『言っていいわよ、意外に心は強い子だから』
アッシュ…?いや、違う。これはまさか、セレスティ?
馬を繋がないで話していたのに二頭は私達のすぐ側におり、気付くとセレスティが真後ろにいた。
「なんだ、セレスティ。あやかさん気に入ったの?」
セレスティは頭を下げ私の背中をスリスリとしてくる。
これは…言え、と言ってるんだろうか?と私は思い
「セレスさん、私、本当は日本に帰りたいんです…」
と本音をセレスさんに伝えた。
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