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また戻ってしまった

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真っ暗な部屋の中、私は眠りについた。
掛け布団がモゾモゾと動き、何かが入ってくるのが分かった。

『寒い、入る』

(なんだかんだ言いながら入るんじゃん。素直じゃないなぁ)

私はクロを手で引き寄せ暖まりながらスーッと寝た。


※※※


「おい、こんなとこに居たのか…」

私はクロではない声を聞き、まさかと思った…。
いや、まさかそんな事は無いと信じ、ゆっくりと目を開けた。
見えたのは掛け布団を払い除け、私を上から覗き込むクロウさんの顔だった。

「…」

私は声を失った…。
寝たらまたローツェに来ていた。

「なんか言えよ…飯持ってきたのに寝てるなんて無礼な奴だな。ほら、起きろ!」

強引にベッドから起こされた私は放心状態のままで、隣にいるクロウさんを見ようとはしなかった。
そして、声を上げて泣き出した。

「クロォォ…もう嫌だ…なんで、なんでなのぉ…」

いきなり隣で泣く私にビックリしたクロウさんはオロオロするばかりで、泣き声が部屋に響く。

「帰りたいよぉ、クロに会いたいよ…」

「なんだ。俺に会いたいなら泣く必要なんてないじゃないか?おかしな奴だな…」

「違う!あなたなんかじゃない。クロ!?」

猫の名前と自分の名前が似ているからか私がおかしな奴と決めつけるクロウさんに泣きながらもイラついてしまった。

「…腹減ってイライラしてるんだ、ほら、これでも食べろ」

持ってきた豪華なご飯の中から何故かオレンジを差し出してきた。
手に持つオレンジを見ながら、私は思う。

(この人、やっぱりズレてると言うか…おかしい人)

「ほら!?」

ズイッと私の前にオレンジを差し出し、持つように強要してきた。
それを私は手に取り、食べずに見る。
食べない私をやれやれ…といった顔になり、頭を掻いている。

「ありがとう…」

私はポツリとお礼を言う。

「おう、食べて元気になれ。そしてついてきて欲しい」

「ど、何処に…?」

「来たら分かる。まずはそれを食べて、他にも食べろ。元気になってからだな」

来て欲しい場所があると言うクロウさんは少し目が泳いでいるみたいだった。
外は明るく、日が登っていくのが窓から見えた。


コンコン…


「ど、どうぞ」

部屋の扉が開いた。
今度はアランさんが来た。

「なんだよ、アラン。邪魔するなよ」

「女性の部屋に入り込むなんていかがなものかなぁ…。変な気、起こさないか見に来ただけだよ」

「えっ…」

私はクロウさんを見るが、クロウさんは私から顔を背けた…。
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