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刺さる言葉

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近くにくるアランさんに私は向き合いたくないと考えた。
しかし、アランさんはゆっくりと私に近づいてくる。
そして、私とアランさんは対峙した。

「あ、あやか…さん」

あんな事をした後だからぎこちなく私に話しかけてくる。
正直いまは何も話したくない。
だから私は話さず、足元にいるアッシュを抱き、横をすり抜けようとした。

「待って…少し話を…」

「…私は今はあなたとは話したくない。ごめんなさい」

急いでその場から逃げる様に小走りし始めた。が…
私の服を掴み静止させた。

「逃げないで下さい。ちゃんと話を」

「やめて!?」

体を捻り、掴む手を振り払ってアランさんから逃げた。

もしかしたら追ってくるかもしれないと思ったら振り返ることはせず部屋を目指した。
迷路の様な通路だったが、何かあった時のために、と道順は覚えておいた。

『…そんな走ったら転ぶわよ』

「…」

アッシュの忠告よりも追ってくるかもしれない恐怖の方が勝り、早く早くと気持ちばかりが先行していた。
そして、見覚えがある部屋の扉が見え、走る足を少し緩めた。

ガチャ……バタン!?

すぐ部屋に入り扉を閉めた。
しかし、この部屋には鍵穴がない…。

鍵がないため、入りやすいようにこの部屋を与えられたのでは、と不審に思ってしまった。
とりあえず扉付近にテーブルを置き、バリケードを作った。

(来ないで…来ないで…)

私は部屋の隅に座り込み、扉の方を見ながら何回も何回も念じ続けた。
その傍らには抱いたままのアッシュがいる。

『少しは落ち着いたら?』

「うるさい!黙ってて!」

『はぁ…』

「猫なんかに私の気持ち分かるわけない!下手したら襲われていたかもしれないのに…。
私は人に好かれるような人じゃない、動物が好きなただの獣医。
ただそれだけ…恋愛なんか…いらない」 

『あなたは馬鹿ね…』

「はぁ?」

『人に好かれるってすごい事なのに、それを蹴ってる。1人では生きていけないのに…向き合いなさいよ』

アッシュの言葉が胸に刺さった。
言いたい事は分かる。でも、今の私には…。

そんな時、コンコンッと部屋をノックされた。
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